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今日美容院に行って髪の毛を切ってきた。
東京に来てから2箇所目の美容院。

私は引っ越しをする度に美容院難民になりがちである。
だから新しいところに行くときはできる限り期待をしないようにしている。

今回もホットペッパービューティーに載っている情報だけで予約をした。

まーた新しい美容師さんにこれまでの経緯をあれやこれや説明しなきゃならんのか〜と気だるさMAXで向かった。


出迎えてくれたのは銀髪の小柄な男性。
初対面で向こうも緊張しているのか何だかひきつった笑顔だな。

荷物を預け、椅子に座り、今日までの経緯と今回のオーダーを告げる。
分かったのか読み取りにくい微妙な間の相槌を打ちながら、会話を終え、シャンプー台へ。

シャンプーはとて気持ちがよかった。
美容院のシャンプーって襟足から首まで丁寧に、マッサージするかのように洗ってくれるから好き。時には寝てしまう。

そして、カットが始まる。
美容師は初めてのお客に対して言っているであろういつもの言葉を言う。

「お好きな雑誌をお読みくださいね」と。
「はい、ありがとうございます」

と私も初めてなのにいつも同じ言葉を返す。

だけど、私はいつも違うことを始める。


美容師との対話だ。


今日はあまり関わったことがないようなタイプの人間だったから、沈黙している時間が惜しくなってすぐに質問を投げてしまった。

なんで美容師になったのか、独り立ちして店舗を構えることは夢だったのか、人のためにそこまでしようと思えるのはなぜか、店の名前の意味は、など。

大笑いしたり、一瞬泣きそうになったりしながら、想像するよりたくさんの話が聞けた。とても面白かった。

そんな感慨に一人でに浸っていたら、反対に聞かれてしまった。

なんで他人にそんなに聞くんですか?と。

そんな質問よく聞かれていたからいつも答える回答があったのにも関わらず、今日は全く違う答えを返した。

「その人がなんでこの場所にいるか知りたいんです」

なんでそんな風に言ったんだろうかと自分に対して不思議に思いながら、でも良い答えだなとも思いながら。


時間を忘れるほど語り合ったのに、いつの間にか私の注文通りの完璧な髪型を仕上げてくれたのには、流石だなあと感心しながら帰りましたとさ。

また来月も対話しに行こう。

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