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ハラリ『サピエンス全史』&『ホモ・デウス』を読む

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『サピエンス全史』を中心に、ユヴァル・ノア・ハラリの著作に関するnote+αを集めました。
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#読書

虚構=シンボルの力がホモ・サピエンスを勝者にした ー『サピエンス全史』より

(このnoteは有料に設定していますが、ただいま最後まで無料公開中です) ユヴァル・ノア・ハラリ氏の『サピエンス全史』を読む。 この本ハラリ氏の議論がおもしろいのは、私たち人類の”虚構”を作り共有し信じる力に着目して、歴史の大きな展開を記述しようとしたことにある。 認知革命・虚構の力私たちの祖先が虚構を作り、共有し、信じる力を獲得したこと、つまりある種の言葉を扱えるようになった出来事をハラリ氏は「認知革命」と呼ぶ。 進化の途上で、私たちの祖先が他の類人猿との共通祖先か

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『サピエンス全史』から『ホモ・デウス』へ ー「虚構の力」の使い方

『サピエンス全史』で知られるユヴァル・ノア・ハラリ氏の著書『ホモ・デウス』を読む。 本書のタイトルにある「ホモ・デウス」とは一体何のことだろうか? ホモ・サピエンス(わたしたち)やホモ・ネアンデルターレンシス(いわゆるネアンデルタール人)といった様々な種をひとまとめにしたカテゴリーが「ホモ属」である。 ホモ・デウスは、やがてホモ・サピエンスから分かれて進化するであろう、ホモ・サピエンスとは別種の新種のホモ属のことを呼ぶ名前である。遠い将来、ホモ・サピエンスの子孫たちは変

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文字は「虚構」を大量コピーする技術 ー読書メモ:『サピエンス全史−文明の構造と人類の幸福』(2)

ユヴァル・ノア・ハラリ氏の『サピエンス全史』を読む。 この本のおもしろさは歴史を論じる上で、私たちの「虚構」を信じる力に着目するところである。 サピエンスの歴史とは、虚構を作ったり、保存したり、広めたりする技術の歴史でもある。 ハラリ氏は、現在の私たち人類が自らの「虚構」を生み出す能力との折り合いのつけ方に困り、虚構を扱いかねていると問題提起する。 『サピエンス全史』下巻の最後には次のようにある。 私たちはかつてなかったほど強力だが、それほどの力を何に使えばよいかは、

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