女と幽霊 第一話

人気のない樹海。
女は1人険しい道を歩く。
すると、前から髪の長い幽霊が


「うーらーめーしーやー」

「どいて」

「え」

「どいて」

「え」

「どいて」

「どかない」


女は幽霊を手で突き飛ばそうとした。
が、手が幽霊の体をすり抜けた。


「ズルい」

「ズルくない」


もう一度、試したが結果は同じ。


「ズルい」

「ズルくない」


女は幽霊に向かって歩き出した。
女は幽霊の体をすり抜けた。


「ズルい」

「ズルくない」


女は険しい道を歩く。
その後ろを幽霊がついていく。


「どこいくの?」

「わからない」

「死ぬの?」

「うん」

「死なないで」

「説得力ない」


女は険しい道をどんどん進む。
その後ろを幽霊がついていく。

女と幽霊は崖に着いた。


「痛いよ?」

「やってみないとわからない」

「死んでもいいことないよ」

「やってみないとわからない」

「やってみなくてもわかるよ」

「じゃあなんで死んだの」


2人の間を強い風が吹き抜けた。
すると、女が笑った。


「どうしたの?」

「風で髪の毛揺れるんだなって」

「あ、ほんとだ」



つづく。

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