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2408企画「恐怖」

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#エッセイ

飛んで火に入るなんとやら

飛んで火に入るなんとやら

 蜘蛛がいた。

夜も更けてきたこの日、家で小説を書いていた私は、何やら気配を感じて振り返った。すると寝室のカーテンに、1匹の蜘蛛が止まっているではないか。

無論、道産子の私は昔から虫が平気だ。子供の頃はよく、虫かごを肩に掛け、虫網を手に持ってはトンボや蝶を追いかけ回していた。だから今も、足長蜘蛛くらいなら素手で掴んでポイっと外に放り投げられる。それくらい、虫は平気なのだ。

だけどこの時の蜘蛛

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