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映画と車が紡ぐ世界chapter123

長いお別れ:ロング グッド バイ プジョー RCZ 2014年式
The Long Goodbye Peugeot RCZ 2014

僕とカノジョの仲直りには 
マリーが必要だ
アメリカンショートヘアーのマリーと
お気に入りのおもちゃ『ミニマウスくん』は
カノジョと一緒に  僕の家に嫁いできた

マリーは僕たちが喧嘩をすると 
加害者の所へ『ミニマウスくん』を加えてやってきた
その精度は100% NASAの精密機械に劣らない
そんな時 
僕らは『ミニマウスくん』に手紙を付ける
するとマリーは 
それを咥えて持って行く
「ごめんね」と書かれた 手紙を読んで 僕らは仲直り
マリーは 感謝の印として 
大好物のサイエンスダイエットが待っている
これが 僕たちの仲直りの法則だった

しかし 僕の休日出勤が原因で始まった あの日・・・ 

いつものように(その日は カノジョのところにマリーは現れた)
マリーが『ミニマウスくん』を加えて 僕の所へやってきた
その時・・・ 
マリーは 一週間前に完成させたばかりのプラモデル
『イギリス海軍魚雷艇 ボスパー1/35モデル』を 破壊した

 「何してるんだ!」

ついカッとなった僕は マリーを追い払ってしまった
仲直りの法則が壊れた・・・

きっかけをなくした僕たちは 
一つ屋根の下にいながら 別々の生活を送るようになった
そして・・・
マリーは 僕を見ると
Fuuuuuuuuuuuuuuuuuuuu!と 
尻尾を膨らませて 威嚇するようになった

ある日・・・
仕事から帰ると
机の上に カノジョからの置手紙があった

「母が倒れたので 実家に帰ります マリーを よろしくお願いします」

お互いに 
気まづい雰囲気だったから 少し距離を置くことは 良いことなのだろう
そう思ったが 心残りは マリーだ

「仲良くやろうな!」
そう言って 顔を近づけたとき

Figyaaaaaaaaaaaaaaaa
怒ったマリーは 僕の顔を引っ掻いた

「そう怒るなよ!」
そう言いながら 大好物のモンプチで機嫌をとる
しかし 僕が買ってきたものは 一向に食べる気配がない
しかたなく 片付けようとすると

Figyaaaaaaaaaaaaaaa
またしても 僕はひっかかれた

フィリップ・マーロウ(Elliott Gould)の苦しみが 
少しだけ理解できた
指で鉄砲の形を作り マリーに向かって言った

「お前とは うまくやれない ロンググッバイ Bang!」

Figyaaaaaaaaaaaaaaa!!
でも・・・
痛い目を見たのは・・・僕だった
マリーの勝ち誇った目は 爛々としていた

一週間が 経過したころ 
カノジョから帰宅の通知メールが届いた

・・・ ・・・ ・・・

東京駅についた私は 
八重洲口の車寄せで 
真っ黒のネコ目のスポーツカー RCZを見つけた
Peugeot NO1のスポーツカーは 
どこにいても そのしなやかなボディが際立つ
やっぱり Peugeotはいいわね!
彼と自分の価値観が同じことを改めて認識しながら RCZに近づいた

「おかえりー!」 「Nyaaaaaaaaaaaaaaaa!」

!??

不思議に思って 車内を覗くと
後部座席には マリーも乗っていた
あれほど 車にネコは入れないといっていた彼が・・・

彼の手作りらしい 
キャットチェアの中には『ミニマウスくん』も見えた

「ごめんなさい・・・大丈夫だった?」

「あぁ うまくやっていたよ ただ少し寂しかったかな」
「Nyaann! Nyaann!」

彼とマリーの声が重なる 
マリーも同じだ と言っているようだ
私が留守の間に
彼とマリーの間には 深い絆が生まれたようだ
ちょっとだけ嫉妬しながら 微笑んだ

Fufufufufu・・・

「どうしたんだい?」 「 Nya??」
彼とマリーが尋ねる

「いいえ・・・」 
私は にっこり笑いながら 彼にそっとキスをした
彼の顔・・・ 
そして手のあちこちにある無数のひっかき傷・・・
その傷の数だけ 彼の優しさを感じた

ネコ目の車の 後部座席では 
彼とカノジョの仲直りを見守り安心したマリーが
『ミニマウスくん』を抱えながら
チュールの海に飛び込む夢を見始めていた 

♪ John Williams | The Long Goodbye (1973) | Jack Sheldon ♪

※2月22日は、ネコの日だそうです
 The Long Goodbyeのフィリップ・マーロウは 
 せっかく買ってきたキャットフードを猫に食べてもらえません・・・ 


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