正範語録
僕が高校に入学してから大学を卒業するまでの7年間。
毎日欠かさず書いていた練習日誌の裏表紙に存在していた言葉がある。
それが正範語録。
戦国武将・武田信玄の言葉ではないかという説もあるが、あまりはっきりとした情報はなく作者は不明である。
高校生の僕がどこでこの言葉を見つけたのかは覚えていない。
ただ、読んだ瞬間にズシンと重たく心に響き、頭から離れなかったことは覚えている。
それ以来、僕はこの言葉を胸にずっと闘ってきた。
新体操の現役を引退し、社会人になってからもこの言葉を忘れることはなかった。
毎日を本気で生きてきた。(生きている)
この言葉と出会ってから12年目。
ここ最近、真意がわかってきたような気がする。
矢面に立つ
正範語録。
その中身をすごく簡単にいうならば、
「矢面に立つ覚悟があるか」
ということになるのだと思う。
「矢面に立つ」
批判や抗議、質問などを集中して受ける立場に身を置くことを意味する表現である。
そういった立場に身を置く覚悟があるか。
どれだけ矢が飛んでこようとも、どれだけ多くの矢が体に突き刺さろうとも屈さずに歩き続ける覚悟があるか。
その覚悟がなく逃れる余地を残しているのであれば、実力も実績も得られず、判断力も鈍く、人格も薄く、愚痴や言い訳ばかり。何もできるようにならないし、面白くもないし、応援もされない。
もし何か成し遂げたいことがあるのなら。
もし何か憧れる姿があるのなら。
覚悟を持って本気で取り組みなさい。
どれだけうまくいかなくても、どれだけ否定されようとも、正面を向いて正々堂々と全力で立ち向かいなさい。
そういう意味なのだと思う。
最高の教師
毎週土曜22時から放送されている「最高の教師」というドラマに僕は今どハマりしている。
理由は、正々堂々と全力で立ち向かうことから逃げたがる人間の弱い部分を突いたセリフが多く盛り込まれているからだ。
いじめ。誹謗中傷。強者への忖度。
ゆらゆらと不安定で未成熟な高校生の心。
それらを松岡茉優演じる担任教師がズバズバと切っていくストーリーだ。
クラスの問題に対して真剣に考え、緻密に策を練り、あの手この手で生徒たちを納得させ心に炎を灯していくいくその姿に、「ああ、本気で生きるとはこういうことなのだろうな」と深く深く考えさせられる。
問題から目をそらすのは簡単。
問題を起こしている人を批判するのも簡単。
自分の気持ちを殺すのも簡単。
ただ、人としてどうなのだろう。
人として、それは真っ直ぐなのだろうか。
自信を持って真っ当だと言えるのだろうか。
矢を打たれる場に身を置いていない人に矢を打つ資格はない。
他人を矢から守ったことがない人に自分を矢から守ってくれる人は来ない。
とやかくいう前にまずは自らが矢面に立つ。
そして、共に矢面に立っている人を支える。
容易に人と繋がれる現代だからこそ、多くの人が胸の内に持っておくべき考え方だと僕は思う。
井藤 亘(いとう わたる)
名古屋アクロバットスクール
20年以上続けてきた「男子新体操」というスポーツをより多くの人に知ってもらうため、日々活動をしています!! 頂いたサポートは、今後の活動費、またはその勉強のために使わせていただきます!🙇♂️✨ また、サポートとともに記事のリクエストも募集しております。