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メイクと私 #8 - 辿り着いた答え


前回までのあらすじ

理想と現実のギャップにストレスを感じる。
現実は簡単には変わらない。
それならば、理想を変えたら良いんじゃないか。

世間に残るジェンダー観に身を委ね、
「男らしさ」を探究してみた私でした。

それから1年。


1年後


結論から書きましょう。

勘の良い方はお察しの通り。

理想を手放すことはできませんでした。

半年ほどはメイクに触れることがなく、
また仕入れる手間もあるので買い戻すこともしていませんでした。
(店頭で化粧品を買う勇気はまだ無いのです)

特段、フラストレーションに苛まれることもなく、
メジャーな男性としての生き方を続けていました。

仕事が充実していたこともあり、
心に隙間ができることもなく、
楽しみながら日常を過ごすことができました。


突然の衝動

心が動いたのは、夏の休暇に入ったときのこと。

長い休みを過ごすのは苦手です。
休暇が長くなると堕落していく感じがして、
落ち着かなくなってくるのです。

かといって、アクティブにどこかに出掛けるというわけでもなく、だらだらしてしまう……
そして、時間だけが過ぎていくのが怖くなってきます。
適度に仕事があった方が精神的に安定するタイプの人間なんだと自覚します。

長期休暇のストレス。心の隙間。

ここに衝動が流れ込んできました。

ただいま

気づけば、Amazonでウィッグと化粧品一式を購入していました。
何が必要なのかは過去の経験で覚えていたので、とてもスムーズな購入でした。

ウィッグ、ファンデーション、マスカラ、アイライナー、アイシャドウ……

顔のパーツを思い浮かべながら淡々とカートに入れていきます。
ブランドも大体覚えていたので、注文完了までは20分以内。総額1万円程度。

あっという間に帰ってきちゃいました。

商品が届いて装うまでもあっという間です。
1年ほどのブランクがあっても手が覚えているものですね。

これでいいんだ

後悔も反省もしていません。
これでいいんです。

そもそも「男らしくなる/ならない」の二択で考えるのに無理があったんですよね。

世にいわれる「男性らしさ」や「女性らしさ」、
ジェンダーフリーの観点からすると引っかかるものはありますが、
見方を変えればオス・メスのストレングスをまとめた概念なのかもしれません。

例えば、メスの猫はオスの猫に比べて毛繕いの時間が長い傾向にあるのだそうです。

一説によれば、メスの猫は巣で仔猫を守るために清潔を保つ必要があり、毛繕いによってにおいを消すことで外敵からの攻撃から守っているのだとか。

一方で、オスの動物は狩りや縄張り争いのために戦闘向きの体格に成長します。

「男らしさ」も、そうした強さを求めるものとして考えられた概念なのかもしれません。

それなりの理由づけはできます。

しかし、ここで一つ思います。

オス/メスの強みはトレードオフの関係なんだろうか?


トレードオフ

両立し得ない関係性。一方をとると他方を失うということ。


いや、そんなことはない。

料理をする男性。格闘技をする女性。
子育て・育児に熱心な男性。バリバリ働く女性。

みんな素敵じゃないですか。

メイクやファッションだって例外じゃない。

例えば、
言わずと知れた有名ファッションブランドの創始者、
イヴ・サンローランの映画は、男性同性愛者の葛藤を表現した描写も含めて素晴らしく美しいです。


メジャーな生き方じゃなくてもいい。

性別、人種、国籍などの属性に縛られる必要はない。

教科書のような言葉ではありますが、
結局のところは、この考え方に辿り着きました。

理想と現実のギャップに感じるストレスと、
理想を捨てるストレス。

後者の方が強かった。

どんな生き方をしようか……
すぐに答えは出ません。
答えを求める必要もないのかもしれません。

思考停止せずに、
自分探しの旅を続けてみたいと思います。


(つづく)

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