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スペイン、古い小説で見たボカディージョにあこがれて

何年か前、旅先の宿の本箱に置かれていた本を読んでいた。
スペインを舞台にした小説だった。
幼馴染のカップルが駆け落ちして逃げている途中、おなかがすいて道路沿いの店に入り、ボカディージョを買い、おいしそうに食べるシーンがあった。
「ボガディージョって何?」
検索すると、スペインのソウルフードと呼ばれるもので、
バケットの間に、ハムやチーズ、トルティーヤ(スペイン風のオムレツのこと)など好みのモノを挟んで食べるようだ。
日本でいうところの、サンドイッチと言うか調理パンのようなもだろうか。
※文末にボカディージョの資料あり。

庶民的なもので、おいしいものが好き。
いつかスペインに行く機会があれば試してみたいと思っていた。

それから月日が流れ、4年前にスペインに行く機会があった。
スペインの聖地サンティアゴ・コンポ・ステーラに徒歩で巡礼するからだ。
スペインに入国してから機会はいくらでもあっただろうに、毎日最低20キロは歩くこと、宿を確保することに意識が向いており、ボカディージョのことはすっかり失念していた。

しかし、翌日には聖地サンティアゴに到着のめどが立った日のこと。
気持ちに余裕が出来たからだろうか、ふとボガディージョのことを思い出した。
「そうだ、ボカディージョ食べたいぞ」
この日は土曜日、しかも宿の周りは畑だらけ。
食堂はおろか、食料品店や雑貨店もない。
まだ日が高い時間だったので、食事の場所探しも兼ねて散策に出掛けた。

しばらく歩いて、ようやく一軒の店を見つけた。
のぞいてみると、食料雑貨とバル(どちらかと言えば、日本でいう立ち飲み屋に近い雰囲気)を兼ねたような店だった。

食事がしたい旨を伝えると、メニューを指さされた。
眺めると、「Bocadillo(ボカディージョ)」と書かれている。
ハムとチーズ、ポテト、スペイン風オムレツ(トルティーヤのこと)等何種類か並ぶ。

せっかくスペインに来たのだからと、「トルティーヤ」で注文。
普段は炭酸水を一緒に頼むのだが、明日は目的地到着で気分が高揚していたのでセルベッサ(ビール)も一緒に注文する。
先に缶ビールを手渡される。
ビールを飲みながら待っていると、
玉子の焼ける匂い、パンの香ばしい匂いが漂ってきた。
お腹を押さえながら待つ。
ようやくトルティーヤが運ばれてきた。
「思っていた以上にでかい・・・」
優に30センチを超える大きさ。
その間に、日本の冷凍食品のような小ぶりなオムレツでなくて、分厚いオムレツが挟まれている(冒頭の写真参照)。
早速食べる。
味は、思った以上にしょっぱい。
好みの問題か、塩の入れすぎかな。
ビールがあってちょうどよかったかな。

流石に間食できず、ビニール袋をもらい、残したものを宿に持ち帰った(翌朝の朝食として食べた)。

とまれ長年の目的を果たすことができたぞ。

翌日、目的地の聖地サンティアゴに到着し、それから数日スペインに滞在した。
この日、ボカディージョをたらふく食べて満足したからか、その後のスペイン滞在中は食べる機会がなかったな。


※参考:ボカディージョとは(引用:辻調理師専門学校)
https://www.tsuji.ac.jp/college/france/blog/mail_france/bocadillo.html




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