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ブランドコミュニティの作り方〜ゲーミフィケーションはいかにしてブランドを構築するのか〜

顧客体験を高めていく必要性に駆られている今、ゲーミフィケーションは今後,より関心を持つテーマとなると言えます。
ちなみにブランドに関するある脳科学の研究では、知名度があり強いブランドが示された場合、肯定的感情、報酬、自己認識と関連のある脳の領域が活性化され、知名度の劣るブランドが示された場合は、記憶や否定的感情の領域が活性化することが確認されたそうです。

ゲーミフィケーションの隆盛の背景

上述の通り、ブランドは消費者からの企業価値を定める上で重要な意味を持つことがわかると思います。
今まではトラクションがベースとなったマーケティングだったのに対し、現代はリレーションをベースとしたマーケティング、最終的には可能な手段を取れる顧客を引きつける全てのマーケティングに変化していきました。
その中で金銭的なインセンティブやポイントシステムから、ゲーミフィケーションに変化していきました。

研究内容

XiaomiとHuaweiのオンラインコミュニティの824人のユーザーを対象にした研究で、ゲーミフィケーションの主なカテゴリ(没入、達成、社会的相互作用)が、ブランドエンゲージメントの3つの主要カテゴリ(感情、認知、社会)とブランドエクイティにどのように作用するのかを研究しました。

背景

ゲーミフィケーションは、ゲームで見られるものと同様の肯定的な体験をもたらし、結果としてユーザーの行動と認知プロセスに影響を与えることを試みる設計アプローチを指します(Hamari、2019、Huotari and Hamari、2017)。
Gamification refers to the design approach that attempts to bring about similar positive experiences as those seen in games, and consequently affect user behavior and cognitive processes ( Hamari, 2019 , Huotari and Hamari, 2017 ).
引用:https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0148296319307337?via%3Dihub

ゲーミフィケーションでの没入とは、アバターやストーリー性、達成はバッジやミッション達成、社会的相互作用はチームやコンペなどによってそれぞれ基底されます。

ブランドエクイティと関連する3つのブランドエンゲージメント

ブランドエクイティはブランドロイヤリティと認知度によって構成され、企業が持つ可能性のある無形資産の最も重要な側面の一つとみなされている。
ブランドエンゲージメントはブランドエクイティの最も重要な決定要因の一つであると考えられる。ブランドのエンゲージメントが高い顧客は、ブランドへ満足し、ロイヤルティを高める可能性があります。そのため、ブランドエンゲージメントとブランドエクイティは正の相関関係があると推測されます。

ブランドエクイティと関連する3つのブランドエンゲージメントですが、それは感情、認知、社会とのことです。
当然ですが、顧客がブランドに強い愛着wもっていれば高く買ってくれる意欲を示すようなブランドへのコミットつまりブランドエクイティは強化されます。
また、他のユーザーとのソーシャルインタラクションは、ブランドエクイティをさらに発展させる可能性があります。また、十分にエンゲージされたユーザーはインフルエンサーのような役回りでブランドを啓蒙してくれます。

研究結果

達成と社会的相互作用に関連するゲーミフィケーションは、感情的、認知的、ソーシャルブランドエンゲージメントと正の関連があったが、没入についてはソーシャルブランドのみで正の相関があった。
つまり没入(アバターやパーソナライズ、物語設定など)は感情的なエンゲージメントと関連しないということです。
逆に達成(バッジ、ゲーム内通貨、ランキングなど)と社会的相互作用(コンペ、チーム、ソーシャルネットワーキング)が感情、認知、ソーシャルブランドのエンゲージメントに正の相関していることに対して意外だと論文では述べています。

今後はゲーミフィケーションをマーケティングに活用する上で、オンラインコミュニティマネージャーおよびデザイナーが重要になってくるのではないかとも述べられています。

まとめ

個人的には人間は本質的には報酬と社会的繋がりを求める生き物なんだと思いました。
それを促進する仕掛けを作れば、ブランドへの貢献度は高くなり、ゆくゆくは自社製品を購入する強い動機づけにもなると思われます。
今後ますますオンラインコミュニティが発展する中で一つの指針になりそうな研究でした。

元となった論文↓

普段は脳科学や経済学関係について調べていますので、もしご興味ある方は他の記事やコメント、メッセージください!

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