男性器の仕組みを知ろう!勃起と射精のメカニズムとは?【医師監修】
■男性器とは?
男性器とは、男性の生殖器官の総称のことです。
「生殖器官」とは、新たな命を生み出すために必要な器官のことであり、男性では陰茎・精巣・精管・精嚢・前立腺のことを指します。
皆さんもご存じのことと思いますが、新たな命を生み出すためには男性と女性が性行為をしなければなりません。生殖器官は性行為を成し遂げるための器官でもあり、男性であれば「勃起」や「射精」が必須となります。
勃起や射精がどのような現象であるか、皆さんは既にご存じでしょう。
しかし、実際にどのようなメカニズムで勃起や射精が生じているのか詳しく知らない方も多いはず。
安全なセックスライフを送るには、正しい性の知識を持つことが大切です。まずは、男性器の仕組みや性行為時の役割について詳しく解説します。
■男性器はどんな仕組みになっているの?
男性器は陰茎・精巣・精管・精嚢・前立腺など新たな命を作り出すために必要な性行為に関わる器官の総称です。それぞれどのような機能を担っているのか見てみましょう。
男性器と聞くと多くの方が思い浮かべるのは「陰茎(いんけい)」です。
陰茎はペニスとも呼ばれ、平常時は小さく縮まった構造をしていますが、性的な興奮や刺激を受けたりすることで、大きくなります。
陰茎には海綿体(かいめんたい)と呼ばれるスポンジのようなスカスカな組織があり、性的興奮や刺激などによって、陰茎への血流が増加するのが大きくなる理由です。
このような現象のことを「勃起(ぼっき)」と呼び、性行為では硬く直立した陰茎が女性の膣内に挿入されるのです。
一方、新たな命を作り出すために必要な精子は精巣で作られています。
精巣は長さ4~7㎝ほどのたまご型の臓器で、陰嚢(いんのう)と呼ばれる厚い皮膚に覆われています。
精巣では毎日数千~数億匹の精子が作られていますが、精巣で作られた精子は精管を通って精嚢に蓄えられます。
そして、性行為のクライマックスでは精嚢に蓄えられた精子が前立腺液などと混ざった状態となって尿道を通り、体外へ放出…「射精」されるのです。
男性器には色々な器官が含まれていますが、どれも性行為から射精へつながる重要な役割を果たしていることが分かりましたね。
・勃起のメカニズムを知ろう!
性行為の要ともなる「勃起(ぼっき)」という現象。
単に性的なものを見たり触れたりするだけで自然に生じる現象だと思っている方も多いのではないでしょうか。しかし、勃起は非常に複雑な仕組みによって引き起こされる現象です。
まず、勃起は性的な興奮によって脳が刺激され、体内で「NO(一酸化窒素)」と呼ばれる物質が産生されることから始まります。
NOは血管を構成する筋肉に作用し、血管を拡げる働きをもつcGMPの分泌を促します。
つまり、性的興奮を感じると身体は血管が拡がりやすい状態となるのです。勃起は陰茎に多量の血液が流れ込むことによって生じる現象のこと。
血管が拡がって陰茎への血流がアップすることで勃起が引き起こされるのです。
・射精のメカニズムを知ろう!
射精も勃起と同じく複雑なメカニズムがあります。
精子は精巣で作られると精管を通って精嚢(せいのう)に蓄えられます。そして、精嚢に蓄えられた精子は精嚢で分泌される精嚢液と精嚢から連なる前立腺で分泌される前立腺液に混ざりあうことで「精液」になります。
性的な興奮がクライマックスにまで高まると、前立腺の筋肉が収縮し、内部に溜まった精液が押し出されて尿道から体外へ放出されるのです。
■「男性器」のニオイ、形、色は人それぞれですよ!
・サイズについて
オナニーグッズを製造するTENGAが50万人のデータを用いて調査によると、日本人男性の平均男性器サイズは太さが3.3センチ、長さは13.7センチという結果に。
学会などで学術的に発表されているサイズはありませんが、様々なデータと見比べてみても、TENGAが発表している数字は実際の平均サイズと大きく変わらないものと考えられます。
なお、世界平均のサイズは14.05センチとも言われています。(こうした調査のほとんどが自己申告のため、確実性に欠けることをご了承ください)日本の平均と大差がありません。
とはいえ、これはあくまでも平均。18センチほどの男性器の方もいれば、10センチに満たない方もいます。大きいから女性が満足できる、小さいから物足りないと感じるということはありませんし、男性器の大きさは個性のひとつと考えましょう。
・形
男性器の形は人によってことなります。真上から見たときに釣り鐘型になっている男性器、丸みを帯びている男性器など。竿もまっすぐだったり、中央部分がもっとも太くなっていたり、根本が太かったりとそれぞれですよね。
また、包茎は皮の締め付けの強さによって分類されます。皮の締め付けが少ない「仮性包茎」、皮は剥けるが締め付けがある「カントン包茎」、亀頭がまったく露出できない「真性包茎」の3種類に分けられます。
カントン包茎、真性包茎と診断された場合、健康保険適用で手術を受けることができます。
仮性包茎の場合は保険適用外のクリニックでの対応となるため費用は高くなるので注意が必要です。
・ニオイ
男性器のニオイにも個人差があります。無臭の方もいれば、アンダーヘアの中に湿気がこもり雑菌臭を放つ方や、食事の影響でニオイが強く出てしまう方も。食事が原因と場合は全身からニオイを発していることがほとんどです。
どんなニオイだろうパートナーがもつ “体臭”。シャワーを浴びたあとも落ちない臭いは「彼の香り」だと受け入れることが大切です。
それでも気になると言う方は彼にコーヒーやビールなどの刺激物を控えてもらう、石鹸はニオイの元を洗い流す成分を配合しているものにするなどの工夫をしましょう。
■性行為に必要なのはどんな知識?
男性器の働き、勃起や射精のメカニズムを詳しく知ることができました。
では、安全なセックスライフを楽しむためには、その他にどんなことを知っておけばよいのでしょうか?
・オルガズムって何?
オルガズムとは、一般的には「絶頂期」ともいわれる瞬間のことで、性的な興奮や快感がマックスに高まることを指します。
「射精=オルガズム」と思われがちですが、男性のオルガズムは非常に強い快感が生じて全身の筋肉が緊張した状態になる瞬間のことを指します。
射精はそれに伴って前立腺の筋肉が収縮することによって引き起こされる現象であるため、射精とオルガズムは別の現象なのです。
多くは射精とオルガズムは同時に起こります。
しかし、若い男性では射精を伴わないオルガズムが生じることも多いと考えられています。逆にオルガズムに至らずに射精するケースも珍しくありません。
・射精のインターバルは?
性行為の間中、勃起していた陰茎は射精が終了すると広がった血管が収縮し、血流が低下します。それによって海綿体を満たしていた血液がどんどん陰茎の外へ流れ出すため、陰茎は小さくなり硬さが失われていきます。
そうして性行為の終了…となることもあれば、「二回戦目」を楽しみたいと考えるカップルも多いはず。しかし、射精直後の男性は性的な興奮を感じても勃起できない期間があります。
若い男性では20~30分もすれば再び硬い勃起が生じるでしょう。ですが、射精から再勃起までのインターバルは人それぞれ。
中高生の性教育も行ってきたという成田医師によれば、このインターバルは思いのほか男性に精神的な負担を与えるんだとか。
「頑張らなければ…」という焦りが先行してしまうと緊張感が高まって、インターバルを経ても勃起しなくなるケースも多く、二回戦目以降のED(勃起不全)に悩む男性も多いとのこと。
インターバルをおいて二回戦目を楽しむには、十分なゆとりをもってスキンシップなどを楽しみながら緊張感や焦りを取り払うことが大切なんですね。
■男性器の仕組みは非常にデリケート!思いやりを持ったセックスライフを
陰茎や精巣など色々な器官で構成される男性器。勃起や射精など性行為に欠かせない現象が生じる器官でもあります。
今回説明したように、勃起や射精の仕組みは非常に複雑でデリケート。
些細なことがきっかけで勃起しなくなったり、射精できなくなってしまったりすることも…。
男性も女性も性行為を楽しむには、それぞれの身体のことを良く知ることが大切です。
安全で快適なセックスライフを送るためにも、常にパートナーの身体と心を思いやる気持ちを忘れないようにしましょう。
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・医師監修:成田亜希子先生
一般内科医として幅広い分野の診療を行っている。
保健所勤務経験もあり、感染症や母子保健などにも精通している。
日本内科学会、日本感染症学会、日本公衆衛生学会、日本健康教育学会所属。