見出し画像

私はドブ色に輝きたい。

私はただ、幸せになりたかった。

2回結婚し、2回離婚し、2人の娘を授かった。
35歳で司書になり、40歳で通信制大学に入学した。

結婚、出産、離婚、転居、資格取得、転職、リカレント教育…
いつもより良い未来のために、自分を承認するために、幸せになるために、
自分なりの成長を目指してきた。

しかし現状はどうだろう。
生まれて1度も正社員になったことはなく、時給で雇われている職場で評価される人材でもなく、大学の勉強も日々の生活との両立に苦戦し思うように進まない。
信頼できる友人もいなければ、実家とも気付けば疎遠である。
事実婚の夫とは1年5ヶ月ただの一言も喋っていない。

多感な年頃を迎えた娘達は、既にこちらに軽蔑の眼差しを向けてくる。
唯一自分が為せた社会貢献だと誇れる、2人の娘にすら雑魚だと気付かれている
イタイおばさん。それが今の私だ。


前に進んでいるようで、進んでいない。
ずっと人生スベってる。
いつも心に潜む、虚無と挫折感。

どこで道を間違えた?頑張り方が間違いなのか?そもそも考え方が甘いのか?


人生は選択の連続だ。
だが前に進んだその先に、必ず成長がなければいけないのだろうか。

すぐ諦めちゃダメだろうか
速攻で逃げたらダメだろうか
できない自分に言い訳したらダメだろうか
弱い自分を正当化したらダメだろうか
時間を浪費し、グダグダ生きたらクズなんだろうか


スタートアップに燃える若者

グローバルな活躍を求めて、世界に羽ばたいていく人

福祉をビジネスと結びつけ、社会を良くしようとする企業

家族や仲間とのつながりを大切にして、新しいコミュニティの形を創造する
インフルエンサー

未来の目標達成のために、10年も20年も先を考え逆算して行動する人

新しいイシューを打ち出す、オピニオンリーダー


彼らが素晴らしいことは良く分かる

そんな人たちのおかげで、世界が良くなっていくことも分かってる



個人で発信ができる世の中だけに、志の高い人たちの生き方は即時情報となり、
それに感化され能力を高める人や、広がる和はあるだろう。
SDGsもネットのおかげで随分浸透した。

私自身、曲がりなりにも司書だから、割と早くからSDGsについて学んでいた。
破れたパジャマを纏うほどに物持ちがいいし、承認欲求はあれど物欲もないし、
35歳を過ぎてからヘアカラーもやめたし、クーラーだって28度設定だし、
紙の本は図書館で充分だし、去年NISAも始めたし、コロナ禍でお酒もやめた。
結構SDGsを地で行っていると思う。


でもキラキラ輝く立派な人たちを見て、傷つく時がある

その輝きが、眩しくて見ていられないこともある

成功者のロールモデルと自分の現実との距離の遠さに、生き辛さがますます深まる

誰かと比べなきゃ生きられない社会に

息ができなくなる


なんで私はこの人たちみたいに考えられないの

なんで私はこんな風に生きられないの

なんで私は止まったままなの

なぜ私の毎日は充実してないの

なぜ私には仲間がいないの

なぜ家族が増えるほど孤独が増すの

なぜ誰からも愛されないの

なぜ自分の人生にどこまでいっても満足できないの


キラキラしてなきゃダメですか

ドブドブしてちゃダメですか

ドブ色に輝いてちゃダメなんですか


世界は成長し続けなければいけないんでしょうか

日本は斜陽じゃいけないんでしょうか

退化したらいけないんでしょうか

農耕民族に戻って、雨乞いをしてはいけないんでしょうか


太古の昔から、自然の恵みを神々として伝承し、豊かな自然と戯れてきた日本人
その神々から享受した恩恵を忘れ、自然を破壊し続け、行き過ぎた近代化が未知のリスクを招いている

SDGSだのって慌てて自然と共生しようとしても

人間が散々いじめ抜いた自然の神々は、臍を曲げているんじゃないかな

蹴られて踏みつぶされて、粉々に打ち砕かれた後で、手を差し伸べられても
心から信用できなくないか



世界が滅んだら、それは本当に悲しいことなんだろうか



賢くいられなければ、進化がなければ、イノベーションがなければ、
賞賛が伴わなければ、胸を張って生きられない社会は、

豊かだと言えるだろうか。


ドブはドブのまま生きていい
負け組だって堂々と生きていい
努力の方向性を見失ったっていい
未来のために下手くそにもがき、苦しいまま生きてもいい
募集しているコンテスト投稿の文字数を超えていたっていい


私が私を認めてあげられて、抱きしめてあげられる時が来て、
その背中を娘たちに見せられる日が来て、

「お母さん、今ならそんなにダサくない。ううん、なんなら少しイケてるよ」
そう思ってもらえる日が来るように

そんな日が来るまで

私は今日もクソダサい


「勝ち組」からこぼれ落ちても、自分の人生に希望が抱ける、
自分の未来に持続可能性を見いだせる社会


それが私の考えるSDGs


この記事が参加している募集

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?