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てのひら小説お題企画「春」

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彩り

彩り

世の中は色で満ちている
朝の光はピンクに近い黄色。昼の光は限りなく白に近い黄色。風に揺れる木々の葉はやわらかな緑葉色に鮮やかな黄色を混ぜる。そよぐ風は柔らかい黄色や水色。過ぎる電車は濃い原色。鶯の声は春の草木の色。
あなたの周りはどんな色があふれていますか。

てのひら小説「春」

てのひら小説「春」

花が咲く。春が咲く。鳥が鳴く。花粉が飛ぶ。くしゃみが出る。涙も出る。ティッシュが1日に1箱減る。つらくなる。嫌になる。目が赤くもう耐えられない。俺の大好きだった春はいつからこんな苦痛に満ちたものになったんだ。誰のせいだ。許せない。今日も俺は鼻をすすり涙をふく。恋の季節はどこ行った。

お題「春」でショートショート

お題「春」でショートショート

  四季宮の庭にて「春」

 冬の女王は舌打ちをしました。
「ああ、彼女がやって来るわ」
 氷柱で出来た女王の耳飾りから、雫が滴り落ちていました。霜柱の腕輪も薄く脆くなり、青白い手首から崩れて消えてしまいました。

 ここは四季宮の庭。
 数ヶ月に渡り、冷たい美貌の冬の女王がこの庭でお過ごしでしたが、そろそろ自室へお戻りの頃合でしょうか。

 宮殿には四人の女神がお住まいで、交代でこの庭にお出まし

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