拝啓_事業企画さん_016目標設定で大事なこと

来年の個人目標は「コントロールできないもの」を思い切って遠ざけよう

拝啓、事業企画さん_016目標設定で大事なこと

12月は会社勤めの方であれば人事評価の時期ですし、プライベートでも来年の目標を立てる時期ですね。
目標は設定することはできても、達成するのが難しいです。
これは会社の個人目標でも、プライベートの個人目標でも同じです。
目標設定する時に意外と抜け落ちているのが「自分がコントロールできるのか視点」。
来年の目標は「コントロールできないもの」を遠ざけてみてはいかがでしょうか。

目標設定の手法は会社により様々

会社での目標設定方法として最も普及しているのは、ピーター・ドラッカー氏が提唱した概念「MBO(目標管理設定)」です。
期初に個人目標を設定して、面談(最近は1on1と呼ばれることが多い)を定期的に行い、期末に結果(多くの場合プロセスも加味)を踏まえて人事評価を行います。

MBOの手順
1、部下が自身の個人目標を設定
2、上司と面談を行い、目標を決定
3、半期〜1年に一度の評価時に目標達成度合いに応じて上司が部下を評価
  する

続いて、IT企業を中心に導入事例が増えているのが「OKR(Objectives and Key Results)」。Googleやインテルが導入し、関連本が出版され認知度が高まりました。

OKRの手順
1、会社の目標(Objectives)を決める
2、1で決めた目標達成のために必要な成果指標(Key Results)を数個決める
3、会社単位から、部署→チーム→個人の順番で目標(O)と成果指標(KR)を決める
4、1ヶ月〜四半期毎にレビューを行い見直して成果の最大化を実現する

2つの手法の違いは、MBOが部下の評価を公正に行う意味合いが強いのに対して、OKRは組織(会社)の生産性や成果の最大化が目的となっています。

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目標は達成率は6割程度?

手法は様々だとして、肝心の目標の達成率はどの程度でしょうか...?
「OKR」は、野心的な挑戦を行うことで成果を最大化する手法のため、あえて60~70%の達成が予想される目標を掲げているため一旦横に置いておきます。
100%を基準とする「MBO」の場合、転職アプリの調査によると目標達成は53.2%でした。

では、プライベートの目標はどうでしょうか? 英会話教室の「Gaba」が調査したプライベートの個人目標の達成率は61.1%でした。

目標の種類や難易度は様々ですが、目標の達成率としては実感値に近いのではないでしょうか? いずれにしても、目標設定を行っても目標を達成できる割合は高くないのが現実です。

目標を達成できない理由の一つは「人事評価」

最初に紹介したドラッカー氏が提唱した「MBO」。
現在では多くの企業で個人の「目標管理」として活用されていますが、元々は個人の自主性を大事にすることで大きな成果を得ることを目指した概念でした。
それが日本では1990年以降の成果主義と結びつき、目標管理や人事評価手法となり定着しました。

目標は掲げること(目標設定)と振り返ること(評価)がワンセットになのですが、それが人事評価に紐づいてしまうと、みんなが目標を達成してしまっては評価が難しくなりますから、あえて難しい目標を設定する構図になってしまいます。いわゆる「減点主義」ですね。

もちろん、高い目標を掲げて個人の能力を引き延ばすマネジメント手法は、目標連鎖効果も確認されていますので、単純に悪者にしたいわけではありません。

もしあなたが目標が達成できないことを悩んでいるのであれば、目標を達成できにくいゲームであることを知っておいて欲しい。
必要以上に自己否定に走ってしまうことを避けられるはずです。

目標は「自分がコントロールできるもの」と「それ以外」に分ける

話を本題に戻します。では来年の個人目標はどのように目標設定を行うのがよいのでしょうか?
一般的には「SMARTの法則」に沿って考えるのが良いとされています。

SMARTの法則
Specific:具体的である
Measurable:計測できる
Achievable:達成可能性がある
Realistic:現実的である
Time-bound:期限がある

また、目標を「小さい単位」にして、進捗を細かく追うのも目標達成には有効とされています。

具体的で、難易度も調整されている明確な目標設定や、実現に向けた行動管理も大切だと思いますが、大事なことが抜けています。

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これは、奴隷の哲学者と呼ばれているエピクテトスの言葉です。

彼は、真の自由を得るために「我々次第であるもの(自分がコントロールできるもの)」「我々次第でないもの(コントロールできないもの)」の境界を明確に定め、認識、欲求、人間関係の見方を正すことを説きました。

エピクテトスは日本では知名度が低いですが、歴史上の著名人に多大な影響を与えています。(興味ある方はこの本読みやすいのでてオススメです。ちなみにアフィじゃないです笑)

目標設定も同じです。

・市場環境の変化により、目標達成できませんでした
・戦略が変わってしまったため、目標達成できませんでした
・営業が提案してくれなかったので、目標達成できませんでした
・社内稟議に時間がかかってしまったため、目標達成できませんでした
・採用がうまくいかなったため、目標達成できませんでした
・消費税増税があったため、目標達成できませんでした
・トランプ大統領の発言により、目標達成できませんでした

「トランプ大統領の発言」は冗談ですが笑、
個人目標を設定する際にどこまでが「我々次第」つまり「自己完結できるか」が明確になっていないことって実はすごく多いです。

組織で働く場合、個人やチーム・多部署と連携して業務が完結しますので、気持ちとしては「無限責任」であるべきですが、個人目標を設定する際には「有限責任」で考えるべきです。
スタッフレイヤーから役職者に上がるに従い「我々次第」の範囲が大きくなるはずです。

そして、目標を立てる側も目標を評価する側双方でこの区別の認識がすり合っていると、評価に「納得感」が生まれます。

まとめ

エピクテトスの言葉を借りれば、もしかしたら会社の人事制度も人によっては「我々次第ではないもの」なのかもしれません。

不満に思ったり納得がいかないことも多いかもしれませんが、「我々次第」が何かを見極め、自分が本当にやりたいことに集中するのが幸せというものではないでしょうか。

「達成できる目標がより良い生活をもたらす」という研究結果があります。
年末年始「コントロールできるもの」という視点を持って目標設定を行ってみてはいかがでしょうか。

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