ちょうど一年前、2021年2月~4月の三か月分の日経新聞を、古紙回収に出す前に一気読み直し。バイデン政権発足直後3ヶ月の外交記事に、ウクライナ戦争につながる記事や解説を再発見する、の巻き。
さて、月末恒例。今朝30日が、古新聞をトイレットペーパーと交換してもらうのに出す日だったので、久しぶりに「古新聞一気読み」に徹夜で挑戦しました。
今回読み直したのは、なんと1年前、2021年の2月3月4月の三か月分の日経新聞朝夕刊、全部読みました。
これまではだいたい「その頃新型コロナはどんなだったか思い出してみよう」で読んだのですが、今回は「そのころ、発足直後のバイデン政権とロシア、ウクライナ、EU、NATOはどんな感じだったのかな」という興味で読みました。大統領選挙は11月だったのに、トランプが不正選挙だとごねたり議会占拠大暴れがあったりで、政権発足は1月20日。ということで、バイデン政権の、ほぼ立ち上がりの外交の歩みを見ていけるのだよね。
その前に、日本はどんな三か月だったかと言うと、新型コロナは、お正月からの非常事態宣言が、2月では解除できず、3月まで延長。3月にすこしおちついたのだけれど、大阪で3月半ばから感染急拡大。4月にまた緊急事態宣言が東京大阪で出た、と言う状態。ワクチンは3月にやっと認可されて、という状態で、普通の人はまだ打っていません。
政権はまだ菅政権。オリンピックは「観客入れる無観客?」「聖火リレーは?」なんていうこと悩んでいる最中に、森会長の女性蔑視発言が出て辞任。川渕氏も就任するかですぐ引っ込む。なんていうのが2月の半ば。4月に世界のジェンダーギャップ156カ国中120位と発表されて、そりゃそうだ、とみんな思ったわけだ。雰囲気、思い出したかしら。
スエズ運河に日本の船が挟まって大騒ぎ、なんていうのが3月末。2月には東北で震度6で東北新幹線が10日ほど運休、なんとびっくり、一年前と今年と、同じような地震被害が起きている。外交、世界のニュースで大きいのは、1月末のミャンマークーデター。これと、前年からの香港の民主化潰し、本土化が進んだことのニュースが多い。
という中、「ウクライナの戦争は、実はバイデン政権の戦争」という僕の仮説、その目でひっかかった、関係ありそうな記事を紹介しながら、「なんとまあ、一年前に、戦争の原因は出尽くしていたのねというのを見ていきましょう。
記事をだらだらと追っていくのもいいのだけれど、ポイントをまとめると
①バイデン政権は2/4の外交方針演説では「中露への対抗」ということを言っていたのが、中ロ、どっちがより重大なライバルか、ということについて、どんどん「そりゃ中国だ」ってバイデンさんはなっていく。この、中国と較べて、ロシアが軽く扱われている感というのが、まず基調にあると思うのだよね
と、初めは「中ロ」と言っているのが、2カ月3か月たつと
4月末には「唯一のライバルは中国」とどんどんなっていった。ロシアは「核兵器削減交渉とかガスパイプラインとか、個別の問題でうまくやればいいくらいのもん」扱いになって、国としてのライバルは中国って言い切るようになっていった。プーチンのプライドは傷ついたと思う。この間、何があったかというとのを見ていくと。
②ドイツはまだメルケルさんなのだが、今回話題のガスパイプライン、ノードストリーム2をメルケルさんはやる気まんまん。なのだが、前トランプも大反対だったのだが、それを上回る大反対をバイデンさんは就任早々する。メルケルさんに、何度も「ノードストリーム2やめろ」と文句をつける。なんでかというと、ウクライナを経由している既存パイプラインの重要度が下がるから。そうするとロシアに対するウクライナの立場が弱くなる。なにより、ウクライナのガス会社に、バイデンの次男坊が役員で大金もらっているし。という、「ノードストリーム2」問題についてのバイデンとメルケルの対立についての記事や論説が、この時期、繰り返し掲載されている。
これ、明らかに今回起きたことの伏線になっているよね。起きた紛争への「制裁措置」ではなくて、紛争の原因そのものだよね。
③一方のマクロンについては、(いままで僕はEUは経済的共同体だと書いてきたけれど)、マクロンにはEU軍を創設する構想があって、米英と関係ない、NATO米軍に依存しない、軍事的にEUの自立をし、その盟主にフランスがなるという野望があるという分析や記事が何度か掲載されている。
この一年前までは英国がEUにいたので、こうした独仏のそれぞれの動きとアメリカの間を英国が取り持ってくれていた(ボリスとトランプは気が合っていた)が、英国がEU離脱をし、米国がバイデンになったことで、メルケル⇔バイデンはガスのことで、マクロン⇔バイデンはマクロンのEU軍構想で、どちらも関係がよくない、ということが書かれている。
④バイデン政権発足直前に、ロシアの野党指導者ナワリヌイ氏毒殺されかけ、ロシアに帰ったとたん逮捕され、抗議デモが起き、2000人くらいが逮捕されるという一連事件が起きている。これに対して、この前のポーランドでの演説の一年前にも、バイデンは、プーチンのことを「人殺し」って非難して、一騒ぎ起こしている。
⑤4月中旬に、ばたばたと大きな出来事が重なる。これが、いろいろな意味で、今回の戦争の直接的間接的伏線になっている。
まず4/14に、今回の事態の前兆。
で、
その翌日、ロシアとの関係と言うより、米国、バイデン政権の失敗として後で大きなダメージとなるアフガンからの完全撤退が、4/15に記事になっている。
でその翌日4.16
でロシアはどうなったかと言うと。
といったん反発するも
ということで、ひとまず、引いたわけ・
そうしたら、冒頭の
になったわけ。ライバルは中国。ロシアは制裁で脅せば、引くくらいの相手とバイデンは思った。プーチンは、プライドが傷つけられて、もう引かないぞと、このとき、決心したんじゃあないかあ、と思うわけ。
その他にも、この間の、イランと中国とUAEとカタールとイスラエルと、というあたりの複雑な動き、トルコと米国と、そのあたりの、動きも、今回の戦争の伏線、周囲でいろいろと動くプレーヤーの前提を理解するうえで面白いニュースがたくさんある。
とか、そうそう、中国とウクライナとロシアと米国の絡んだ記事もあった。
というわけで、ちょうど1年前の2月から4月の新聞を読みなおすと、今の米ロ、独仏、中国など、ウクライナをめぐるいろいろの背景が、このときからもうほぼ「戦争に向かって止まらない」状態になっていたのか、という記事がたくさんあったのでありました。
4/14からの、アフガンとロシアとウクライナの緊迫のとき、実は菅さんの初のバイデンさんとの会談が4/16に行われていたのだよね、
1年前は「菅さんバイデンさんと初の首脳会談で、台湾の扱いを確認」みたいな、日本と台湾とバイデン政権、ていう記事にしか目がいかなかったのだよな。今、読み返すと、ウクライナがめちゃくちゃ緊迫して、バイデンとプーチンの対決が行われていたのだな。あのとき。
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