スライド3

「新規事業頼りの年間売上計画」に疑問を持つ貴方に贈るたった一つの言葉

スライド1

早いもので今年もあと3ヶ月。
1−12月期決算の会社では、今まさに来年、2020年の年間予算(売上目標)の策定が行われている真っ最中ではないでしょうか。

毎年、年間予算(売上)策定会議で繰り広げられる光景

経営トップ「来期の売上目標は20億円。YoYは200%ね。詳細な内訳は3人で決めて来週報告して」

          ・・・(一瞬の間)・・・

部門責任者A「はい、かしこまりました!!(え、マジか2倍は無理だろ。でもとりあえず元気よく返事〜!)」
部門責任者B「なるほど・・・(否定でも肯定でもない、日本語の奥ゆかしさ全開で)」
部門責任者C「・・・(どうやって自分に予算が振られないか考えよう・・)」

※注:個人が特定できないように脚色しています。

予算策定には3つのアプローチがある

予算策定には「トップダウン」「ボトムアップ」の2つのアプローチがあり、加えてトップと現場それぞれ予算を出して「折衷」させる第3のアプローチも存在します。

スライド2

それぞれに、メリット・デメリットがあります。
まとめると上の図のようになります。

冒頭の経営トップのやり方は、トップダウンと折衷アプローチの間ですね。

部門責任者は無茶振りと反応していますが、経営側があえて難易度の高い目標を設定している可能性があり、一概に無謀である、とは言い切れません。
(ストレッチした高い目標を設定しておけば上手く着地するだろう、あるいはキリの良い数字で、と単純に考えている可能性もありますが・・)

人間の行動も3パターン

(これは予算策定だけではなく業務のあらゆる場面での話ですが)課題が与えられた際に、人間の行動には大きく3つの反応があると思っています。

1、積極的に受け入れる人
常に大きな目標を目指してチャレンジする行為自体を善しとする人。
2、決定だからと受け入れる人
与えられた前提条件の中でどうやろうかを考える人。
3、反対・否定する人
どこまで表立って言うのかは人により濃淡があるが、決められたルールや前提自体に異を唱える人。

質問者さんの感情は、少なくとも1ではなく、2もしくは3に近いようですね。

その時Cさんがとった行動は・・

じつは冒頭のCさんも質問者さんと同じ新規事業の担当者でした。

彼は、成長期にある自分の会社が強気な目標を設定したい意図は充分理解するが、自分が担当する新規事業は正式ローンチ前であり、売上計画に組み込むべきではない、と丁寧に言葉を選びながら主張しました。

しかし、会社の決定はNO。
根拠は、過去何度かこの方法で売上を伸ばしてきたから
、でした。

その後Cさんは自分が担当する新規事業を成長させるべく頑張りましたが、力及ばずで、年間売上目標のマイナスを作った事業責任者として社内で評判を下げる結果となってしまいました。。

新規事業にのしかかる負担

既存事業は一般的に、安定的な成長しか期待できません。
そうなると、その差分は新規事業で埋めるという構図になりがちです。
図にするとこんな感じです。(理解のための極端な例です)

スライド3

一方で、新規事業の成功確率は非常に低く、単年黒字になる確率でさえ17%というデータがあります。
ですから、成功確率が低い新規事業で年間計画を立ててしまう行為は、ギャンブルに近い、という意見があるのも頷けます。

では、Cさんはこの時どのような「判断」と「行動」を行えばよかったのでしょうか。

スライド4

1、時間軸を操る
新規事業はその性質上、単年度では正しく評価されにくいです。
複数年度という時間軸で事業評価を行うべきである、という前提の合意を得て、その上で年間目標を決める流れをつくりましょう。
2、売上以外で新規事業を評価するKPIを定める
売上目標以外の事業を成長や評価をできるKPIを別途設定して、サブKPIとして同時に追っていく体制を整えましょう。
年間売上計画に組み込まれる以上、売上数字から逃げることはできませんが、サブKPI(たとえば顧客数、単価、競合比較数値etc)を同時に報告する体制を公式的に認めてもらうことで、建設的な議論が可能となります。

※「公式的に」がじつはとても大事です。非公式とすると何ヶ月後には忘れられ、「なんでこんな売上低かったんだっけ?」とだけ言われはじめてしまいます。
3、修正が合理的であるという合意(コンセンサス)を得る
新規事業は誰も行ってこなかった事業であり、やってみてわかることも多いものです。
新規事業は軌道修正が前提であることを理解してもらい、たとえば半期毎で、これまでの振り返りと同時に数字についても修正できる可能性を担保しておきましょう。

テクニックとしては、このような選択肢があったでしょう。
この3つのいずれか、もしくはこれらを組み合わせることで乗り切れる可能性が高まったのだと思います。

でも、あえてお伝えしたい言葉

でも、質問者さんに本当にお伝えしたいのは、「テクニック」の話ではありません。

「失敗してもお金失うわけでも、生き死に直結するわけでもないんだから、
思い切って挑戦しなさい。
それがサラリーマンの特権だよ」


今でも心に残っている、ある信頼する方から言われた(ちょっと過激な)言葉です。

会社の枠組みの中で新規事業を行うことの特権を存分に利用してください。
(会社のお金だから粗末に扱って良いという主旨では決してありません!)

もし高い目標を課せられたのであれば、最初に決めるべきは心、つまり「決心」です。

そして、決心ができたら、事業の成功確率を高めるために必要な「人・モノ・金」の環境を整える交渉をしてください。テクニックを使ってください。

スライド5

サポートもとても嬉しいですが、記事へのスキ(ハートマークをクリック)や、アカウントのフォローももっと嬉しいです。