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スマホと距離をおいたら心に余白ができた話

"external pressure"(エクスターナル プレッシャー)。
この言葉を知ったのは、2年前にスリランカのアーユルヴェーダ施設へ滞在したとき。こう書かれた紙が部屋に貼ってあった。

滞在期間中は、"external pressure"から距離を置くため、施設内にテレビはありませんし、部屋でWifiを使えないようにしてあります。他人との会話も控えて、読書や瞑想をして過ごしてください。

直訳すると「external=外部の」「pressure=圧力」だが、僕は「自分の心に悪影響を及ぼす可能性のある情報」と解釈した。

海外という自分にとっては特別な空間。16日間の滞在であったが、テレビ無し・Wifi無しであっても、特別な空間の中では普通のように思えた。

なぜ今 "external pressure" を思い出したかというと、テレビ無し生活を始めたからだ。

最初は自宅にテレビが無いことに違和感があった。
47インチのテレビは、テレビ台とともに大きなスペースを取り、テレビを点けなくても視界に入ってくる。夕飯を食べるときは、テレビを観るのが習慣だった。それが急になくなるわけだから、違和感があって当然だ。でも意外にも、それは1週間ほどで無くなった。

慣れてみて気付いた。テレビからは何かが勝手に入ってきて、ポジティブな感情もネガティブな感情も、受動的に与えられていたのだ。テレビをただ聞き流しているだけでも、頭の中にノイズが流れていた。

テレビ無しでの静かな生活は、頭の中がすっきりするし、心がニュートラルな感覚だ。解放されて初めて"external pressure"の存在を認識した。

そうすると今度は、スマホの"external pressure"が際立ってきた。
現代はとにかく情報に溢れている。特にスマホは情報の海につながっている。気をつけないと次から次へ情報が流れ込んでくる。

「インプット」と言えばかっこ良いが、僕の場合はそうではなかった。情報は右から左へただ流れていき、頭の中に蓄積されない。なのに、流れる情報は"external pressure"となり、僕を通過するとき、感情に何かしらの影響を与える。

加えて、スマホは中毒性がある。通知をきっかけにスマホを開くならまだ良い。通知もないのにロックを解除して、新着をすべて読みきったニュースサイトやSNSを無駄に更新してみたり、意味もなくホーム画面をスワイプしてみたり。手持ち無沙汰解消のための道具にもなっていた。

そこで、家にいるときはスマホを手の届かない場所へ置くことにした。

ニュースやSNSは、極力パソコンで読む。パソコンだと寝っ転がりながらの操作はしづらくて、ダラダラ見ないで済む。そして、手の届く範囲にKindle Paper Whiteを置いて、手持ち無沙汰なときに備えている。

こんなに意識して自分の体感では1日30分も触っていない、と思った日でも、iPhoneのスクリーンタイムを見てみると、75分も触っていたらしい。それほどスマホを触っている間は没頭してるのだろう。

スマホと距離をおいたことによって、頭の中を流れるノイズが無くなりすっきりした。心が必要以上に消耗されなくなった。

梅雨時の最近は、夜寝る前、雨の音を聴きながら過ごす時間が長い。なんだか小学生の頃、夏休みに祖母の家へお泊まりしたときみたいだ。スマホもパソコンもなかった30年近く前のあの頃、消灯時間後は暇だった。何をして過ごしてたんだろう。考え事でもしていたのかもしれない。

こんなふうにスマホと距離をおいて、"external pressure"から解放され、頭と心に余白を作ることが、僕には必要だったようだ。

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