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上場準備会社等に転職を考えている人へのお役立ち情報(人材紹介会社のナマの声)

このnote記事を公開することによって、少しでも企業と人材の「防ごうとすれば防げるような転職ミスマッチ」が減ったらよいなとの想いで、私が信頼している人材エージェント3名にインタビューさせていただいた内容をまとめています。

なぜこの記事を書いたのかなど、詳しい経緯はこちらをぜひ。

インタビュー①転職がうまく行く人・うまく行かない人

転職活動を上手にすすめられるのはどのような人物か?というお話と、その後、転職した先の会社で活躍しているのはどのような人物か?というお話について、コメントをいただきました。

転職活動が上手いと思う人の特徴や傾向は以下のようなことですね。
コミュニケーション力
 話が長い人、質問と回答が噛み合っていない人がとても多い。相手に合わせて簡潔明瞭に話す能力はとても大切。
自己分析がきっちりできていて、自分の行動にひとつの軸がある
 自分のキャリアの軸を語れる人。自分という商品を売るための努力が出来ていない人もいる。
抽象的な話に終始せず、具体的なエピソードを語れる人
 抽象的な話をする人があまりに多い。当たり障りない話しかしないので響かない。話下手で上手に説明できない人などは、具体的な話を職務経歴書に書いてしまったほうがよい。
仕事に対して能動的な姿勢がある
 あたりまえのことだが、言われたことを完全に遂行しましたではなく、本人がどのように工夫をしたのか、考えて仕事をしてきたのかが大事。
面接後のエージェントへのフィードバック
 出来る人は、面接での具体的なやり取りなども丁寧にフィードバックしてくれることが多い。ダメな人からの報告は「いい感じでした」だけだったりする。これではよくわからない。(X氏)

1対1の面接のイラスト(男性)

転職してうまくいっている人ですか。フェアな人・正直な人ですかね。
なぜ転職するのかという質問に対して、これまでの成果だけでなく失敗したことなども正直に話してくれる人はその後も活躍していることが多いと感じます。
ダメなのはごまかす人ですね。転職理由を聞いても、いろいろごまかしながら話す人や他責の念が強い人はうまくいかないですね。多くの人材を見てきた我々だから気づけることかもしれませんが、お話していて目の動きなど態度に表れてわかることもありますね。高学歴・大企業1社のみのシニアにこのような方が特に多いです。(Z氏)
覚悟がある人・リスクをとってチャレンジする人というのもありますね。
最初からお金もポジションも求めるタイプは苦労します。業種も職務内容も変わるのに給料を上げて転職したいという人がいますがだいたいうまくいきません。転職することは自分としても大きなチャレンジだけど活躍したらお金やポジションは後からついてくるはずと覚悟を決めて転職する人のほうがうまくいっていますね。(Z氏)

やる気に燃える人のイラスト(男性会社員)

転職をした後に活躍している人の特徴や傾向はこのようなことです。
・キーマンとの信頼関係構築
 入社時のポジションにもよりますが、キーマンとの信頼関係を早い段階で築くことができるかどうか。キーマンが誰なのかをいち早く見つけられるかどうかも。
・入社後のスタートダッシュ
 出来る人は、入社直後から3カ月程度の間のスタートダッシュが凄い。最初から集中して企業が期待している以上のパフォーマンスを出し続ける。
 会社側からもゆっくり入って少しずつ慣れてもらえばいいよと言われることもあるが、最初から頑張ったほうが絶対いい。緩く入ると目立ちもしないし、緩く入って途中から頑張ろうとしても、その時にいい仕事がその人には回ってこない。すごい人が入ってきたと期待を持ってもらってチャンスをもらう方がいい。このような話を聞くと、そういう人はハードワークをするタイプのように思うかもしれないが、必ずしもそうではない。周りをとにかく助けて、貸しを作りまくっていくことなど人間関係が上手い。毎日タバコ部屋に通って営業のキーマンと話をするなども。
・転職先で自分が得たいものを明確に持っている
 この会社で自分は何を得たいのか。能力や経験なのか(例:IPO経験)、役職なのか(例:管理職経験)、お金なのかがしっかり整理できていれば、それに向けてしっかり頑張れる。これが定まっていない人が多い。
・他人を巻き込むのが上手い(プロマネ力)
 相手の立場に立って考えることができる人。誰が相手でも謙虚にふるまえる人。例えば、部下のメンバー個々人のキャリアについて考えてあげているかどうか。あと、会計士の場合、監査法人で会計士のチームをまとめることができたという話と企業の中でのプロマネ力はかなり違うので要注意。(X氏)
失敗しているケースとしては、報酬だけで決める人や焦って決める人ですね。うまくいく人は、転職活動は人生で何度もすることでもないので少しでも興味あるところは話を聞いてみようかと活動するタイプ。やむを得ない事情があってすぐにでも次で働かないといけないという人の場合は仕方ないことですが、そのような事情の方はさほど多くないですよ。柔軟に考える方は、凝り固まった考えは捨てて、いろいろ話を聞いてみた中で気づきを得てうまくいっていますね。この会社だけに行きたいと最初から絞って動く方がいますがその進め方はあまりおすすめできないですね。(Y氏)

お金のために頑張る会社員のイラスト

人の話をきけるかどうか。折角いろんなアドバイスをされてもシャットダウンする人、聞き流す人がいますが印象悪いですよね。あと、書類に誤字脱字が多い人は、どこか抜けていて、脇が甘いことが多いです。(Z氏)

耳をふさぐ人のイラスト(女性)

→  「コミュニケーション力」、「柔軟性」、「謙虚さや誠実性」、「覚悟」 あたりがキーワードでしょうか。

インタビュー②転職活動をするにあたっての相談先は?

人材エージェントの方へのインタビューですので、当然にエージェント選びの話が多くなりますが、それ以外のお話もお聞きできました。

転職についての相談は誰に相談するかも重要です。
だめな人材エージェントに相談しても、求人情報の紹介だけでその会社に入ったらどういうキャリアになっていくのかのような話題にはなりません。キャリアに関する相談先にはならないでしょうね。
元同僚や元先輩への相談というのも注意が必要です。そのような相談に乗ってくれる人はだいたいの場合イケてる人、うまく行っている人なのでいい話になりがちです。魅力的なキャリアに聞こえても、話半分だと思って聞かないといけない。その人と同じようなキャリアに進んで、辛い状況になっている人、しんどくしている人が沢山いてもそういう人は語る場に出てこないですから。第三者的な立場で真実を語る人がいればそれがいちばんいいですがそういう人は少ないですね。
あと、監査法人にいる会計士が、監査法人の先輩に相談してもそれは無意味ですね。自分が監査法人にいるのに、外に出たほうがよいよというアドバイスをすることはまずありませんから。(X氏)
信頼できるエージェントやヘッドハンターがいるなら相談してみたいと思いながら、どうやって知り合えばよいか分からないというような場合には、信頼している先輩や友人に「いいエージェントやいいヘッドハンターいませんか?」と聞いてみるのもよいと思いますね。その方がその業者を使っての転職をしていない場合でも、転職活動をしたときの対応がとてもよかったところを教えてもらえるかもしれません。実際、私のところにそのような紹介がけっこう来ます。「自分が転職先を決めたエージェントではないけど、〇〇さん(=Y氏)はとても良い対応をしてくれたからあなたの転職活動にもいいと思う。紹介するよ」というような話をしてくれるようです。(Y氏)
人材紹介会社でどこを選ぶかについてですが、大手と大手以外でどちらがよいとは言い切れないですね。大手は効率的にマッチングをします。AIを使った自動マッチングの仕組みがあるところもあります。ただ、人材を「もの」として扱ってしまっている面もあると思います。何度か転職を経験したベテランの中には、次はもう大手のエージェントを使わない(大手以外に相談する)となっていく方もいらっしゃいますね。(Y氏)
エージェント業者としてはちょっと言いづらいことですが、一番いいのは個人的なツテによる転職だと思います。個人的なネットワークで動いてうまくいっているケースは多いですね。
もし個人的なツテがない人は、網は多く張ったほうがよいと思います。ひとつだけに絞らず、いくつかのエージェントを使うだけでなく、本当に入りたい会社があるならその会社のウェブサイトから直接連絡することなどやってもよいかもしれません。
あと、個人的なつての話で気をつけてほしいのは、片手間でエージェント的なことをやっている人。そのような人から「俺が勧める会社だぞ。いい会社だから。」と勧められて飛び込んで見たものの失敗だったという話もよく聞きます。個人的なツテだけ一択で動こうとするのはリスクかもしれまあせんね。(Y氏)

ハローワークのイラスト「係員と面談」

人材紹介業は、決めてなんぼというビジネスではありますね。それでも当社は、数年後にその企業・その人材が発展・活躍しているのが嬉しいと思って活動していますが、大手紹介会社はどちらかというと短期志向。業績を上げるためにKPIで管理していることが多いようです。何人の人材と面談をしたのかとか、自分が担当した人材が何社書類選考で通ったのかとか、何社面接に進んだのかとかをKPIで追いかけている。この指標を良くするためになかば無理やりに面接に行かせるようなこともあると聞きます(Z氏)。

たらい回しのイラスト(スーツ・男性)

→ この手のお話は他からも聞くことがあります。通常の人材紹介業者は、採用となればそれなりの金額の手数料収入が得られるものの、いくらいいところまで選考が進んでも採用とならなければ収入はゼロ(ただ働き)というビジネスモデルです。そのため、業者としては「採用」をゴール設定として位置づけがちとなり、「もしかするとミスマッチかも」と気になる状況となったとしても、採用するかどうか・入社するかどうかは双方とも自らの責任のもとで行うことだからということを拠り所に、なかば強引に内定出し・内定応諾となるように結び付けにいくことはあるようです。

人材系の業者との付き合い方ですが、何を求めるかによると思います。キャリア相談はいらないからとにかく案件だけ下さいという人は大手だけでもよいのかもしれません。欧米では、医者と弁護士とヘッドハンターはしっかり選んで付き合えと言われています。しっかり自分についての話を聞いてくれて、今回の転職だけでなく人生のキャリアについて話せる存在として。よき人生での伴走者のような付き合い方を望む方などは、独立系の業者とも付き合われるとよいと思います。もちろん大手の中にも素晴らしいキャリアコンサルが沢山おられます。なお、大手業者の中には、一度その業者を使って転職をするとその時の担当者は転職したその人材には連絡をとってはいけないという社内ルールを定めていることもあります。すぐに次の転職を促すなどのトラブルを防ぐためのことですが、人材側からすると次に転職活動をすることとなった時に同じ人に担当してもらえないというのはマイナスかもしれませんね。(Z氏)

インタビュー③これから転職しようとしている人へのその他のアドバイス

インタビュー①と②で触れていないことで、転職しようとしている人にお伝えしたいことがあれば教えてくださいとお聞きしました。

転職を考えている人がまずやるべきことは、自己分析だと思います。自分が何を望んでいるのかが分かっていない人がとても多い。
自己分析は、頭の中で行うのではなく、書き出すことを強く勧めています。
他人の話ではなく自分のことを整理すること。ひとりひとり背景も違うし人生は人それぞれ。自分が本当に大事にしているものを考えたほうがよい。落ち込んでしまい自己嫌悪になることもあるかもしれないがそれでもやるべき。お金・仕事、何を優先していくのか、10年後にどうしたいのかなど。
この書きだした自己分析を第三者に見せてアドバイスをもらうことは効果が高くお勧めです。(X氏)

自分の能力や経験、立ち位置をしっかり知っておくこと
は大事です。実力が明らかに足りないのにCFOポジションでなければいやだとか取締役前提でないといかないという人がかなり多くいます。監査法人でしか経験しておらず資金調達などの経験がないのに、やりますよと言うタイプ。期待に応えられず短期間で辞めてしまうことになるのですがそれでも自分が悪いのではなく会社が悪いとか社長が悪いとか、社風が合わなかったと主張してしまうケース。変な形でエージェント業者などから持ち上げられてしまっており気の毒です。(Y氏)

五里霧中のイラスト

二つのお話で共通していることは、「自分が何ができるのか」と「何をしたいのか」をしっかり整理しておくことが大切だとのこと。

ハイクラスの人材の場合だけの話ですが、企業の詳細な内部情報を見せてもらってしっかり確認してから入社するかどうかの判断することを勧めています。NDAを締結した上で、3年程度の決算書や株主名簿、登記簿謄本、事業計画やVC向けの資料などですね。当社からも企業に対して、採用してからミスマッチだったとなる方がよくないですから求職者に詳細な内部情報を開示しましょうとリードすることもしています。
開示された情報を見て、聞いていた話よりもかなり状況が悪いのでやっぱり辞退しますとなることもありますよ。人材業者としては成約目前での辞退はとても残念なことですが、私たちは後でミスマッチだった、辞めるとなってしまう位なら、本人のためにも企業のためにもそれでよかったんじゃないかと思うようにしています。(Y氏)

データ分析のイラスト

求人に応募しているという立場の中で、どこまで会社の状況を聞いてよいのかを迷うケースもあるようですが、思い切ってリクエストしてみれば、誠意ある会社の場合はそれなりの情報を提供されるケースもあるとのこと。


インタビューは以上です。

(転職を考えている方だけでなく、対象する会社やIPO準備プロジェクト等で関わる外部関係者なども)この記事に目を通すことで、ひとつでも参考にしていただけることあればよいなと願います。

インタビュー対応いただいたXさん、Yさん、Zさん、どうもありがとうございました!

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