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杜賀 季
2023年5月3日 00:46
嗚呼、いつくしや厳島二度目の逢瀬は 杪冬に 枯れた紅葉 憐憫の情紺の海に千の真珠が落ち 斜陽が皆を照らしだす熟れた柿の実 目尻の皺 揺蕩う乳房 牡蠣の如し嗚呼、美しや厳島いと艶やかな その肌に 醜い愛撫 果たしては含羞恥辱の狂宴か 我らは正に白痴なり我の心ここに在らず 嗚呼、悲しきかな厳島あの子の恋慕は何処へやら離れる度に醒めゆくわ寒風沁みる首元に 卑し
2023年2月10日 01:30
我愚者、偶然の上に生きる囂々たる霹靂が胸中へと落ちる浮世の渦の中に暫時私はいたはずである無意識に下唇を噛んだ 涙を堪える為ではなかった 束の間の断罪 線香を六本祖母の葬儀へ参列の為に東京を旅立つ厳寒の地にあった祖母の肌は新雪のようだ髪でさえ龍の髭のよう流麗でうら寂しいかず子さん心配なさらないで 日本の貴婦人はついさっきまで彼女の闘争の中にいたのよ 貴方の
2022年11月15日 22:24
どうか忘れてくれるな 貴方はいま ただ寂しい大きな孤独に包まれて 木枯らし通る秋の道どうか忘れてくれるな 貴方は人が恐ろしい優しさにさえ懐疑して 鬼面の影を友にみるどうか忘れてくれるな 貴方は誰より優しい自分の悲しさ顧みず 凍える人を温めるどうか忘れてくれるな 貴方は静かに強かだ慟哭にいつも人気はなく 雨垂れの様に綺麗に滴るどうか忘れてくれるな 貴方は気弱で美しい