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ハラリ『サピエンス全史』&『ホモ・デウス』を読む

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『サピエンス全史』を中心に、ユヴァル・ノア・ハラリの著作に関するnote+αを集めました。
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#言葉

AI、曼荼羅、深層学習。神話論理と言語の未来 -人間もしくはAIが「言葉の意味を理解する」とは

チャットAIの知性と、人類の知性ChatGPTの登場をきっかけに対話型の文章生成AIが注目を集めている。 わからないこと、知りたいことを対話型のAIに質問でも相談でもすれば、まるで親切でポジティブな人間のように的確な文を返してくれる。 例えば「○○とは何か?」式の質問(つまり「○○とはXXです」と答えることができる質問)や、学生のレポートや仕事の資料に使う文章やメールの文案といった、いままで私たちを「はて、どう書いたら良いものか…」と日々悩ませ、生産性と称されるものを低下

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言語「生成」の究極へ -レヴィ=ストロースの『神話論理』を深層意味論で読む(番外編)

クロード・レヴィ=ストロース氏の『神話論理』を意味分節理論の観点から”創造的”に濫読する試みの第33回目ですが、今回は「番外編」として、言語の「生成」について書いてみました。 言語の生成といえば、まさに「生成AI」。 人間が生成する言語 AIが生成する言語 あるいは、言語それ自体が生成する言語(?!) その違いについて考えてみたいと思います。 これまでの記事はこちら↓でまとめて読むことができます。 これまでの記事を読まなくても、今回だけでもお楽しみ(?)いただけ

虚構=シンボルの力がホモ・サピエンスを勝者にした ー『サピエンス全史』より

(このnoteは有料に設定していますが、ただいま最後まで無料公開中です) ユヴァル・ノア・ハラリ氏の『サピエンス全史』を読む。 この本ハラリ氏の議論がおもしろいのは、私たち人類の”虚構”を作り共有し信じる力に着目して、歴史の大きな展開を記述しようとしたことにある。 認知革命・虚構の力私たちの祖先が虚構を作り、共有し、信じる力を獲得したこと、つまりある種の言葉を扱えるようになった出来事をハラリ氏は「認知革命」と呼ぶ。 進化の途上で、私たちの祖先が他の類人猿との共通祖先か

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文字は「虚構」を大量コピーする技術 ー読書メモ:『サピエンス全史−文明の構造と人類の幸福』(2)

ユヴァル・ノア・ハラリ氏の『サピエンス全史』を読む。 この本のおもしろさは歴史を論じる上で、私たちの「虚構」を信じる力に着目するところである。 サピエンスの歴史とは、虚構を作ったり、保存したり、広めたりする技術の歴史でもある。 ハラリ氏は、現在の私たち人類が自らの「虚構」を生み出す能力との折り合いのつけ方に困り、虚構を扱いかねていると問題提起する。 『サピエンス全史』下巻の最後には次のようにある。 私たちはかつてなかったほど強力だが、それほどの力を何に使えばよいかは、

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「私」を作り上げるのは周囲の他者たちが繰り出す言葉 ーユヴァル・ノア・ハラリの「意味のWeb」

ホモ・サピエンスが、他の動物や他の人類との競争に勝ち、地表のほぼ全体をその生息領域にするまでに至ったおよそ7万年くらいの歴史。 ユヴァル・ノア・ハラリ氏の『サピエンス全史』はその歴史を一挙に捉えようとした試みである。 ではなぜ人類は、他の猿たちの一種に留まること無く、特別な動物になったのか? その勝因としてハラリ氏が上げるのは人類に特有の「協力」する力である。 サピエンスは初対面の相手と協力できる「協力」ということについては、ハラリ氏は『ホモ・デウス』の第三章でさらに

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