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わたしと家族(姉) 2022.10.10mon

わたしには姉がいる。
しかも2人いる。
わたしは三姉妹の末っ子として生まれた。

幼い頃、わたしの家はとても貧しくて
電気、ガス、水道が全て止まって
蝋燭や懐中電灯の光で夜を過ごしたり
夜ご飯が具のない味噌汁か、
白米や食パンだけという事もよくあった

着ている服や履いてる靴は、
ほとんどが姉のお下がりで
父や母が知り合いの家族から着なくなった服をもらって来たりして、誰かの何かで生きていた
今思い返すと、姉達も「誰かのお下がり」を着て過ごしていたのかも知れない

わたしは姉2人とは歳が離れていたので
ひとりっ子のようなものだったけど
寂しいと感じたことはあまりなかった

唯一、寂しいと感じた時があるとすれば
保育園に預けられていた時に
友達が両親や父親、母親と手を繋いで帰る中
わたしだけが姉と手を繋いで帰ったり
20時を過ぎても誰も迎えに来なくて
先生に「お母さん遅いね」って言われた時くらいだった

ある時、クラスの子に
「なんでいつもお姉ちゃんと帰ってるの?」
と聞かれたので、
「お父さんとお母さんは、仕事で来れないって言ってた」
と伝えたら
「私のお父さんとお母さんも仕事してるよ」
と言われて、上手く答えられなくて
「Aちゃんちは、なんで兄弟は迎えに来ないの?」
とたずねたら
「私は兄弟いないから…、お姉ちゃんいるの羨ましい」と言われて、わたしとその子は親友になった。

ひとりっ子のAちゃんは
何でも独り占めしてて
新しい服に、新しいおもちゃ
鍵が閉まる一人部屋まで持っていた

三姉妹のわたしは
いつも誰かのお下がりを身に着けて
最新のおもちゃは
お店に並んでるのを見るだけで
一人になれる部屋は
トイレと押入れだけだった

懐中電灯を手に取り
電気を消したまま中に入る
小さな身体をさらに小さくして座り込むと
真っ暗な空間に薄っすら拡がる世界
見慣れたものと
いつもと違って見えるもの
“怖くなったら懐中電灯で明かりを灯す”
これが当時のわたしが1番好きな遊びだった

わたしも、友達も
抱えているものは同じのようだった
“1人で過ごす時の長さ”を理解していた

2人とも、気付いてはいないし
あまり口にも出さなかったけれど
どこかで何かが寂しかったのだと思う

わたしの姉2人は年子で
いつも些細なことで言い争っては
口喧嘩をしていた

言った言ってないから始まり
取った取ってないで揉めて
バカ、そっちが馬鹿
馬鹿って言ったほうがバカ
のような争いがしばらく続く

そして大半は、2番目の姉が負けて
泣いてるところに「どうしたの?」と
わたしが近寄り「うるさい!!」
と言われ、
わたしがおろおろとして泣いたところへ
1番目の姉が来て
「妹に八つ当たりするな!」
と、2番目の姉を叱りつける
この流れで膜は降りる

大人になった今では
初対面の人との会話で
「あなた兄弟は?」
「いますよ、実は三姉妹なんです」
「へー!三姉妹なんて良いねえ、女ばっかりで楽しそう、お父さん寂しいね」

なんてやり取りをよくするけど、
果たして本当にそうだろうか?

父はわたしが幼い頃に家を出ていった
母は父を嫌っていて一人の時間が好きだ
1番目の姉は離婚して今はシングルマザーで
2番目の姉は今でこそ結婚して子供も授かって
幸せそうだから
それは本当によかったと思うけど
わたしはバイセクシャルで、
母と姉には言えたけど父にはまだ言えていない

たまに父に会えば「お前も早く子供産め」
と言われて悶々とした気持ちになる

果たして、わたしや姉や母は
三姉妹で女ばかりで
楽しい人生だったのだろうか
父は寂しい思いをしてるのだろうか

きっと実際にはこう
父はあまり寂しさは感じていない
母は一人で家計を支えて大変だった
三姉妹はそれぞれが自由人すぎて
三姉妹なのにそれぞれひとりっ子タイプ

家族の話をするのは
ずっと苦手だった

ても、最近は少しだけなら
人に話してもいいかなと思っている
あと、わたしは三姉妹の末っ子で
それなりに幸せだったのかもしれない
今日はそんなことを思った朝でした