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旅行記:SLと自然と、最後のワンシーン

SLに乗ったときのこと。

友人が企画してくれたSL往復の旅。
記憶のある中では初めて乗る、気がする。

SLに乗る、と言っても、機関車に乗るわけではなくて、もちろん客車に乗る。
SL独特の振動が…なんてことは全く分からない鈍感なので、
時たま聞こえる汽笛の音と、窓から見える煙からSLが走っていることを実感する。

煙は思っていたよりも黒くて量が多い。
『ハウルの動く城』で、ソフィーが歩道橋を歩いているときに、その下を機関車が通るシーンを思い出す。
相当すすだらけになってしまうだろうな。
乗っている車両の窓のすみっこにも、すすがだいぶん溜まっていた。

乗ったSLは森の中、山の中を走っていく。
新緑が美しい季節、天気にも恵まれた旅だったので、車窓から見える自然に癒された。
とにかく、自分には自然が必要らしい。
普段自然が少ないところで生活しているからか、自然が豊富だと非日常を感じることができて、より一層幸福感を感じるのかもしれない。

車窓を眺めていると、豊かな自然と、それに重なってSLの煙が目に入った。
ふと、この煙は自然に悪影響はないのだろうか、と考えてしまう。

昔と違って、環境に優しい燃料も開発されているのかもしれない。
発電による環境への影響の方が悪だ、と考える人もいるかもしれない。
自分自身、勉強不足なので、正解も、自分の意見すらも分からない。

ただ、乗車を楽しみにして出発の30分以上前から待っているお客さんや、
沿道でSLを目当てに写真を撮っている人や、
たくさんの地域の方々が見守っている様子(手を振っている人が本当に多かった)を見ていると、
このSLは本当にたくさんの人から愛されて、望まれているのだなぁと感じた。

復路、SLから降りた後、ホームでSLの写真を撮っている友人を待っていたら、
車内に忘れ物がないか点検している車掌さんと目があった。
車掌さんは少し会釈をしてくれて、次の車両へ向かう。
数分後、同じ車掌さんが戻ってきて、どうやら二度目の点検をしているらしい。
また目があったときには、微笑んで、小さく手を振ってくれた。

映画のワンシーンのようで、きゅんとした。

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