夏が終わってからずっと苦しんでるこの子のこと。
夏休みの終わりを夏の終わりとするならば、夏が終わってから私はずっと苦しい。
PLAZAやロフトのフレグランスコーナーには金木犀の香りの香水が並び、夏が終わった事実を私に知らしめる。
昨日の帰り道に見たのは、しおれ、そしてほとんどの花弁が枯れた向日葵だったけど、その中にまだ黄色く瑞々しい花弁が残っていたこと、わたしは知っている。
夏に取り残された私は今日も大学を休んで眠りに落ちる。
それでも肺に入ってゆく空気の匂いは秋そのものだと感じてしまった。わたしは残された夏を見捨ててしまったかもしれない。HANABIの香りのボディミストだって付けなくなった。
残された夏を想い出さなくなった頃、ようやく秋が始まりそしていつの間にかその秋もすり減り、冬になって雪が降るのだろう。
夏はとっくに終わったのだ。
世間は秋なのだ。
だけど私は夏から何も変わらない。変われない。
明日もし外を散歩できたなら、変われず未だ夏の中にいる私は手首の裏にHANABIの香りを忍ばせようと思う。
変われないままでいい。
私はしばらく夏の中にいることにする。
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