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大人の読書感想文:拝啓人事部長殿

なんともショッキングなタイトルですが、これは全サラリーマンに対して読んでほしい本でした!

まさに日本のすべての大企業の人事部長に宛てた手紙調の書きっぷりですが、今までの「当たり前」を再認識させてくれる良書です。特に、「うちの会社は考え方が古くてさ!」なんて社内で不貞腐れている若者には読んでもらいたいです。

その「古臭い」という感性が、いかに当時は「最新」であり、今、その若者が考えている「感覚」がすぐに「古臭く」なってしまう可能性を孕んでいるのか?を考えるきっかけになると思います。

いつものように、ここは「読書感想文」なので、個人の感想しか書いておりません。概要が知りたい方は下記リンクで概要をしり、深く知りたい方は本を買ってください。そして、さらにもっと深く知りたい方はサイボウズの中途入社を受けてみてください。(入社できる保証なんて何にもないですがwww)


この本に興味が出たら、ぜひ御本人のnoteもフォローしてみてください。(私が宣伝しても、何も出るわけじゃないけどwww)


この本のすごいところは「一人称」で著者の髙木さんが書いており、トヨタを辞めるまでの葛藤や想いなども赤裸々にしているところ。すべてが実体験から記載されているので、納得感が全然違う。

そして、私がこの本に最初に感じたのが「登場人物に誰一人悪い人がいない」という所。

通常、会社を辞めるときって、多かれ少なかれ、「あの人との折り合いが悪い」というのがあると思うんです。でも、この場合は、「人」ではなく、「企業文化」というものに対して、感じている不安感なんですよね。

もしかしたら、我々日本人は、必要以上に「会社」というイマジナリーな存在を過大評価して、必要以上に敵対意識を持ってしまっているのかもしれませんね。(と、すかさずサイボウズ社の他の本の紹介を、、、www)


で、この現代の会社という空間の居心地の悪さ、それは、別に今に始まった話ではなく、色んなものの積み重ねの歴史ということが、この本を読んでわかりました。

(恥ずかしい話、50近くになって、初めて日本企業の人事の歴史を知りました。)

そう、上にも書いた通り、会社経営や組織運営など、どれ一つとっても「私利私欲」で積み上げたルールって、無いんですよね。すべての施策が「良かれと思って」作られたものばかりなんです。

ただ、それがあまりにも効率的に綿密に組まれたおかげで、スパゲッティのようにこんがらがって、よじれて、くしゃくしゃになっちゃっているんです。

そして時代が移り変わり、ITが発展したにも関わらず、一つを変えてしまうと、その他の微妙なバランスが崩れてしまう。。。

そう、会社組織の在り方、というもの自体がいわゆる「経路依存性」に陥っているのかもしれません。


一度、経路依存性の罠に陥ってしまった会社は、果たして生き残れないのだろうか?ここから先は私の推論と、妄想が混じっていますが、そこを打開するのが「カタストロフィー」を起こす事だと思ってます。

カタストロフィーってもともとは数学用語ですが、わかりやすい例えでいうと、水が沸騰する瞬間、99度までは普通の水ですが、100度になったとたんに、ボコボコと泡が出る瞬間がありますよね?あれが急に転移が始まった瞬間、つまりカタストロフィーが起きた瞬間なんだという事です。


で、これを起こす事が経路依存性を脱却するトリガーになるか?という事ですが、経路依存性は良くも悪くも相互補完の関係があるので、色々な事象が起きても、一気に全体が悪くなることがなく、互いに補完しながら、徐々に落下していきます。

(例えば、給与水準が右肩上がりにできなくても、終身雇用と愛社精神がカバーして、なんとなく会社が生き延びちゃう、みたいな)

これに対して、創業間もないサイボウズでは、経路依存性がソコまで高くない状態で「社員の大量離脱」というカタストロフィーが発生し、そこから全体を見直して、現在のような組織になり、さらに悩みつつも高みを目指そうとしている感じがします。(中の人ではないので想像ですが、、、)

ただ、大企業では、そもそも「社員の大量離脱」の前に何らかのサポートが入って、問題が明るみになる前に有耶無耶に対処がされてしまい、問題が見過ごされる可能性があります。

そこで、私が考える経路依存性の罠から脱却する処方箋とし思うのが「人為的にカタストロフィーを起こす」です。

そう、まさに髙木さんのように会社を好きだけど会社を辞め、客観的に会社を見直し、外部から指摘をする。
まぁ、普通のサラリーマンだと、ここまで調査することはできないでしょうが、転職をもっとライトな感じで行い、社内の雰囲気をnoteに書き示す、でも小さな変化を起こす事ができるでしょう。

つまりは、この経路依存性の罠から脱却するためには、何らかのアクションを絶え間なく起こし続け、その罠の中にいる人たちに「あれ?なんかヤバくね?」と思ってもらうことが重要だと思います。


あ、ここまで書いといてなんですが、経路依存性があることで良しとしている社風もあるし、それが逆に参入障壁としてビジネスモデルとして成立させている会社もあるので、悪い面だけでなく、いい面もあることをフォローしておきますね。


つまりは、会社というイマジナリーな存在に右往左往されずに「自分は何をしたいんだ?」という事をよく考えて、今の会社を変えるのか?今の会社の染まるのか?それとも転職するのか?を考えていただければと思います。

そんなことで、この本は企業で働く人(特に若手の方)に読んでいただきたい一冊です。


ついでに、今の会社にイヤになったら、私と一緒に働きませんか?(社内情シスのお仕事しか、いまは募集してませんがwww)


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