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深夜特急3 インド・ネパール編


沢木耕太郎さんの著書
『深夜特急3 インド・ネパール』を
読ませて頂きました。

今回、シリーズ3作目ということでユーラシア大陸をヨーロッパまで横断しているこのシリーズは、ちょうど半分行ったと思われます。

中国、シンガポールと行き、今回は大陸の約半分目に位置する場所、インドだからです。

今回のシリーズは、個人的な感想ですが、めちゃくちゃ面白かったです。

それは非現実的と感じさせられる内容で、ファンタジー性が溢れていたからです。

インドでは、
インドの公園に行くとピーナッツを地面に1つ投げます。すると、穴という穴からネズミが大量に出てきて、しばらくするとまた穴に一目散へ戻ります。またピーナッツを投げると、またネズミが大量に地面の穴から飛び出して来ます。これは、ネズミがピーナッツを食べたくて出てきた訳ではなくて、ピーナッツに反応した一部のネズミが穴で他のネズミを押し出す事によって、他の大量のネズミが嫌嫌で魑魅魍魎に弾き出された結果、出てきているそうです。作者は、これが面白くこれで時間をかなり費やしていました。

街なかでは、い草売りの商人と商品を食べたい牛が闘っていました。空きをみて牛は草を食べようとします。しかし、食べられたくない商人は牛から草を守ります。強い牛はたくさん食べて丸々太り、弱い牛は食べれずにガリガリで商人に棒でやられます。牛はインドでは聖なる動物なので雑に扱えない商人は悔しそうにしていました。牛の社会にも強い弱いがあって生きるのに大変そうでした。

また、牛乳売りの商人が歩いていると、人力車!?みたいな恰幅の良い男が邪魔だと体当たりする場面に出くわします。そこでは、牛乳が溢れ、弁償しないといけないはずの男は、非を認めず怒鳴り散らかして先を行きました。(ここインドではカースト制で成り立つので、目上の人は目下の人に謝る事はせず、目下の人は目上の人へ物をもらっても感謝を伝える事はしません。)そして、地面に溢れた牛乳を懸命に野良犬が舐めようとします。そして、車に引かれそうになって引きます。それの繰り返しで牛乳は地面に染み込み、牛乳を舐められない犬は悲しそうにしました。

迷いの果てについた川では、鳥が浮遊した物を啄み、恍惚とした表情で牛が煙の方へ匂いを嗅いでいました。その方向へ向かうと死体を焼く場所へ辿り着きました。インドでは不慮の事故、車に引かれる・殺害される・疫病は、天寿を全うできなかったとして、川に石を紐でくくりつけ、沈めるそうです。その紐が腐ってちぎれ、浮いてきた腐った肉を餌として鳥は啄み、天寿を全うして焼かれた死体の匂いを牛が恍惚としている。それが見たことない景色でつい作者は一日中みてしまったそうです。

街を一歩でも歩けば、出会った事ない人、出来事にぶつかりとても退屈しなかったそうです。その一言一句、僕は固唾を飲んで咀嚼しながら読み返しました。

列車に乗ってる途中、ブッダガヤへ行くと良いと言われます。ブッタガヤとは、日本人に馴染みの仏教を開いたブッダとガヤという村を合わせてブッダガヤと呼んでいました。

ブッダが悟りを開いたブッダガヤでは皮肉にも疫病が流行り、お腹を空かせた子どもがたくさんいました。盲目の芸人がガヤの木の下で太鼓を叩き、子ども達はそれを耳で覚えます。そこには日本の寺もあります。行事に参加する代わりに、無料で寝泊まりができご飯を食べる事ができるそうです。


ネパールでは、
ネパールはインドよりも更に値段が低く、チャイという紅茶は1杯10円くらいでした。
インドでお金がなくなった旅人はネパールで一度英気を養っていました。

ブリーズイズナイス、そよ風が気持ち良い。
列車を降りた外人の簡単な言葉に胸が踊りました。
普段家や仕事場にいると単調になり感度が下がります。このように旅先のように常に新鮮な気持ちでいたら、感じ方受け取り方が僕たちも180度変わるのかもしれません。

ネパールのとある村には、「秘密の楽園」と言われている場所があるそうです。それは、昔、ある貧しい村の強い男達を見つけては薬を飲ませ、村に連れて行き女と楽しませ、村に返す。という事を繰り返し、村に行くためにはテロをしろとしむけたそうです。薬と女と飯を普段の村では味わえない為、強い男たちはテロを繰り返し、そこの村に連れて行ってもらおうとしたそうです。
宿では、旅で疲れた旅人はそういうことが関係していたのか、何人も死んでいったそうです。
作者は楽園であると同時に、このまま死んでも大丈夫と思い始めてる自分に危機感を覚え、再びインドへ戻りました。

ここで作者の気づきとして、人間にとって一番大切な事は、体力をつける事だと悟りました。体力が弱ると気持ち的にも参り、全てがどうでもよくなり、やる気も出ません。

また、最後の方には、ブッダガヤで出会った学者の此経さんとの対談で、美味しいご飯についての描写がありました。
そこには、人のオススメはアテにならないとのこと。ご飯は基本、お腹が空いていたら、全て美味しい。不味いものは存在しないとの事。
だから、人からのオススメや押し売りほど迷惑な事はないと。
日本でも感じるが、少ない知識で全てを知っている訳ではないし、好みは人それぞれなのに、決めつけでこれが良い、これにしなさいはおかしい。

もっと人は謙虚に、教えて下さい。無知です。が正しい。同じ場所でも時代や感じ方では、キレイだったインドの場所も疲れたからそう見え、元気な今行くと汚いと感じる。

全てが変化して、絶対的な物はないとのこと。なんか悟ってるなーと思いました。

今回、全てがビックリでいつか死ぬまでにインドへ行きたいと思ってしまいました。

やはり、強烈だと思います。怖いものみたさというか。。。

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