男子サッカー日本代表のユニフォームに「星」をつけるために…

スペインは本気だった

正直なところ、もっと緩く来てくれると思っていた。コスタリカ戦で大量得点をしていたスペイン。彼らがグループステージ敗退するパターンは、日本戦の敗退と、ドイツvsコスタリカでコスタリカがドイツに勝利するパターンだけだった。前回大会の日本代表のように、体力を温存するためのメンバー変更をして次の戦いに備えることも可能性として考えられた。

しかし、ルイスエンリケ監督は、ガチメンで来た。リスクを自力で最小限にするために、本気で日本代表に準備してきた。いつも通りのスペイン代表の「型」をいまいるベストメンバーでやってきた。
承知の通り、同時開催された試合中、スペインが敗退するパターンは数分ではあるが実際に発生していた。なんとかなったので、スペインとしてはなんとかなったという形だろうか。ルイスエンリケが談合を選ばないくらいにはスペインもやばい状況だったんだと振り返ると思いがめぐる。スペインは本気だった。

「死のグループ」を僕たちは乗り越えた

試合結果、内容についてはあえて触れない。32チーム参加の大会形式が最後となる今大会でスペインとドイツが同居するグループに入る。おそらく、48チームの大会形式になれば、こんなグループに入ることはないだろう。日本代表のようにPOD3~4をうろうろしている立場のチームにとっては、最初で最後の「死のグループ」体験だった。

日本代表はスペイン・ドイツ・コスタリカ(実はPOD4の最上位)と本当に実力がある国が揃うグループに入った。この3か国に2勝するか、3試合負けないなんて、とんでもないミッションである。スペインが仮にブラジル、アルゼンチン、ポルトガル、イングランドでも「やっかい」なグループだったのだ。

こんなグループで、POD1の常連国のスペインとドイツに2勝した。しかも、前半0-1で折り返し、後半に2点取って逆転するゲームを2回。今回の日本代表のグループステージ突破はワールドカップの歴史の中でも長く語り継がれるエピソードになる。それくらいの偉業であることを認識しないといけないし、これで日本サッカーの立場が一気に変わるのかもしれない。

学び対策する立場からの変化

今回のグループステージ突破だけで、日本サッカーの立場は大きく変わる可能性がある。もちろんラウンド16のクロアチア戦は控えているが、その話もおいておこう。

約30年前の秋、ドーハでアディショナルタイムにイラクにセットプレーを決められてワールドカップに「出場」すらできなかった国が、30年プラスαの時間をかけて、どのような取り組みを行い、協議の普及と強化に努めたのか、その背景条件は何か・・・

語りだせばきりがない。ただ一ついえることは、この経緯に深く携わりとんでもない尽力に大いなる貢献をしてきた中心人物が田島幸三さんを中心とした世代の人たちだということだと思う。前回大会のいろんな経緯もあり批判の対象となることも多い。しかし、田島さんたちがやってくれた普及や強化の取り組みがなければ、2022年の秋にドーハで残した結果は絶対にありえなかった。

そして、僕たちはこれから、学び研究する立場から、研究対策される側に回り始めるかもしれない。

2050に向けて

まだ違う景色(ベスト8)に到達してないが、それと同じくらいのすごいことは達成した。これまで、強豪国との対戦時には「本気じゃないから」と僕たちはさげすんでいたけれど、これからは相手も「あの日本だ」と目の色を変えてくるだろう。だけど、日本サッカーの目標は2050年までに男子のワールドカップで優勝することだ。

女子はすでに達成している。なでしこジャパンのユニフォームの左胸には「星」が一つ付いている。男子のユニフォームにも「星」をつけなくてはいけない。そのためのステップを間違いなく、カタールでのドイツ・スペインへの勝利で積み上げたと思う。そして、JFAが掲げている夢・目標に一歩近づいたと思う。今まで「無理でしょ」と思っていたことが、あと30年あればできるかもしれない。そう思えるきっかけになる2つの勝利だった。

これからも、個人的にできることを通して、日本サッカーを微力ながら、応援していきたいと思う。


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