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読書感想 番外編。 『大丈夫マン』 藤岡拓太郎作品集 藤岡 拓太郎 (著)  『たぷの里』に続き、子どもが読ませてくれました。好き。

読書感想 番外編。
『大丈夫マン』 藤岡拓太郎作品集 2021/1/19
藤岡 拓太郎 (著)

  この前の『たぷの里』も、この本も、僕が自分で買ったわけではなく、子どもの中の1人、誰かは特定しないでおくけれど、が貸してくれたのだけれど。

たぷの里


  『たぷの里』は絵本だが、こちら『大丈夫マン』は短編マンガ集です。

 爆笑ヒット打率4割くらいで、場外ホームランもときどきある。あとがきも味わい深い。

 この前読んだAIアンドロイドの小説『恋するアダム』(イアン・マキューアン)の中で、世界中の文学を学んだAIアンドロイド、アダムが、文学とその未来について語るところがある。そこを翻訳者、村松潔氏が解説でまとめてくれている。引用します。

「さらに文学の未来についても、作者はアダムになかなか興味深い未来像を語らせている。アダムはシェイクスピアの全作品をはじめ世界中の文学を読んでいるのだが、そのほとんどがさまざまなかたちの人間の欠陥を描写している。愛や、やさしさ、賢明さも描かれているが、貪欲や、無理解や、自己欺瞞や、とりわれ他人についての根底的な誤解が描かれているというのである。だが、やがてわたしたちは精神の共同体に住むことになり、いつでもそこにアクセスできるようになるだろう。わたしたちは深いレベルで一体になり、主観的な意志の個々のノードが融合して、思考の海ようになる。わたしたちはおたがいを十分すぎるほど理解するようになるので、現在のような文学はもはや不必要なる。文学は不健康な滋養物を失うことになり、簡潔かつ精巧な俳句、物事の静かで明晰な認識であり祝福である俳句こそが、必要なただひとつの形式となるだろう。」

  アダムは、おそらく、藤岡拓太郎作品は読んでいないだろうな。他人についての根底的な誤解や無理解が、愛ややさしさと一体になっているという、この洗練された表現を、アダムは理解できるのだろうか。

  そんなややこしいことを、いや、全然、読んでいるときは、考えなかった。ただただバカのように笑い続け、妻に心配されただけである。

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