見出し画像

メンテナンスのこと No.1 真鍮編

金属ってお手入れが面倒、大変そう。なんだかよくわからない。緑青って毒でしょ等というお声をよく頂戴します。
実際、陶器やガラスとは違いますし、金属は色が変わるのが特徴です。
弊社サイトのお手入れ方法のページへのアクセス数も多いので、素材や仕上げ別にご紹介していきます。
https://www.wato-design.com/maintenance/

金属の経年変化

色が変わるから楽しいのか、面倒なのか。金属は壊れにくい素材ではありますが、変化は激しい素材です。手でさわるのはもちろん、水分や油だったり、空気中の酸素、日光、様々な要素で変化していきます。

身近な金属といえばお金でしょうか。
1円玉がアルミ、5円玉が真鍮、10円玉が銅、50円玉と500円玉が洋白に近いです。なので、そんな風に色が変わっていくということです。
新しいお金はピカピカですが、すぐにくすんだ色に変わります。そして、レモンやお酢等で磨くとまたピカピカになります。金属のくすみや色の変化は酸化膜なので、酸性のもの磨くと綺麗になります。
なので、経年変化を楽しむもよし、こまめに磨いてピカピカを楽しむのもよし、気になった時に磨きあげて元に輝きに戻るのもよしです。
ちなみに、毒じゃないかと言われる緑青も酸化膜、つまりサビです。昔の銅は精錬技術が未熟だったため、銅の中に含まれた不純物(ヒ素・水銀・カドミウム等)が緑青と一緒に溶け出て、体に害を与えたそうです。
WATOではJIS規格の金属を使い、器やカトラリーは、指定の検査機関にて、食品衛生法基準試験をうけ、クリアしております。また、メンテナンスのご相談にものっておりますので、安心してお使いいただければと思います。

金属の経年変化をよしとしているので、基本、表面コート等の処理はしていません。それでも、お客様の元に届く前に酸化してしまうのも困るので、最初は蜜蝋を塗っていました。それでも取れてしまって困ることがあったので、今はガラス塗料を薄らと塗っています。幾ばくか酸化から金属を守ってくれます。
ウレタン塗装をすることで酸化を防ぐこともできますが、金属らしさもなくなりますし、金属にのる塗膜がどうも私は好きではなく、またその塗膜の間から酸化することもあります。ただご希望の場合は塗装もしています。

金属の色は、使うほど味わいのある表情になっていくのが特徴です。色むらや黒ずみがでても使い続けていくことで馴染んできます。
ご自分だけの経年変化を楽しんでいただければと思います。お手入れも楽しみの一つとしていただけたらと思います。

真鍮のお手入れ

真鍮とは、銅と亜鉛の合金です。
銅と亜鉛の割合違いで、1種(銅7:亜鉛3)、2種(銅6.5:亜鉛3.5)、3種(銅6:亜鉛4)とあり、うちでは使い分けをしています。銅が多い方が柔らかく、少ない方が切削加工に向いていて、微妙に色も違います。

陶器などの通常の食器洗い同様、中性洗剤とスポンジで洗ってください。使用後は、すぐ洗って、水気を拭き取ってください。荒いスポンジでこすると、細かい傷がついてしまうのでやわらかいスポンジをおすすめします。水滴が残っているとそこが跡になります。それも味といえば、味になります。私は豆な性格ではないので、洗ったらそのままで、乾いたらしまっています。

画像1

普通に洗ってもとれない場合はクレンザーや重曹を使います。
それでもとれない場合は酢やクエン酸を使います。全体がつかるよう、約10~30分、酢水(or クエン酸水)にいれます。水で洗い流し、重曹で中和します。しぶとい汚れの場合、何度か繰り返してください。

画像2

重曹やクレンザーはペースト状にして擦ることがポイントです。クレンザーと重曹は混ぜても大丈夫です。先に重曹で試して、それでもダメな時はクレンザーを使ってみてください。あ、洗う時はちゃんと手袋してくださいね。
あとはメラミンスポンジ(あのなんでも綺麗にする白いスポンジ)でも綺麗になります。つまり酸化膜を擦り落として綺麗にするという作業です。

黒くなってしまったシルバーも、重曹の擦り洗いで簡単に綺麗になります。チェーンなんかを綺麗にするのにとっても楽です。

洗うのには、やわかいスポンジをおすすめしましたが、荒いスポンジや、やすりでヘアライン仕上げというのもありです。いくつかこの仕上げで作っています。
例えば、
真鍮の蚊取り線香立て [ プレーン ]
https://wato-design.stores.jp/items/5eddc06b55fa03124b205085

Stone S ふぞろいの真鍮皿
https://wato-design.stores.jp/items/5e7a52ed9df163649b89de87

真鍮の長方皿 [ プレーン ]
https://wato-design.stores.jp/items/5e85f984e20b040f4b1997ca

これはこれで、また違った真鍮の素材の良さを楽しめますし、なにより汚れが気になったら擦って落とせばいいので、お手入れも楽です。

真鍮は金に近い色をしていることから、韓国では宮廷の食器として使われていたという話を聞いたことがあります。抗菌効果が優れ衛生的であるという点からも、他のアジアの国でも高級食器という扱いだとか。

日本では金属器は身近ではないですが、茶托・コースター、アクセサリー等を置くトレーや菓子皿なんかにお使いいただくのがお勧めです。今後、お勧めの使い方もご紹介していきます。

次回は銅(黒染・緑青)のお手入れ方法をご紹介しようと思います。
(WATO 小笠原)

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?