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tajifusen
雨の日にはお迎えが
あら、泣いてるのね。どうしたの?
見たことある気がするけど誰だったかしら。
ああ、きっと雨の日が嫌いなのね。そんなこと言っていた気がする。
誰だったかしら。でもわたし雨って嫌いじゃないのよ。
どうしてって?だって雨の日には必ずあの人が傘を持って迎えに来てくれるの。かわいいでしょう?いつもはそんな感じの人じゃないの。わたしが傘を忘れて濡れたら風邪でしばらく寝込んでしまった時があってね。ずいぶん心配したみたいなのよ。それからもうずっと。
ほら、やっぱり来てくれた。でも長いことあってない気がするわね。迎えに来るのが遅いんじゃないかしら。
え?まだ楽しいからもうちょっと待ってって私が言ったの?あら、それは待たせてしまってごめんなさいね。
でも許してくれるでしょう?そうそう、あなたの笑顔が好きなの。
ほら、来てくれたからもう行くわね。
ごきげんよう。
病室には電子音がただ響いていた。
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