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娘が初めて選んだネクタイ

娘は齢24にして、初めて父にネクタイを贈った。


毎年我が家では、「春の感謝祭」と題して両親へ贈り物をしている。

家族全員の誕生日、両親の結婚記念日、母の日父の日が春の季節に集合していることから、春は全ての日をまとめて何かしらのプレゼントをすることになっている。

我が家では……と言っても、実際私が両親へ渡す以外のプレゼント交換は行われていないのだが……。


今年は母に、美容・アンチエイジングを意識したモノを贈った。(ヒミツ)

父には、ネクタイを贈った。

男性へのプレゼントとして定番のネクタイ。娘が父親に贈るものの中でも、定番かと思う。しかし、私は今回初めてネクタイをプレゼントに選んだ。


「一度くらいネクタイをプレゼントしなさいよ」

母とふたりのとき、母がそんなようなことを言っていた気がする。

私もいつかはプレゼントしてもいいかなぁと思っていた。ネクタイ。いつかは……とのんびりしていたら、もう退職の方が近い年齢になってきていたな。まだまだだけど。

「あ〜〜〜まぁ〜……」と言っているうちに、父が持っているネクタイの種類や柄を紹介された。ほぉ〜ん、変な柄ばっかりだなぁ。

クローゼットの中には、バブルじゃなきゃこりゃぁ無理よ、という色柄も残っていたりするのだ。

長時間真剣に物色する客になる


私は紳士用品売り場が好きだ。
ネクタイやワイシャツ、スーツに革靴。かっこいいメンズものを見るのが好き。

百貨店や某洋服の○○に行くと、ネクタイ売り場などで色や柄を見ながら、いいなぁこれかっこいいなと物色している。

「ネクタイを選びに行きますか〜」

今年はネクタイにするかと決めてしまえば、もう早く手に入れて早く渡したくてしょうがない。せっかちなのだ。

百貨店の紳士用品売り場に向かった。おじさん紳士ブランドや、ネクタイの有名ブランドがよく分からないので、とりあえずなんでも見てみるか。

コーナーにネクタイがズラっと並ぶと、壮観である。まるで色見本帳のようでワクワクする。

値段やブランド別に並んでいるようなので、とにかく端から端までチェックする。

ていうか、ネクタイっていくらくらいするの?

ガチのブランドものは超高かった。この棒布に……、ゲーム機買えるな……と思ってしまったのは秘密である。私のおセンスがないのか、バブルのネクタイかと思ってしまう謎の柄だった。

百貨店とはいえ、新入社員でも買えそうな値段のものもあった。しかし、そういうのは色柄がフレッシャーズすぎる。おじさんがするにはなんか違う。


色々あるのね〜と思いながら、みる。途中店員さんがワイシャツを貸してくれた。シャツと合わせてみながら、ピンとくるものを選ぶ。

既に持っている系統と、同じようなものを選んでもしょうがない。緑のネクタイがないので、緑だと母が言っていた。

緑ねぇ…………
な〜んか、違うんだなぁ。絶対これがいいというのがない。

でも自分の好み、自分を男体化してイケメンにしたら着たいネクタイは見つかる。妄想理想ネクタイはたくさんあるのだが…………。


難しい。
相手に合わせたものを選ぶというのは。


初めての経験、新たな発見だった。


相手の顔や体格、印象に合うアイテムを選んでプレゼントをする、これはこんなに難しいものなのか。

私の記憶にある父の姿を引っ張ってきて、ネクタイと合わせるが、なんか合うようで合わないような。自信が無い。なんでさ。

これなら本人を連れてきた方がよかったのでは……?と一瞬思った。いや、ネクタイを贈ることは秘密にして、後でドヤりながら渡す方がいいや。


うーんうーんと唸りながら選ぶ。叔母と一緒に来ていたので、叔母のアドバイスも聞きながら選ぶ。

ちなみに私のネクタイを選ぶ基準はこうだ。

・つくりがしっかりしているもの(日本製など)
・フレッシャーズ新入社員イメージではない
・ボーダー系ならば安っぽくない見た目のものを
・ジジくさくないもの (おじさん年齢といえども)
・柄が可愛いすぎではない
・パッと見て気になった色、もの
・触った感じが不快ではないもの
・ネクタイの幅はなんとなくで細い太いをみる

だいたい絞れたらあとは顔や印象に合うかをみる。わからなくなったら直感。

普段はわりと迷わず決めるタイプだが、ネクタイ選びは時間がかかる。


あ〜このよく分からん(失礼)緑よりも、こっちの黄色の方がいいじゃん……。ぜっっっっったい黄色の方がかっこいい。

緑、イイの無し。

緑系の需要や、緑ならおじさん的年齢の人がしていて相応しそうだというイメージも考慮したが、私が気にいらん緑にするならやめた方がいい。そう決めた。


そうと決めたらもう黄色のことしか考えていない私。絶対この黄色がいい。

黄色と言うと、大抵の人は「え〜?黄色?」と怪訝な顔をする。色々な好みの人がいると思うが、年配者からは不評の声も。

……うーん、
黄色は、微妙かなあ…………?

黄色が好きな私でも、決断には多少躊躇する。黄色と言ってもフレッシャーズな黄色ではないよ。管理職のおじさん的な人や、面接官がつけていてもおかしくない粋な柄の黄色だよ。

でもさぁ……
受け取った相手がどう思うんだろうか…………

急に謎の自信を発揮する私も、ええい私がよいと思ったやつはよいんだーー!という私もいるが、やっぱり父本人の反応は気になる。


はぁーーー
難しくて、いやになっちゃうね。


ネクタイコーナーをじっくり選別しながら2周したあと、叔母の後押しもあり、黄色の粋なネクタイを購入した。会計時に、プレゼント用のラッピングをすすめられた。

そうか、プレゼントだと思われているのか。そうかそうか。

長時間ごちゃごちゃ言いながら、どう考えてもプレゼント選びにしか見えない行動をしていたのだが……


手提げ袋の中の、リボンのかかった小さい箱をみる。ついにやってやったぜ…………へへっ。


初めてネクタイを購入したが


プレゼントを用意すると早く渡したくてしょうがない。

誕生日とか父の日とか、そんなものをまっていられない。帰宅してから速攻渡した。

「プレゼントでございます。」




最近の猛暑というのは非常に憎い。

私がネクタイを贈ってから、クールビズ期間に突入してしまった。ノーネクタイである。


人生で初めて、クールビズ的なものにイラッとした。が、

そんなのはいいからネクタイしてってよ(怒)

と、贈り物をした側の恩着せがましい要求をした。


ネクタイをする機会がまたあるから、そのときにしていくかなぁ〜と言われたので2週間以上待った。

ネクタイ着用日の当日。

父が帰宅してから、ネクタイ着用姿を記念に撮影した。もちろん一眼で、現像もして、いい感じに撮れた。

なんかパンフレットの社員紹介に載ってそうな感じだ。やっぱり黄色にしてよかったじゃん。


撮影日は父の誕生日の前日、金曜日。


いやもうそれ、
娘からのプレゼントだって自慢してよね!(怒)



いろいろ書いてみるので、他の記事も覗いてみてください✨