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難民と"ともに"暮らした3年間の軌跡を振り返る、Live WITH終了報告会開催レポート

WELgeeは、設立当時から、難民と「ともに暮らす」ことを大切にしてきました。

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photograph by Hiroshi Takaoka

生活空間を共にすることとは、「支援・被支援者」の関係性を超え、ひとりの魂を持った人間として向き合うこと。 

彼らとの生活を通じて、一時的なコミュニケーションだけでは触れることのできない、彼らの悩み、喜び、怒り、悲しみを、深い部分で知ることができました。

WELgeeではこの度、さまざまな想いに支えられ、3年間続けてきた、Live WITH(暮らし)に関わる事業(緊急シェルター事業、千葉ハウス事業、TOKIWA事業)を終了する運びとなりました。

終了に際して、これまでLive WITHが何を生み出してきたのか?共に暮らした仲間たちとともに、Live WITHの3年間を振り返り、これから私たちが目指す未来をみなさんにお伝えしたい。そんな想いより、2019年11月30日(土)に、恵比寿ガーデンプレイスにて、これまでLive WITH事業を支えてくださった、様々な協働者の方々と、過去の住人たちに対して、Live WITH終了報告会を実施しました。

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当日お越しになれたかった方々報告会の様子を交えながら、Live WITH 終了の報告をさせていただきます。

想い溢れる参加者のみなさまと共に。Live WITH終了報告会の概要

22名の日本人、11人の難民の方々が参加した報告会は、前後半に分かれ、前半ではこれまでのWELgeeのLive WITHが辿ってきた軌跡を、そしてこれからのWELgeeでは、Live WITH終了後の、WELgeeの指針を共有しました。

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△参加者は、実際にシェルター・千葉ハウス・TOKIWAの元住人、WELgeeファミリー(賛助会員)や、関わりのある企業の方々まで、幅広いアクターが参加しました。

 
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△前半部はWELgeeの山本が、Live WITHの3年間の軌跡を、対話形式で振り返ります。

ふと始まった、難民の人と「ともに」暮らすLive WITH。

2016年、25歳の渡部は家を転々としており、当時採用されたアクセラレーションプログラムが行われていた、センターの一室に宿泊をしていました。その時に、新宿駅で寝泊まりしていた、難民申請中のアフガニスタンの青年と出会います。その後、渡部が仮住まいを手にし、彼も引っ越し、事実上の共同生活が始まりました。これが Live WITHのスタートでした。

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△引っ越し後の住まいでの一コマ

難民キャンプも、シェルターもない日本に逃れてきた難民の若者たち。繋がりを持たない彼らを待ち受けるのは路上生活です。人との繋がりも、居場所もなく、支援団体へ行き「すみません」「ありがとう」を繰り返す日々。そんな中で「ただいま」と帰ってこれる居場所をつくりたいと思いました。

私たちが大事にしていた姿勢、それは「難民について語るのではなく、難民と話そう

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私たち自身が、ともに語り、ともに暮らす中で、社会が見落としてきた若者たちのユニークな個性や可能性をとことん発掘したい。日本社会が出来てこなかった彼らの果てしない可能性を見つけるため、Live WITH事業が本格的にスタートしました。

2018年11月、「緊急シェルター」始動。

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最初に立ち上がったのが「緊急シェルター」でした。日本に来たばかりで、明日泊まる場所のない人が、 今夜「ただいま」と来れる「緊急シェルター」。緊急で寝床が必要な難民の方への支援と、日本での人間関係も広げてほしいという想いから、都内に設立をしました。

築50年以上の木造建築。真冬は息が白くなり、夏は汗だくになりながら朝を迎える。10名の明日行く場所がないけれども、本当に個性豊かな住人たちと、多くの時間を共にしました。

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PAPA(仮名)さんは、シェルターでの暮らしをこう振り返ります。

「日本に来て最初の3ヶ月、幸いなことにWELgeeに出会い、WELgeeのシェルターで暮らし始めました。たくさんの思い出が詰まっています。家で留守番している時は、よく掃除をしていました。WELgeeメンバーの洗濯や部屋の整理整頓もしました。」

513日間の運営期間の中で、10名の住居人が暮らし、その全員が新しい居場所を見つけ、次の生活へと旅立ちました。

"第二の家族、第二の故郷と呼べる居場所をつくる"千葉ハウス事業の取り組み

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多くの方々に応援していただいた、千葉ハウス事業。ファンドレイジングでは3,958,000円の支援金が集まりました。

法的ステータスも大事だけど、第二の家族、第二の故郷と呼べる居場所をつくり直す、そんな試みでした。多様性や新しい価値を活かして、カラフルな社会へ。そんな社会の縮図を、千葉ハウスを拠点に生んでいきたいと思っていました。

ケビンさん(仮名)は千葉ハウスでの生活をこう振り返ります。

「千葉ハウスはイベントハウスでした。ワークショップや料理教室を開催しました。私たちは家族みたいなものです。千葉ハウスでの生活に感謝しています。」

365日の運営日数の中で、アンゴラ・イラン出身の方々3名が滞在をし、その全員が卒業。現在は別の場所で生活を送っています。

人が集うコミュニティで生まれる価値は多い一方、ヒトやカネのリソースが限られる今のWELgeeには、その場を安心して継続したものにするためのサポート体制を築く事が出来ません。管理人の手配・組織としてのサポート体制の整備ができないかつ、『働く』に軸を置いた事業への選択と集中を行う中で、千葉ハウスの運営を終了することに決めました。

千葉ハウスの今後の使用用途は検討中ですが、引き続き弊団体が所有します。 

日本に逃れた難民たちが、自分らしく「働く」の最初の一歩をつくるシェアハウス、TOKIWA( トキワ)

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さまざまな仲間たちと共に切り拓こうと志したのは「難民」としてではない、彼らの自分らしい「キャリア」でした。

やっとの思いで就労許可を手に入れても、その先にあるのは生き延びるのに精一杯な生活。彼らの自分らしい人生のために、共生し、就労まで伴走する。それがTOKIWAでした。

前例のない試み。描いたコンセプトと現場感のギャップをすり合わせていく過程。「ともに暮らす=ともに生きる」ということの大切さや難しさ、その可能性や限界を強く感じる出来事が重なりました。結果として、難民の当事者や協働団体、応援してくださっている方々などにご迷惑をお掛けすることもありました。最終的に、他団体との協働を含むこの事業を十全に実施するには、現在の体制では不十分であるということを痛感し、TOKIWA事業を終了することといたしました。  

しかしながら、この8ヶ月間、様々な人に訪れていただき、多くのつながりが生まれました。

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毎週リビングで、ボランティアの方が主催する、小さな日本語教室が開催され、地域のイベントでは有機野菜を売りました。また、毎月開催した「おかえりNight」は、就職を目指す者、すでに就職をして奮闘する者、勉学に励む者たちを招き、和やかにごはんを食べるファミリータイムです。

Live WITHが停止しても、引き続き「おかえりnight」を継続して、コミュニティの絆を深めて行きます。

「Live with」は、何をもたらしたのか?

様々な試行錯誤があったLive with。これからは、生活を共にする物理的空間は無くなりますが、そこで生まれた繋がりは、永遠不滅です。

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△TOKIWAで8ヶ月間共に時間を過ごした住人が、出会った当時のエピソードを語る。

そしてこの二年以上、Internationals・WELgeeメンバー・大学教授・ビジネスパーソン、この人たちと圧倒的に長く濃密な時間を過ごしてきたこと。それがWELgeeの芯となり、これからの挑戦の糧になる最大の成果だと思います。

これからのWELgeeが目指す方針

イベントの後半では、これからのWELgeeの中長期的な指針と、各事業の内容・成果をお伝えしました。

私達のビジョンは、「自らの境遇にかかわらず、ともに未来を築ける社会」です。

今後のWELgee

△WELgeeのビジョンを最短・最速で達成するための戦略を構築する、戦略室室長の安齋から今後のWELgeeの方針を共有

ビジョン達成のためには、持続的な組織運営のサイクルが行われる必要があります。持続的なサイクルとは、私たちの持つリソースと、協働者(Co-Creators)の持つ力を最大限活用することで、社会的なインパクトを生み出し、その結果新たなリソースや協働者を得ることです。持続的なサイクルを拡大させ、より大きな社会的インパクトを生み出すための、中長期的な戦略を策定し、実行するのがWELgee戦略室の役割です。

その後、ビジョンを達成するための具体的な事業が、各事業統括から紹介されました。

①就労伴走事業

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△就労伴走事業統括の山本が生き生きと話す。

彼らの個性を活かした「就職」を通じて、安定的に日本で働けるもう一つの道筋を作ります。就労伴走事業を通じて、これまでの2年間で100社以上の企業と出会い、7名の社員雇用が生まれました。来年度に、就労伴走事業をリニューアルし、サービスのリリースを行う予定です。

「人権保護」の切り口だけでは何十年も変わらなかった制度に風穴を開ける。パッション溢れる若者と日本の企業を繋ぎ、イノベーションを生み出す。そんな可能性を持っています。

②Tech-Up(テックアップ)事業

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△Tech-Up事業担当の島倉

Tech-Upとは、日本に逃れた難民たちが、ITエンジニアとして日本企業で働けるようになることを目指すプログラミングスクールです。楽天株式会社が主催する「Rakuten Social Acceralator」に採択され、Tech-Up事業を実現させる土台づくりを行いました。

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△セミナー事業統括の玉利、インターン吉野が話す。

セミナー事業は、日本に逃れた多国籍な「アンバサダー」たちから、世界を学び、自分を知る社員育成の場です。2016年11月より、企業に対する研修を累計45件、学校・イベント等の講演を60件実施しました。最近では、難民の人材を採用した企業が、異文化を生かし、どのように生産的なチームを作るかを体感し、実践する「異文化協働型研修」や、「与えられた課題」を解くのではなく「課題そのもの」を発掘する能力を養う、「社会課題発掘型研修」も開催しております。

④WELgeeサロン"191130 Live WITH本番用スライド (14)

「難民」という言葉の先の、ユニークな個性と出会う場であるWELgeeサロンは、2016年より開催され、累計で31回開催。1,500人以上の日本人と、100人以上の難民当事者の方々が参加しました。異なる背景の難民が、日本に住む人々との社会的繋がりを得ることを目指します。今後は首都圏だけではなく、地方でサロンを行う「出張サロン」を計画しています。

参加者たちの率直な意見を交換する"対話の場"

報告後、会場にいる皆さんと、各グループに分かれて、気になった点、WELgeeへの期待、改善点などを議論し、共有しました。

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これまでともに暮らしてきた住人たちと、Live WITHに深く関わりを持つ日本人参加者との間で、今回の決断についての率直な感想や、疑問、気になった点、改善点などを話し合います。

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最後は、それぞれのグループから、質問や感想の共有をしてもらいました。

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「良いトライをしながらも、リソースに対して少し拡大しすぎと感じていた。今回の決定は現実的で良い選択だと感じた。」

「Live withは無くなってしまうけど、WELgeeならではの魅力的な距離感やコミュニケーションを大事にしてほしい。」

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「次に注力する事業が分かりました。各事業のつながりが分かると、もっと良かった。」

ゲストの皆様から、多くのコメントをいただきました。

「誠実であること」、「コミュニケーションを諦めないこと」

報告会は、渡部の言葉で締めくくられました。

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「私たちは日本で難民と関わる団体の中で一番若いです。我々だけじゃ解決できない問題を他組織と協力してインパクトを出す。それが重要でした。そんな時に出てきたのがTOKIWA事業でした。

WELgeeが大事にしているコミュニケーション能力と、ハードの建物、それらを一緒に運営したら何か良い物を生み出させるかもしれない。そうやって始まりました。しかし、お互いが大事にしてる価値観だったり、譲れないポイントの違いが話し合いの中で見えてきました。

そうした中での反省は、できる以上のことを出来るかもしれないと買い被り過ぎないということでした。実はこれは私たちが一番大事にしていたことでもあります。その精神を共有しきれなかったのがWELgeeとしての反省です。

『誠実であること』そして『コミュニケーションを諦めない』。この二つを大事にしながら、これからのプロジェクトを進めていきたいなと思っています。

今回これからって思っていたTOKIWAをクローズすることになってしまい、大事な皆さんにどういった形で共有するか本当に悩みました。しかし、最後に本当に大事なことを共有できたと感じています。私たちを、これからもどうぞよろしくお願いします。」

その後フリートークにて、大事なみなさんと多くの情報を共有し、Live with 終了報告会を終了させていただきました。改めて、私たちといつも共にいてくださる、皆さんあってのWELgeeだと再確認しました。

この決断を機に、次へ進む私たちに対し、みなさんからの率直な感想やコメントなどをお待ちしております。

改めて、これからもよろしくお願いします。

皆さま、良いお年をお過ごしください。

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WELgeeは日本にやって来た難民の若者たちと誰もが活躍できる未来を作っています。紛争、弾圧などから祖国を逃れた難民の数は世界で7000万人。未来を奪われた難民たちが、ここ日本にも。彼らの国が平和になったときに、祖国を再建する担い手として、第二の活躍を描ける未来をつくります。

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