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Teamsで組織を活性化した話

この話は私がとある上場企業の部門長だった時のお話です。
バックグラウンドは各社・各組織で異なるでしょうけど、本質的な部分では参考になることが多いだろう、と思いnoteを書くことにしました。

このnoteが、どこかの会社や組織のためになり、チームワークが向上して、より多くの人が「働く幸せ」と「チームへの愛」を感じてくれたら幸いです。

※ちなみに社内チャットツールならストーリーは一緒だと思うので、以後の文章はTeamsの部分をSlackやChatworkやLINEWORKSなり、自社のツールに読み替えてください。


コロナ前後で組織の格差が広がった

肌感ですが、コロナ前後で会社の業績だけでなく、組織としての成果って以前よりも差が開いたような気がしませんか?

以前から調子が良かった企業は更に業績が良くなって、以前から成果を出していた組織や部署は更に良くなっている。そうでない会社や組織はそれほど成果が出せなく平行線のまま、、、
残念ながらファクトとして出せるデータはないですが、私と私の知人友人たちの観測範囲では、以前よりも差が広がったような気がしています。

私の推測にはなりますが、以前から成果を出している会社や組織、部署(以下、イケてる部署)って、組織内での対話がしっかりと行われており、チームワークが良く仕事ができていたのではないでしょうか?

そして、そうではない会社や組織、部署(以下、イケてない部署)って、対話は十分でなかったかも知れないけど、常に全員がオフィスや現場に集合している関係から、その対話の不十分さを「職場の空気感」で誤魔化していたのではないか?と思うのです。

つまり、イケてない部署の場合、部長が「常務から言われたから、明日までに資料出しておいて!」と部内に指示を出した時、その鬼の形相を見た部員たちが「うわ!こりゃ、形だけでも出さないと明日は雷落ちるぜ」と、周りが忖度して、なんとかデータをかき集めて、資料を仕上げて帳尻を合わせていたのではないか?と思うのです。

それがリモートワークやハイブリッドワークになった途端、言葉だけでは部長のニュアンスは伝わらず、だれも忖度することなく、無理しない範囲でしか資料を出さなくなったのではないでしょうか?

イケてる部署はどうやっているのか

では、逆にイケている部署はどのように仕事をしていたのでしょうか?
こればかりは、各社や各組織によって成功パターンは色々あるので、一概に言えないですが、私の観測範囲では「情報共有が背景も含め、きっちり出来ている事」がイケてる部署の特徴だと感じてます。

上記の事例と同じような場合、イケている部署であれば、部長が「明日の経営会議の主題が当事業に変わったらしい、ついては急遽、予測数字をまとめて常務に報告せにゃアカンのだけど、どうしよう?」と、部内に呼びかけたんじゃないか?と思います。

そうすると、普段から対話と情報共有が出来ている部員の中の一人が、「それなら、Salesforceのココの数字をまとめると、予測値すぐにでますよ」なんて教えてくれて、無事に資料がまとめられ、常務にも報告ができちゃう!

そして、このやり取りの場合、「恐怖政治」で仕事を進ませているわけではないので、リモートワークだろうが、ハイブリッドワークだろうが、そのコミュニケーションが対面からTeams等のテキストコミュニケーションに変わっただけで、内容は変わらない。という事です。

事例としては部長から部員への指示で記載しましたが、これは逆のバージョンも有り、部員から部長への相談なんかも同じ状況だと思うんです。

実はぶっちゃけると、私は「イケてない部署」の部門長でした。
コロナ禍の緊急在宅勤務時に情シス経験もないのに情シス部門長になってしまったので、「上から押さえつけるような部門長」では無いのですが、部員からしたら「ヨソからきた情シス素人が席がないから部門長になったのだろう」みたいに感じていたのでしょう。

しかし、私が前職を辞めるまでの約4年間弱の間に、めちゃくちゃチームワークあふれる部門に変容できたと思いますので、その秘訣を書いていこうと思います。
(前フリが長くてスイマセン)

「イケてない」から「イケてる」への変化

私が部門長として就任した時、担当する情報システム部門は、物理ネットワークやPCをセッティングするために出社を余儀なくされたインフラグループと、在宅でも仕事ができるのでフルリモートで遠隔でシステム開発や保守を行う、システムグループで真っ二つに働き方が分かれていました。

そして、そのグループ内でも「これは私の仕事、これから先はあなたの仕事」と完全に分業されていたので、まったく情報共有がされていない状態でした。

私が就任する前の部門長は、情シス上がりで、どちらかというとトップダウン型の方だったので、全ての情報を部員から吸い上げ、その方が判断し、各部員に指示を出していく、という方式のマネジメントでした。

確かにやることが決まっていて、ルーチンで作業が滞りなく進むのであれば、以前の部門長のやり方の方が効率的だったかも知れません。ただ、時はコロナ禍、しかも部門長である私はIT素人、それじゃ上手く組織運営できるハズはありません。

もちろん、私個人としては、最低限のコミュニケーションを取るために情シスの言葉を覚える猛勉強が必要だったのは間違いありません。(そしてそれをやりきった自信だけはある!)

ただ、それ以外にも、コロナ禍のようなイレギュラーで即時判断が求められる状況下ではトップダウンのやり方では判断が遅くなりすぎると思い、この分断した部内の空気を変えるための工夫を色々仕掛けました。

その「イケてる部署への変化のポイント」を説明しようと思います。

部内の空気を良くする為の3つの行動

とはいえ、先程も書いたように、インフラグループは基本出社、システムグループは基本在宅、と就業場所が全く分かれている状況です。そもそも空気感をよくしたい!と思っても、簡単にはいきません。

もちろん社内チャットツールとしてTeamsは導入済みです。それでも数ヶ月前はメール文化にどっぷり浸かっている組織文化だったので、いくら社内チャットツールがあるからって、簡単に使ってくれるわけではありません。

もちろん、組織文化を良くする為のツールや評価基準なんて世の中には色々ありますが、そんなもん限られた予算しかない事業会社の情シス部門なんて、簡単に追加予算を認められるわけはありません。(ただでさえ、緊急在宅勤務体制の構築に予定外の出費もしたし、部門の空気感を良くしたい、という稟議が通るような社風じゃありませんでした。今は違うけど)

そこで、あるものは使うしか無い!という事で、なんとか社内チャットツールとしてのTeamsをフル活用し、組織風土を変える事を考えました。
具体的には「Teamsを仮想オフィスにする」というものです。

つまり、出社組同士でもコミュニケーションはTeams上で行い、DMやWeb会議は必要最低限として、極力部内のオープンチャットで話すようにして、隣の人がどんな仕事をして、どんな悩みを抱えているか?を全てをオープンにすることでした。

そのために以下の三点を実行しました。(それ以外も細かいことを上げればきりがないですが、それは書籍化の依頼でもあった時に明らかにします。w)

  • 書き込みやすい空気を作る

  • とにかく反応し続ける

  • 感謝の意はすぐに表明する

以下の三点を順次詳しく説明します。(ホントはあと10個くらい工夫したことや、言いたいことあるけど。。。)

書き込みやすい空気を作る

最初に工夫したのはココです。まずはTeamsを使ってくれない事には始まらない。
そこで、当たり前ですが最初にやった事は「全ての重要事項はTeamsのオープンチャネルに書く」です。

以前は本部からの指示や情報は社内掲示板やメールで配信されていて、それをメール転送や「掲示板見ろよ!」の一言で済ませてましたが、それを手間がかかっても全てTeamsに転機する。という事を続けて、「とりま、Teamsを見る」という習慣をつけるところから始めました。

ただ、人は「やらされている感」だけではつまらなくなります。そこで、もう一つ隠し味として実行したのが「毎朝、くだらない小話を投稿する」というものでした。

そう、いわば雑談のきっかえをわざと作ったんです。
でもこれ、かなり忍耐力を要する仕事でした。(苦笑)なぜなら、以前の情シス部門長はトップダウン型、冗談はいうとしても頻度は高くありません。それが私に変わった途端、毎日くだらないことを書き込んでいるんですよ?そりゃメンバーも面食らいますよね〜。

でも、飽きずに半年以上、孤独との戦いで投稿し続けます。そうすると、メンバーの誰かが、Teamsのスタンプで「笑い顔」で反応してくれるじゃないですか!

確かに最初はお情けだったかも知れません。それでも誰かがスタンプを押せば、あとは気軽に押せるメンバーも増えてくる。そして、それが進んでいくと、「ツッコミレス」をつけてくれるメンバーも出てくる!

そんな感じで、最初は「Teams、なにそれ?美味しいの?」という対応だったのが、メンバーもTeams書き込みに対しての拒否反応がなくなったのです!

とにかく反応し続ける

これでメンバーもTeamsに書き込んでくれるようになりました。ただ、それだけでは一過性になっちゃいます。

人って、「ちゃんと見ているよ〜」という承認欲求がある生き物なんですよね。これって、FacebookやX(Twitter)でも一緒。「いいね」が無いと、人は段々と飽きてきちゃうんです。

だから、メンバーが書き込み始めたら、何はともあれ「すばやくスタンプ!」これ最強!

それを繰り返していくと、「いいね」を押せば、「みてるよ」という証拠になるし、そのうちメンバーが「この施策、賛成だったらハートマーク、反対だったら泣き顔マークで反応してください」みたいな事を書き込んでくれるようになりました。

これにより、自分が反応するだけでなく、メンバー間相互に反応するようになり、その相乗効果で「どうせ作業報告しても部門長しか見ないし、彼は見てもわからないだろう」といい加減に書いていた作業報告も、メンバーみんなに理解しやすいように書き始めたんです!

プライベートのSNSもLINE(ちょっと前の世代ならMIXIも)もそうですが、一人よがりの文章って読まれないし、反応も少ないですよね?
それを段々と承認欲求が出てくると、人に読まれる文章に自分で書き換え始めるんです。

そのムーブメントを広げるには中々苦労はするもの、まずはスタンプで反応する。これは部門長とか、メンバーとか関係なく、誰からでも始められる最初の一歩だと、私は思います。

感謝の意はすぐに表明する

そして、スタンプを押すだけでなく、積極的にやったのは「ありがとう」をすぐに書き込む。です。

これは、リアルなオフィスにいたときも一緒ですが、イケてる部署は部門長も含めて「ありがとう」がすぐに言葉にすることができ、お互いに対してリスペクトがある職場だと思うんです。

逆にイケてない部署は、恐怖政治とまではいかないまでも、自分の仕事はやって当たり前、他の人の仕事は知らない。という空気感だと思うんです。(こればかりは会社によって異なるのでなんとも言えないですが)

そして、私もそうなんですが、昭和生まれのオジサンって、面と向かって「ありがとう」なんて気楽に言えるような精神的成長はしてこなかったんですよね〜(例外あり)

なので、私だってリアルのオフィスでは「いや〜助かったよ!ありがとう!」なんて松岡修造ばりに熱くメンバーに語りかけるなんて出来ません。笑

でも、Teams上のやりとりはテキスト。そこまで身振り手振りで情熱を伝えなくたって、レスで「作業ありがとう!進捗よくわかりました」と書くだけで受け取った側としては「あ、自分の仕事は人の役にたってるんだ」とわかってくれる。

そして、不思議なもので、こうやって日々感謝の気持ちを書き込んでいくと、自分の中でもメンバー全員に対してのリスペクトの気持ちが高まってくるんですよね〜。

もちろん、口に出したほうが良いのは重々承知してますが、リモート組もいるハイブリッドな組織なので、あえてTeamsのテキスト上だけで感謝の意を表明し続ける。という事をしていました。
(本当はリアルで感謝をいうのは、小っ恥ずかしいというナイーブなオッサン心があったとは、その当時は口が避けても言えない。。。www)

自分目線ではなく、相手目線

こんな感じで、色々な手段を使って、メンバーみんなをTeams上で情報共有してもらい、話しやすい環境を作り上げていったけど、ここで自分が大事にしていたポイントは「自分がしてあげている、ではなく、相手が喜ぶことをする」ということです。

これはどこかの書籍で読んだか、Voicyで聞いた話かは忘れましたが、こういう変革施策を行うときって、どうしても自分目線で「してあげている」という感情に陥っちゃうんですよね。

このように自分が与えている事を前提にしてしまうと「俺がココまでしてやっているのに、なんで皆は変わらないんだ!」と逆ギレしちゃう。

でも、よく考えたら、組織の空気感を良くしたいのでは自分のエゴであって、周りのメンバーからしたら「別に給与もらって仕事しているだけだし、空気感なんてどうでも良いよ」と思っているかもしれない。
そう、あくまで自分主体ではなく相手主体。相手が「あ、変わってよかったな〜」と思わなければ、変革の押し付けになっちゃうのです。

こちらとしては、素人の私が部門長で、かつ、コロナ禍という緊急事態において、そんなマイナスな状態でも組織として成果を出せるように勝手に空気感を変えているだけ。そこにメンバーの皆さんに協力してもらう為に最大限の努力をするだけだったんです。

実は、上記に書いたこと以外にも色々とやったことはあり、その中でも「あ、これはメンバーに負荷をかけているばかりで、彼ら/彼女らになんのメリットもないな」と思った施策もいくつもあります。

これが自分目線で突っ走っていたら「俺がココまで考え抜いて実行しているのに、なんで乗ってこないんだよ!」と逆ギレしていたことでしょう。でも、相手目線で冷静に考えたら「あ、この施策はダメだな、路線変更しよう」と考えるか「ここは自分が泥をかぶって、こっちを向いてくれるまで辛抱強く続けよう」という考えに変わっていけると思うのです。

結局は愛

と、そんな感じでTeamsとテキストベースのツールですが、うまく活用することで1年以上の時間はかかりましたが組織の風土はガラリと変わることができました。
ほんと、変わってくれたメンバーには感謝しかありません。

もう辞めちゃったので、今となっては確認のしようは無いですが、以前のトップダウン型の組織に比べれば、自分の仕事以外にも目も向ける必要があり、実質的には忙しくなったかも知れませんが、「個人でもくもくと仕事をする」よりは「チームで協力して仕事をする」の方が幸せな働き方になったんじゃないのかな?と感じてます。
(あくまで、リアルで会った時の表情や、テキスト上でのコミュニケーションの活発化だけの判断ですが)

でもこれ、おそらく他組織で形だけ真似をしても上手くは行かないんじゃないかな?というのが私の肌感です。

だって、個人で仕事する場合は、個人のスキルだけで頑張ればよいのだけど、チームで仕事するって、互いの長所や、もっている情報を面倒くさい対話を繰り返すことによって、根気強くトライしないと、上手くすり合わせできないから。

人と人が対話でコミュニケーションを取ろうっていっても、脳みその情報は全て交換できないし、言葉でしか意思疎通できない。しかもTeamsというプラットフォームの上だと、表情や空気感は伝わらない。文字でしか情報交換はできないんです。

だからこそ、多少の行き違いは発生するにせよ、そこに「お互いのリスペクト」がないと、上手く対話はできないし、対話ができないと仕事もできないと思います。

リスペクト、すなわち、愛

これがないと、形だけ真似ても意味はないので、これから「組織をなんとかしたい!」と思っている人は、愛を持って、そして、愛を絶やさぬように頑張り続けて欲しい、と願うばかりです。

もし、上手く行かなかった時は、、、

ここまでの話はあくまで私がいた部署の私のストーリー。

これから組織を変えたい!と思っている読者の方は、バックグラウンドも違うし、立場も違うことでしょう。

「それは原田さんだから出来たんでしょ?」ではなく、皆さんの職場、皆さんの立場でも出来ることはあると思うんです。
なので、諦めずに「まずは自分の半径5m以内から始めてみる」という意気込みで頑張っていただきたいのです。

そして、もし頑張っても心が折れそうな時、壁打ちをしてもらいたい時、第三者の目で客観的な指摘を欲しい時、そんな時はウォーターデジタル社にご一報ください!

流石に私もボランティアでは手伝えませんが、部内のメンバーなら特別割引でお手伝い致します。(あ、部門長なら、ちゃんと予算を会社から取ってきてくださいね。それも部門長の仕事ですから!)

このnoteが「組織を変えたい!」と思っている人に届くことを望みます。



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