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実際東京から美濃に移住してみて…

2021年10月に美濃に来てからあっという間に1年とちょっと。
日々の暮らしの中で何を感じて、シェアオフィスのコミュニティマネージャーとして何をしているのか、赤裸々に綴っていきたいと思います。

コミュニティの数の少なさ
東京の暮らしと美濃の暮らし、もちろん相違点は様々あるのだけど、如実に感じた違いは、コミュニティの数の少なさ(私がここでいう「コミュニティ」とは「共通の想いや目的、接点をもつ複数人の集まり」という意味で使っています)。人口が少ないがゆえ関わる人が限られていて、見守られているような安心感はありつつも窮屈さや閉塞感のようなものを感じる場面が何度かありました。

美濃の家

例えば東京にいた頃は、①会社、②大学の友人、③留学時代の友人、④ボランティアとして手伝っている団体の集まり、⑤地方好き・旅好きの集まり、⑥イベント参加から発展した繋がり、⑦友人から派生した飲み仲間、⑧高校の友人…などなど複数のコミュニティに籍を置き、自由気ままにイベント・活動に参加したり集まったりしていた+そのコミュニティの各メンバーはほぼ1人も重なっていませんでした。自分がちょっと動けば新たな出会い・刺激・仲間がそこら中に転がっていたのです。 

留学時代の友人@蒲田の家

一方、美濃に来ると、仕事で関わっている人と土日のイベントで会う人と、一緒に飲み会をする人と、がけっこう重なっています。コミュニティの数が圧倒的に少ない。少ない分、職場の人でも家族構成や家の位置まで把握しています笑。これはどっちが良い悪いという話でなく、実際そうだよ、という話なんですが、「コミュニティの数が少ない+日々の暮らしの中で関わるメンバーが大体同じ」ことから、違う風や情報を求めて新しい人に会いたくなることもありました。 
幸い私はまちごとシェアオフィスWASITAのコミュマネをしていることから、美濃やWASITAを訪れる面白いひとたちとの新しい出会いに救われています。
そして地域内の人は特に、それぞれのコミュニティーのメンバーが重なっている+すぐに知人経由でいい噂も悪い噂も広まってしまうが故になんとなく動きづらさを感じることもあるようでした。(ただし、コミュニティの数が少ないことは悪い面ばかりではなく、それぞれの関係が強固なのでいざという時に支え合えたり、普段から気軽かつ頻繁にコミュニケーションをとったり、お互いのことを深く知れたりともちろんいい面もあります。)

岐阜住学というプログラムで美濃に滞在していた大学生たち@美濃の家


シェアオフィスのコミュマネとして感じたこと

「コミュニティマネージャー」という職種に惹かれて美濃に来たものの、まずそもそもWASITAにコミュニティがない。。シェアオフィス利用者も少ない(というか当初はほぼおらず)。。
個人会員さんは20名近く、サテライトオフィスにも4社入居していたものの応援会員さんのような方が多く、実際にオフィスを利用される方は少なかった。。営業して人を集めるべきでは…と感じたものの、実際どういう企業にどう提案にいったら刺さるのかがあまりイメージできず。。

まちごとシェアオフィスWASITA MINO外観


日々のチャレンジや試行錯誤
まずは自分に出来ることからやってみよう、ということで近所のおばあちゃんたちに声をかけWASITAの会議室を使ったお茶会をやってみたり、カメラが得意な会員さんに依頼してプロフィール写真を撮ろうイベントをやってみたり、ヨガの先生を呼んで定期的に芝生deヨガをやったり、マルシェに合わせて1日限定図書館を開いてみたり、会員以外の方も巻き込んだ芝生deビアガーデンを何度か開催したり。。
裏にある地元の事業者(酒造場)さんと連携したワーケーションコンテンツ造りということで酒米づくりから始める日本酒体験プログラムをやってみたり。。
現地視察・オンラインWSを通して大学生たちがローカルビジネス創出に挑戦するローカルビジネスカレッジや、入居企業様とタイアップしたオンライン配信イベントもWASITA主催で行われました。

芝生deヨガ@WASITA
1日限定図書館&マルシェイベント@WASITA
日本酒飲み比べ@WASITA

試行錯誤する中で見えてきたこと
実際1年経って、シェアオフィス周辺の美濃・関地方にはそもそもリモートワーク出来る企業・人が少ない(美濃市内の6割は製造業)こと、更にフルリモートOKな人は既に自宅を整えてしまっているケースが多いことが見えてきました。岐阜に住んでる人は、東京と違って一軒家の大きい家が多いので、仕事専用部屋を用意することもそんなに難しくない模様。

そんな中、実際利用が多かったのが関東圏や東海圏から来た一時利用者でした。美濃の移住者を訪ねてくる人、メディアで見て気になったからと来た人、ワーケーション中の人、2拠点生活をしている人、また出身が美濃や近郊地域で帰省次いでに1週間、1カ月と利用してくださる方が何名もいらっしゃっいました。

いわゆる関係人口をもっと増やしていこう
近隣にリモートできる人が少ないのであれば、リモートワーカーの多い愛知県や東京在住の方にアプローチして、毎日でなくとも年に数回WASITA MINOを使ってもらえればいいのでは。
そんな想いで、美濃の地域資源である「清酒」と「清流」に焦点を当てたワーケーションコンテンツを造成しようとしていた時、ちょうどJR東海さんからお話があり、関係人口創出の実証実験を行うことに。
具体的には、JR東海MARKETというECサイト上で、様々なこだわりを持った「人」にフォーカスした体験コンテンツを販売。
ECサイトでモノを買うような気軽な感覚で、体験をぽちっとしてもらい、美濃のディープな案内人と共に体験を楽しんでもらおうという企画で、結果11名の案内人の方々にご協力頂き13の体験コンテンツを売り出しました。

JR東海MARKET「であいたび、美濃」
https://market.jr-central.co.jp/shop/c/cmino/

JR東海MARKETのページ

各コンテンツを販売するにあたり、地域内の方々と繋がりを持てたのは良かったですし、個性的な案内人の方々をサイト上で紹介できたのも、少し違った角度から地域の魅力を伝えられたのでは、と思います。

ただ、体験だけだと人は継続して来ないということも学びました。美濃を知ってもらうきっかけにはなったかもしれませんが、観光のようにサービスの提供側・受容側と分かれてしまっているとなかなか強固な関係性を築きにくく、一期一会になりがち。個性的な案内人と繋がってファンになってもらい再訪というシナリオでしたが、数時間の体験だけで濃い関係性を築くのはハードルが高いようでした。


地域に愛着をもってもらえる継続的な関係性を築くには、あらゆる垣根を超えて、関わる人の「役割」と「居場所」をつくる必要がある

継続的かつ強固な関係性を築くには、サービスの供給側・受容側、地域の中の人・外の人、世代など色んな垣根を越えて、参加者自身が輝けるような/楽しんで取り組めるような「役割」と「居場所」をつくることが大事なんだと気づかされました。(デジタル庁村上さんの言葉を借りると、「出番と居場所がなければ人は集まらない。」)

ハードがいくら素晴らしくても、魅力的なソフトコンテンツ・コミュニティがないと持続可能性は低い
WASITAは、
・築約150年の古民家長屋をリノベーションしてつくられた空間にこだわったシェアオフィスであったこと
・「まちごとシェアオフィス」というコンセプトやまちごとワークタンブラーという仕組みが全国的にも新しかったこと
・3年前に開業した「NIPPONIA美濃商家町」という古民家ホテルから始まったまちづくりの一連のストーリーがあったこと
が寄与して、この1年間はひっきりなしにメディアの取材依頼がありました。
地域情報誌の表紙に載せてもらったり、地方創生にまつわる全国紙(Discover Japan)に8ページも掲載頂いたり、色んな活動を地方新聞で紹介頂いたり。メディア掲載により認知度はアップしたし、流入口も広がりましたが、それだけではなかなかオフィスの新規入居に繋がりませんでした。(とはいえ、現状6部屋中5部屋は埋まっています)
相手企業にどんな価値を提供できるのか、そこがまだ弱いんだと思い知らされました。
いい箱(ハード)があるだけでは人が来ない、いかに魅力的なソフトをつくり発信していくかが肝なんだ。。

1年半試行錯誤した中での学びを踏まえて、WASITAのコミュニティマネージャーとして目指したいコミュニティの姿を言語化してみたので、次の記事も読んで頂けるととっても嬉しいです↓

https://note.com/wasita_mino/n/na481b7f8a438






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