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②私の取材ライター半生記|包丁職人の嫁兼ニートになる

「何者かになりたい」と願いつつも空っぽだった20代を振り返り。連載形式で、私が取材ライターという天職に巡り合うまでを綴っていきます。

こちらの記事の続きになります。

https://note.com/watamari/n/n8699617ba74f


ニート生活で不安が加速する

寿退社を口実に、新卒で入社した会社を在籍3年半でやめた私。上司とのギクシャクした人間関係から解放されて、「私は自由だー!」と叫びたくなるほど心が軽やかでした。

と同時に、厳しい現実を目の当たりにする訳です。私には何のスキルもない「空っぽな人間」であるということを。

とにかく仕事を探そうとハローワークに駆け込んだものの、ものづくり企業が多い土地柄、求人のある仕事は倉庫管理・事務系ばかり。ポンコツな私にとって協調性が必要なルーチンワークは大の苦手分野。これらの仕事に就いたら一生劣等感を感じながら生きるはめになることは、容易に想像できました。却下!

それならばと、近所の本屋で資格の本を探しにいくわけですが、まったくピンとこない。FP・税理士・行政書士・企業診断士……どれも無理じゃんっ!と絶望感に打ちひしがれながら、いま自分はどこに向かうべきかの道しるべを失い、果てのない海を放浪している気分になりました。

13歳年上の主人は包丁職人。遊ぶように仕事をしているのがまぶしかった

そんな私を見かねて、13歳年上の主人は「まりちゃんのペースで仕事を探すといいよ」と言ってくれました。

主人は新潟県三条市で6代続く「渡辺刃物」の包丁職人です。包丁の品質は一級品。自ら材料選定をして鍛造する手打ち刃物で、切れ味と長切れを徹底的に追及しています。主人曰く、同業他社がひしめくこの地で、英語を武器に海外へ販路を見出し、独学でホームページを作成して発信して海外ファンを獲得したのが勝機となったのだとか。現在も「WatanabeBlade」といえば世界中のシェフが絶賛する包丁として、名を馳せています。(ちょっと盛って紹介してみましたw)

主人は仕事を遊ぶように楽しんでいる人。そんなところに憧れて付き合うようになり、結婚したわけですが、一方私は何もない空っぽ人間。虚しさを助長させるのです。

そんなメンタル絶不調の私に、友人からとある仕事の依頼が舞い込んできました。

フリーペーパー制作の仕事!オラわくわくすっぞ!

「フリーペーパーを作ってくれる人を探しているんだよね。まりちゃんやってみない?」

青天の霹靂とはまさにこのこと。まさか私の人生で、フリーペーパーを制作するという仕事に就くとは夢にも思いませんでした。どうやら市が補助金を活用してフリーペーパーを制作するとのことで、企画・執筆の一連をまるっとお任せできる人を探しているらしい。

本格的にフリーペーパーを作ったことはないけど、お遊び感覚で手書きのチラシを作っては、友人に配ったことは何度かあります。自分がおもしろいと感じたものを誰かに共有するという行為、そして受け手のリアクションを観察するのが楽しくて、誰に言われるでもなく自然とやっていたことです。

まさかその延長線上のようなお仕事があるなんて!悩む余地はなく、私の心はすでに決まっていました。

「おもしろそうだからやってみよう!」

こうして私のフリーペーパー制作のお仕事が始まったのでした。

次回に続きます。



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