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秋のうた(自作)

金木犀三首

人知れず 秋の風は 道をひらく

木犀の香を 届けまわりて


人造の この街包む 澄香よ

仙境へ迷いたる 心地しぞする


 枯れ野には 花香残るよ 甘やかに

よみがえらすは 青春の旗



種を蒔く 水が沁みてく 土の中

冷たき風の 声は届くか


まだ青き 銀杏の中に ひとひらの黄

落ちたかと見よ モンキチョウの葉


2020.12.3 後日鑑賞

時間を置いて見直したら気になるところが多々ありました。

一首目、二首目はほとんど散文です(苦笑)。 特に口語そのままの語順と「人知れず」「心地しぞする」の表現はとても説明的。例えば「夜の公園」など、掴みの景色を人のいないとわかるものにするような工夫ができた。それから、句切れや体言止めなど、もっと五七五七七のリズムを生かしたいところ。私には、語順を慣れた散文体から思い切って変える意識が必要です。「金木犀の香りを届けて回る風」はその時感じた爽やかさが出ていたので、残しておきたい。コンクリートの街に漂ういにしえの香りの夢想世界をもっと鮮烈に表現したいところ。



三首目

「枯れ野」「旗」という、どこか漢語的、男性的な語と「花香残るよ」の響きの優しさのバランスが取れていませんでした。「枯れ野」の効果がみえないのが原因かな。枯れ野を老境に、甘い香りの花の時期を青春に例えて、ふと昔の華やいだ笑い声を思い出しているのだけど、詠み手に伝わりにくいかも。金木犀が青春を呼び起こすのは誰もが感じることではない(ですよね?)けど、普遍的と言うように聞こえる表現が気になります。下の句を「風に振り向けば 在りし日日光る」に変えてみたらどうでしょう。これもぴったりはこないのですが…、良くなる気がします。


四首目

種を蒔く 水が沁みてく のリズムが心地いい。これぞ歌の醍醐味!リズムに乗って言葉が耳に残っていく。思い溢れて主題がわかりにくいのが勿体ない。1首1テーマという縛りはないし、テーマの簡潔を求めると詠み手の自由な心が制限されてよくないと思うのだけれど、複数の意味を持たせるとしても具体的に絞った内容にしないといけない。この歌は抽象的すぎて、散文にした方が生かせる内容だった。



5首目

これも下の句の意味が伝わりにくい。抽象から具体へが私の課題だな。

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