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「仕事を辞めたい」という相談に、答えはあるのか。

どうも、わたろうです。

今日はちょっと、昔の話をします。

私は陸上自衛隊で教官を
やったことがあります。

新隊員を教えていたわけですね。


何回か担当するうちに
人との関わりの難しさを痛感しました。

✅ 考えの違い
✅ 価値観の違い
✅ すれ違い
✅ 説明の仕方

なかでも1番困ったことが
「辞めたい」という相談。

私が担当した部下は、
累計で10人近く辞めています。

正直、辞めすぎです。


当時の私は

「辞めたいです」という相談に
どう向き合っていいか、わかりませんでした。

私としては
辞めてほしくない…

でも、
相手の人生の責任も取れない。

こんなとき、
どんな言葉をかけるのが正解なのか…。

正解のない
この問いに、どんな答えを
導けば良いのか。


人生を背負うとは
なかなかの難題です。



他人の人生を背負う「恐怖」


もしあなたが
部下から「仕事を辞めたい」と
相談されたらどうしますか?


暖かく送りだす?
それとも引き止める?

当時の私は
まったく判断がつきませんでした。


どうすることもできず、
っというよりは、

どうすればいいのかわかりませんでした。

「辞めるのはNG」と思っていた私は

「とりあえず続けてみたら?」と
とにかく引き止めまくってました。


なぜなら、
目の前にいるのは
入隊して間もない新隊員。

まだまだ自衛隊人生が
スタートしたばかりだからです。


私だって
自衛隊を辞めたくなったことが
数えきれないほどあります。

しかし、
いいこともあったし、
うれしいこともあった。

続けていて、よかったとも思った。
だから10年間も続いたわけですが。


新隊員の退職に
反対していた理由は、それです。


ですが、
最後まで私に相談していた隊員は
不満の表情でした。

そりゃ、そうです。


私の意見ばかり
押し通していたのですから。

相手からしたら
たまったものではありません。



人の人生を背負うこと


誰だって話を聞いて欲しいんです。

普段の会話だって聞いて欲しい。


それが、
「仕事を辞める」という
真剣な相談なら、尚更です。

なのに
私は自らの経験ばかり
語っていたわけです。


結局、
その隊員は辞めてしまい
申し訳ないことをしてしまいましたが。


この時の私が説得したのは
「辞めてほしくなかった」というのもありますが、

他人の人生を
背負うのが怖かったのです。


私が「辞めてもいいんじゃないかな!」と
送り出したら、その人の人生は変わってしまう。

逆に、

私が熱意をもって引き止めたら
自衛隊に残るかもしれない。


目の前にいる人の人生が
私の手に委ねられているんです。

そう考えると、
下手なことを言えないと思っていました。


簡単に、辞めることはすすめられない。

だから
「引き止める」という無難な選択を
とったのだと思います。

相手に向き合うこともせずに。


私は「無難」という響きだけの
選択を取ったのです。



他人の人生は、私が決めるわけではない


相談したきた隊員が辞めた後、
マジで凹みました。

というより、
自分はどうすればよかったのか
答えが欲しかったんです。


引き止めた私に力がなかったからか…
運悪く、私の部下になったのが原因か…


あらゆる妄想が
浮かんできました。

ある日
私の先輩教官に
「私はどうすればよかったのか?」と
聞いてみたことがあります。


先輩はちょっと考えたあとに
私に向かって、こう言ってくれました。


「決めたのは、向こうやで」

そう、

どんなに本気で説得しても、
どんなに相手にメリットを話しても

選択するのは本人なんです。


私たちは
自分の存在を大きいものだと
勘違いしてしまいます。


自分の存在こそが、
相手の人生を変えていく。

そう考えるかもしれません。

ですが、
最後の決定権は、相手が握っているのです。

私たちにできることは、
「本気で対話すること」だけです。


辞めたいと相談されても

✅ 辞めたあとどうするのか
✅ 辞めることのデメリット
✅ 辞めることのメリット
✅ 本人が、なぜ辞めたいのか
✅ いつからそう思っていたのか
✅ 将来、どうなりたいのか

本気で向き合わなければ
ならなかったんです。

隊員の前に
1人の「人」なんです。

感情のある「人」なんです。


不安にもなるし、
いい将来を進みたい。

でも、答えがわからない。

だから、
目の前の人に知恵を借りるんです。


求められたら、私たちは答えるだけです。

全力で応えて、
私たちが思う結果にならないことも
あります。

それでも、いいではありませんか。


全力を出して、相手が覚悟を決めたのなら、
私たちは送り出すだけです。



忘れやすく、重要な「人」


私たちは
人と関わって変化が生まれ、
経験を積んでいきます。

1人では生きていけませんから、
ありがたいことです。

ですが、

ありがたさを忘れてしまいがちです。

私も素っ気ない態度をとって
反省することもあります。

人との交流はありがたいこと、
ときどき思い出さねばなりません。

過去に戻れたら、
このことを自分に
ガツンと言ってやりたいです。

そんなことを思い出したので、
書いてみました😇

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