「日本のマジック・リアリズム」の注1

*1 最初、津島裕子が中上健次について「中上は女になりたかった。でもなれないから男の暴力的な世界を描いた」と言ったと書いた。こういった趣旨の発言をする津島裕子の映像を見た記憶があるのだけれど、 どうも出どころがはっきりしないので、本文からは抜きました。分かる人がいたら、ぜひ教えてください。
津島裕子は「アニの夢 私のイノチ」(P+D BOOKS 小学館)の中で、中上健次について率直な思いを綴っています。中上の作品についても、興味深い見解を述べています。その中で中上が「鳳仙花」のあとにも、女性を主人公にした小説を試みたしたがうまくいかず、基本的に男性を主人公にした物語へと戻っていった事とその事についての津島裕子の見解が述べられています。先に上げた発言よりも、より立ち入った分析でとても興味深い。ウィリアム・フォークナーについても中上について述べ、当時の背景について述べる中で

「フォークナーに大学時代、自分が熱中して読んでいたから、そう思うだけの話かも知れないが、それまでジェイムズ・ジョイスの耳に響く音にこだわる作品を好んで読みながら、わかりにくいところもあると思っていたのが、フォークナーを読んで、この泥くさい世界ならよくわかると、体が沸き立つようにうれしくなったのを自分の経験としてよくおぼえている。」[「アニの夢 ワタシのイノチ」津島裕子(P+D BOOKS 小学館)]

「アニの夢 私のイノチ」

と自身もフォークナーに強い影響を受けた事を述べています。こちらの本もお勧めです。



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