水川ぽとす

ちらほら創作してみてます

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マガジン

  • PJ Novelフリー投稿マガジン

    • 94本

    PJ Novelとは「小説」を 軸に活動する “クリエイターズ コミュニティーです。 このマガジンにはメンバーの自由投稿作品を集めています。

  • てのひら小説作品集

    • 212本

    愛媛の作家によるてのひらサイズの短い小説。 500文字以下の小物に印刷したら映えるサイズ。 それが「てのひら小説」です。 1000文字超えてても2000文字以上でも「いや、これが私のてのひらサイズなんじゃい」と言い張る気持ちがあればそれでOK。 広がれてのひら小説の輪。

  • PJ Novel 素材壁打ちアラカルト

    • 542本

    たてヨコ愛媛クリエイターグループ「PJ Novel」メンバーのチャレンジ作品や素材を集めたマガジンです。

最近の記事

砂時計

ピ ピ ピ ピ 何か音がしてる ピー 走る足音がする 鼻に管があてられ 呼吸が楽になる 意識が遠のく ぼんやりした意識の中 真っ白な部屋にいる 誰かがいるのはわかるけど なんだか音が遠い 頭を起こそう 動かない 何も動かない 霧をつかむとでも 言うのだろうか 動かそうとしたそばから 意思が砂になって 落ちていくみたい さらさらサラサラ すり抜けていく つい前の記憶が蘇る 息が弱すぎて 痰が出せず 管も入らず ただただ苦しい なんだろうこの状態 知っている声が言う

    • 雨と彼女

      雨の日は嫌だわ 決まって頭が痛くなるの 前日から片鱗が ふわふわとまわりを漂って じわじわと 頭をしめつけてくる それでも彼女は 雨が好きだという 濡れた草木は あざやかに色を放つ 降り始めの雨のにおい カエルが楽しげに歌い出す 考えただけで ほんの少しだけ いい気分になるの もうずいぶん 会っていない気がする ふと思い出しながら 雨の音に耳をかたむける 彼女は今も 頭痛薬を片手に やはり微笑むのだろうか

      • 雨音と冒険

        気づけば雨音がしている ポタポタ サー 周りの音が少なくなる たまに通りすぎる 車のタイヤが 濡れた道をすぎる音 日常とは少し違うモノ音 不思議と 世界から 切り取られた気分になる 想像する 今普段と違う場所にいる 子どもの頃なら 冒険にくり出していた きっと 大人になると 何かを失っていく と思っていたけれど 冒険までいかなくても なんとなくワクワクする この感覚を大切にしていたら いつかまた 冒険にくりだせる気になる 悪くない

        • 肌寒さ

          はあ、今日も疲れた くたくたになりながら 残業の後の夜中 月明かりの下自転車を漕ぐ 帰ったらお風呂を洗って 洗濯してご飯を作って 家に帰ってからも やることはたくさん でも家のことをやるのは 嫌いじゃない 私よりも帰りの遅い 彼が喜んでくれるから 温かいお風呂が待ってて ご飯のいい香り 翌朝のアイロンのかかったシャツ 私が嬉しいと思うものを 彼にあげたい お休みの日には 疲れてるのに 掃除やごはんを 得意じゃないのに頑張ってくれる 正直自分で作る方が早い レシピ通りに

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        記事

          生成AIで音楽と画像の制作

          静止画→動画作成は顔がずれたりちょっとホラーなのがいくつか^^; 曲の題名は「森の奥」 https://www.canva.com/design/DAF9we5ch4k/4xu6JzyYdnPeLyCPYIkHxg/watch?utm_content=DAF9we5ch4k&utm_campaign=celebratory_first_publish&utm_medium=link&utm_source=editor_celebratory_first_publish

          生成AIで音楽と画像の制作

          月あかり

          どっぷりと暗い 暗闇の中を 煌々とひかる電車が ガタンゴトンと過ぎていく 銀河鉄道の夜 みたいだ 昼間と違って 静けりかえり ただ月の光と街灯と 電車の光だけが明るい こんな時にはふと どこかに行ける列車が 日常と違う世界に 連れ去ってくれるのではないか とありえない期待が ふつふつと心にわきおこる 少し寒くなり始めた風 透明にすんだ空気 白い白い月のひかり もう冬だ

          しっぽ

          化け猫は尾が9つあるという では5つ目の尾が生えた ミケはなんになるんだろう もう何年 一緒にいるんだっけ ミケが生活の中に いないことが考えられない くらい一緒にいる 普通の猫とは違うようだ とミケがうちに来て 20歳を超えたあたりから ちょっとずつ感じていて しっぽが増えた時 あれとは思った どういう周期かわからないが ミケのしっぽは 気が付けば増えている でも人間の言葉を話すこともなく しっぽが増えたのも 他の人にはわからないみたい 9つになったら ミケと話せ

          カーテンの隙間から 明るくなってきたのがわかる また、夜が明けてしまう 眠れないまま ベッドにいた夜は ため息をついた 何度目だかもうわからない いつだって夜は眠れない 試みるものの 暗闇は目が覚めてしまう 逆に太陽の光は眠たくなる おかげで外で 誰かと遊ぶこともない 仕事は納期さえ守れば いつでもできるし 友達といえば ゲームで繋がっている人がいて たいてい夜更かしが多いから 生活に支障はない でも夜に寝てみたい と夜は願う 名前のせいなのか 体質なのか 夜はいつも

          小さな冒険

          冬の朝、美香は窓を開けた。 冷たい空気が頬をなで ゆっくりと深呼吸する。 空気が澄んでいて 色がくっきりして見える。 「新しい一日、新しい冒険の始まりね」 休日にはいつも 普段行かない道を通って 新しいカフェや店を見つける。 そんな小さな冒険が彼女の楽しみ。 今日も新しい発見が待っている。

          疾走

          おへそのあたり からだのぐんと内側の方が 煮えたぎるようにあつい トットットットッ 早歩きから どんどん足を速めていく あついあつい 息が上がってくる まだだまだまだ ぐんぐん進む 風がうしろに流れていく 風で熱を 吹き飛ばすかのように ぐんぐんぐんぐん 息が切れて立ち止まる 鼓動がどんどん鳴っている 風が吹いている ふっとともしびが 消えるみたいに あつさが消えた

          一歩

          涙が出そうになって 下を向いたら かわいらしく咲いてる 花を見つけた 紫色で小さくて 丸くてかわいい花 かわいいと思いながらも こぼれ落ちる涙がいやで 上を向いた 夕焼けに染まった空は ピンク色できれい ああ、空はこんなに広くて綺麗 私はとてもちっぽけ 泣けるだけ泣いたら また一歩踏み出そう 怖くても 綺麗な世界を見るために 世界はもっときっと広い

          冬の季節

          冬が来た 妙に静かな外の空気に ああ、冬だと思う 雪は音を吸収するらしい だから冬の朝は  とびきり静かだ 新雪を踏みながら 新しい足音を刻みつける 何か楽しい 私がいるという証が 形となる 確かに自分がいたと言う証 いずれ消えてしまうものだとしても 私にとっては とても大事な恒例行事だ 今年も雪が降ってよかった 今年も私は振り返る 自分がここにいたことを 確かめながら ただ足跡を刻む

          秋といえば いもくりかぼちゃ 彼女は秋が好きだ ホクホクしたものが 好きなのだ と彼女は言う 今年も彼女のために 蒸したり煮たり 私にとっては 秋は彼女がたくさん喜ぶ季節 嬉しいの声が聞きたくて 今日もスーパーで ニヤニヤしながら カゴに詰め込む

          ゾンビの恋

          ゾンビは恋をした 彼女を見つけて ゾンビは想いのままに  彼女に向かう 口からでるのは唸り声 向けられるのは 敵意と銃口 それでも彼は 本能のままに突き進む 銃声が鳴り響き 彼は伝わらない 恋心とともに消えた

          とあるキジのお話(桃太郎)

          キジは縄張り争いが好きじゃなくて 弱虫だと評判が広がり 今ではどこを通ってもみんな知らんぷり。 話しかけても知らんぷり。 ああ、寂しくてたまらない。 キジはいつもひとりぼっちでした。 そんなキジでしたから 桃太郎から仲間に誘われて すっかり舞い上がってしまいます。 どこに行くのか聞いてなかったけど 僕にも仲間ができるんだ! こうして二つ返事で キジは桃太郎一行の仲間になりました。 いっしょに行動するうちに 気が弱いことはバレていましたが しょうがないなあと笑うだけで の

          とあるキジのお話(桃太郎)

          雨の日にはお迎えが

          あら、泣いてるのね。どうしたの? 見たことある気がするけど誰だったかしら。 ああ、きっと雨の日が嫌いなのね。そんなこと言っていた気がする。 誰だったかしら。でもわたし雨って嫌いじゃないのよ。 どうしてって?だって雨の日には必ずあの人が傘を持って迎えに来てくれるの。かわいいでしょう?いつもはそんな感じの人じゃないの。わたしが傘を忘れて濡れたら風邪でしばらく寝込んでしまった時があってね。ずいぶん心配したみたいなのよ。それからもうずっと。 ほら、やっぱり来てくれた。でも長いこと

          雨の日にはお迎えが