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生い立ちの記

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#生い立ちの記

【生い立ちの記】20 あの日のこと

【生い立ちの記】20 あの日のこと

20

自分の記憶を思い出す…
という経験は多くの人にあることなのだろうか

母親が居ないことを自覚したと同時に
私は母が亡くなった日のことを思い出した

いや、正しく言えば思い出したのではなく
意識の上にのぼらせたとでも言うのだろうか

あの日のこと…
あの日の自分の行動

【生い立ちの記】19 フツー

【生い立ちの記】19 フツー

19

あれ…そうだ
私には母親が居ないんだ
あれ…そうか
みんなには母親が居るんだ
そうか…
私とみんなは違うんだ
そうか…そうか…
みんなにとってのフツーを
私は持ってないんだ
私は…
私は…
フツーじゃないんだ

この時から私は
「フツー」への憧れを募らせるようになった

【生い立ちの記】18 意識

【生い立ちの記】18 意識

18

あれは多分
小学校四年生の時だと思う

クラスメイトに突然
「ミマの家っておかあさん居ないんでしょ?可哀想だね」と言われた

子どもだからこその
悪意の…
いや、意味なんて殆どない
挨拶程度の言葉

だけど私にとって衝撃だった
何も答えられなかった

母が居ない生活が当たり前だったから
母が居ないことを意識なんてしてなかった

この言葉が
私には母が居ないということを
しっかりと自覚させ

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【生い立ちの記】4 音

【生い立ちの記】4 音

4

聞こえていた大きな音の正体
それは母が壁にぶつかる音だった

フラフラと
色んなところに勢いよくぶつかりながら
兄と私には目もくれず
トイレへと向かう母

いつもと違う母の様子に
私は怖くなって寝転がった
ひたすら天井を見ていた

やがて音が止み
母の苦しそうな声が聞こえてきた