10代でPK shampooに出会わなくてよかった

タイトルの通りである。10代でPK shampooに出会っていたら、私は初音ミクみたいな髪色にして上下違うスポーツブランドのジャージでほっつき歩いていたかもしれないし、学校の机に彫刻刀で「ヤマトパンクス」とか彫っていたかもしれない(今の10代はたぶんそんなことしない)。属性としては陰キャなのでありえないと思いつつそういうのもなくはない。
いずれにせよ、10代でPK shampooに出会わなくてよかった。後から見たら暗黒史みたいになるところだった。

PK shampooというバンドがいる。いわゆる「邦ロック」みたいな音楽は聴き尽くして、好きなバンドの新譜で熱くなる季節は過ぎたかも、と思っていたタイミングでこのバンドに出会った。初めて聴いたのは『星』という曲だったと思う。

正直最初は「あーこういうの、あんまり好きじゃないな」と思ったのだが、思い返すと今まで好きになったものもファーストインプレッションで良い!と思ったことってあんまりない気がする。それから何ヶ月後かに『神崎川』という曲を聴いた。

氷結の缶のアップから始まるMVもなかなかないと思う。「深夜のカラオケから漏れ聞こえてきてほしい曲」第1位である。『神田川』と並んでも遜色がないレベルの、もはや日本のロックシーンに燦然と輝く金字塔なんじゃないかと錯覚してしまう。とにかく名曲だと思った。こんないい曲を書くバンドがいるのかと驚いたしとてもドキドキした。

それからというもの、PK shampooの音楽を聴くことは私の日常になった。自分の性格上、あまり一つの音楽を何度も聴くというタイプではないはずなのにPKの曲はリピートしてしまう。歌詞カードを見なくてもすんなり入ってくる言葉のセンス、泣き叫ぶギター、ボーカルであるヤマトパンクスのほぼがなってるみたいな歌声、とにかくすべてがいい。出す曲出す曲名曲しかないのでたぶん天才なんだと思う。

とりあえず、響かない人には何一つ響かないかもしれないが必要とする人にはものすごくグッとくる音楽だと思う。ヤマトパンクスに音楽への執着や野心みたいなものが一切ないのと酒飲みすぎて早死にしないかどうかだけが心配だ。10代でPKに出会ってしまった人たち、そのせいで変な大人になったとしてもその素敵な感性は大事にしてください。

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