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逃げる、ということ

中学生の頃、小さなスピーカーがついたモノラルのラジオカセットで、夜にラジオを聞くのが好きだった。
そして山際淳司の「逃げろボクサー」を、ラジオ小説で聞いたのを今でも覚えている

それから山際淳司が好きになった。あの人の視点から描かれる愛のあるノンフィクションが好きだったし、小説も良く読んだ。

「逃げろボクサー」の主人公の「逃げる」とは、この求道者の美学だったのだと思う。

「南海トラフ」という言葉を聞いた事があるだろうか。

トラフとは比較的浅い場所で細長く続く海底盆地のことで、オラフとはニンジンの鼻を持つ喋る雪だるまのことである。

「南海トラフ」は、静岡県の御前崎から、九州日向灘まで繋がっている海溝だ。南側のフィリピン海プレートが、北側のユーラシアプレートの下に年間数センチずつ沈み込んでいる。

そしてこの境界にひずみが蓄積され、その力が解放された際起きる地震が南海トラフ大地震である。

過去に発生した南海トラフ地震は、1946年の昭和南海地震(M8)、1854年の安政地震(M8.4)、1707年の宝永地震(M8.6程度)と、結構デカい。

およそ100年から200年周期でM8クラスの巨大地震が起きていて、今すでに昭和南海地震から80年弱経っている。今後南海トラフ大地震が起きる確率は、30年以内で70〜80%と言われている。

しかも、前の記事に書いた富士山の宝永の大噴火は、1707年の宝永地震の49日後に起きている。もちろん地震の影響があったのだろう。

前回の地震から80年、富士山噴火からは300年。そろそろ同時に起きてもなんの不思議もない。
少なくとも確実な事は、南海トラフ地震は近いうちに必ず起こると言う事だ。必ずだ。

南海トラフ地震だけに限らず、自分の人生の中で一度は大地震に遭遇するとした前提で日々を生きたほうが現実的な気かしてたまらないのです。

そして運良く来る前にこの世を去れたとしても、自分の子供の世代には可能性がますます高くなる。

どんな地震がきても生き残る術(すべ)を、子供にも教えなきゃならない。

もちろん子供の長い人生の中で、身に降りかかる災いは大地震だけじゃない。他の様々な天災、もしくは交通事故、変質者、誘拐、無差別の通り魔にだって会うかもしれないし、学校での陰湿なイジメ、社会人になったらブラック企業で追い込まれるまで働かされるかもしれない。

そんな中でも致命的にならず、なんとか生き残る術(すべ)を。

逃げること。離れること。

何かを恐れながら生活することじゃなく、自分の身を守るという事は、自分を大切にするということだ。

自分を大切にできれば、他人も大切にできる。

防災とは、
自分は「かけがえのない存在」だと認めること、から始まるのかもしれない。

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