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JICA海外協力隊面接の話②

先日、記載した面接に関する話の続きです。

そこで私は

「持続する情熱」、「異文化理解」、「柔軟な思考」、「表現力・説得力」
の4点を応募者が持ち合わせているか面接で確認される。

と書いた。

「表現力・説得力」とは一般的に
社会人として必要とされる能力である。

協力隊員としてより特有なそれ以外の3つの資質

「持続する情熱」「異文化理解」「柔軟な思考」

が具体的にどの様なものか
そして、それぞれがどの様なコンピテンシーに繋がるのかを考えていく。

コンピテンシー(英: competency)とは、企業などで人材の活用に用いられる手法で、高業績者の行動特性などと訳されている。

「持続する情熱」

才能とは、情熱を持続させる能力のこと

とは、アニメーター宮崎駿の言葉であるが、
天才監督をして「才能」と言わしめるほど
情熱を持続させることは、生半可に実行できることではない。

より抽象度が高く、自分にとって価値のある大きな目標を
対象となる活動に持たせることによって、
情熱が持続する可能性が高まる様に思う。

■例えば

好きなアイドルがカレー好きという理由で
カレーをスパイスから作り始めたカレー女子がいたとする。
アイドルに対する情熱が覚めると同時に
彼女のカレーつくりに対する情熱もどこかへ行ってしまう。

一方で、インド旅行に行った際
死者が葬られるガンジス川のほとりで食べたカレーの味が忘れられず
その味を再現し日本で普及することをライフワークと決めた
旅好き女子がいたとする。
帰国ご、様々なスパイスで味を再現することにチャレンジし
もしかしたらカレー屋さんを一生涯の職業とするかもしれない。

この様に、自分にとって価値のある目標をもち
それに基づき行動することによって、
情熱の持続性が確保されるだろう。

■具体的なコンピテンシー
・特定の行動が飽きることなく継続できる。
・部活動や専門分野の学習などの1つの項目に対して一定期間集中して取組んだ経験がある。
・それらの活動において、他者の行動にも影響を与えた。

「異文化理解」

異文化理解とは、異なる文化や価値観を理解することだ。

対象となる社会や人物と自身との「違い」を認識するには
まず自身の文化や価値観を知る必要がある。
その上で、対象の文化や価値観を知り、
それらの比較することで違いを認識する。

メタ認知を働かせフラットな目線でこれらの違いを認識する必要がある。

いくら対象の文化や価値観に気付いても
自身のそれらを自覚しなければ違いは明確にならない。
自分の文化や価値観を、しっかりと言語化できている人は
意外と少ないと思う。

■例えば

教師として派遣された協力隊員が
勤務先の学校において、現地人教師が悪さをした生徒に対して
木の棒や鞭でボコシバにしている光景に遭遇する。
隊員は、何とも言えない嫌な気持ちになる。

「教育において如何なる体罰も許されない」
という自身の価値観、現在日本の文化を認識する。

「先生が鞭で生徒をしばく」という事象に対する観察から
「教育において、体罰は必要悪」
という任地の価値観、文化を発見する。

自分「体罰ダメ」⇔任地「体罰OK」
という価値観、文化の違いを理解し、
嫌な気持ちはこの価値観の差から生まれる心情であると認識する。

ここでのポイントは、それぞれの「価値観の優越」「善悪」を決めつけないことだ。
一旦、「善悪」は横に置いておいて、フラットに違いのみを認識する。
自分の価値観を一旦捨てて、「優越」「善悪」抜きにして
違いを認識できる能力こそ、「異文化理解」力であろう。

■具体的なコンピテンシー
・自国や出身地域の文化や歴史を理解している。
・自身の経験や価値観を客観的に理解している。
・違和感がある他者の行動に対して、客観的に観察ができる。
・自身の不快感を客観劇に言語化できる。
・経歴や出自の異なる人たちとチームになって成果をあげたことがある。

「柔軟な思考」

柔軟な思考とは、自分の価値観、過去の経験、偏見、バイアスに捉われず
多面的に物事を考える力だ。
この能力は、先述の「異文化理解」を「異文化許容」へと発展させることができる。
仮に異文化を理解したとしても、柔軟な思考力がないと
単に異質のものと捉えるだけで、許容するまでには至らない。

■例えば

先の教師隊員の例において
柔軟な思考を持ち合わせていない隊員は
「今の時代、体罰で教育するなんて。
 なんて野蛮な人たちなんだ」
と無自覚に自身の価値観を優先的に考え判断する。

一方、柔軟な思考を持っている隊員は
「この不快感は、価値観の違いからくるものである。
我々の価値観で考えると、体罰は教育的効果が乏しく
他に最善の方法があるはずだ。
しかし、彼らがこうして体罰を行うのには何かしらの
意義、意味があるはずだ。
一旦、受け入れることもせずに否定することは
相手文化を拒否することとなる」
という考えのもと、
現地人教師以上に激しく生徒をボコボコにする。
そして、自分自身で不快感を飲み込んだ上で最終的な
善悪の判断を下す。

半分冗談だが、柔軟な思考とはそれほど柔軟に
自身の価値観や感情と向き合うことのできる能力だ。

■具体的なコンピテンシー
・既存の考えや発想にあえて疑いの念を持つ。
・自身の感情や欲望に対して、あえて反対の行動をおこすことも辞さない。
・これまでにない新たな方法や価値観による解決策で課題を解決した経験がある。


以上が、JICA海外協力隊に必要とされる
「持続する情熱」「異文化理解」「柔軟な思考」に関する
私の考え方だ。

面接においては、いかにこれらの資質を持ち合わせているか
経験や過去の行動を根拠にしながら語る必要がある。


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