【シない二人】エピローグ
「いってらっしゃい」
今朝もいつも通り
健次郎に声をかけつつ自身も仕事の準備をする
「今日は忙しいかもなー」
職場で飲むコーヒーをカバンに入れながら
今日のスケジュールを思い返していた
あの日から既に1年が経っていた
レス歴で言うと既に4年目
私たちは仲良く暮らしている
生活する上での問題があれば話し合い
思ってることを我慢することも
曖昧にすることもない
健次郎は相変わらず忙しいままで
この1年見てても
特に性欲が回復しているような様子はない
ちなみにこの話題は
アンタッチャブル案件ではなく
普通に彼と話す
「あのさー本当にEDなんだったら
病院マジで行ったがいいよ」
「ん-…まあね」
「あれって何科?外科じゃないし…泌尿科?」
「知らないけど…でも行きたくはないよね」
「なんで?機能的にも良くないでしょ」
「多分EDじゃないし…」
「何で分かるのよ」
以前のレス地獄の時なら
きっと私はこんなに普通に話せなかっただろうな
きっと責めちゃうし
何で病院行かないのか
理由を明確にしたくて仕方なくなる
それがあの決断から
スッと邪気が抜けたかのように
健次郎に対しての怒りも悲しみもなくなった
触れたいと思わなくなった
ただ問題は健次郎には何も思わなくとも
私の性欲はなくなっていないということ
「私が浮気していも文句言わないでよ?w」
以前の爆発事件時に口にした言葉だが
一応冷静に再度伝えておいた
「え、やだよ」
「いやいや、ヤダって言う権利ないからw」
そんな会話も普通にする
実際は出会いもないし浮気する気はないけど
万が一の時の為に言質を取っておいた笑
変な夫婦
歪な夫婦
世間的に見れば普通じゃないのかな
客観的に聞けば悲しい夫婦なのかな
でも、私は救われた
私たちは
世間的にはおかしいと思われる
この関係性の上で
この先も笑い合って
仲良く
”普通”に暮らしていけるだろう
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