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構造変化の始まり⁉ 混乱から見えるもの…

要約

令和6年8月5日、株式市場に混乱が見られた背景に、新冷戦の幕開けとも言える空気感がビジネスに影響を及ぼしていると考えられます。
この空気感は1990年代の冷戦終結後と似ており、当時PCが普及したようにITとAIの活用が急速に進むと予想されます。
特に医療分野で初期診断や遠隔治療などが進化し、健康維持関連のサービスや観光に関連する新サービスも増加する気配がしています。
一方でセキュリティ分野の新たな脅威が増加する中で、デジタルコンテンツの需要も高まると考えられます。

以下、詳しく解像度を上げていきたいと思います。

市場混乱を別の視点から考察

令和6年8月5日、日経平均をはじめ、米国市場も混乱が見られました。
まぁ詳しい分析は専門家に任せるとして、ちょっと感じたことをまとめておきます。

世界の株価より

動きの背景には、新冷戦の幕開けとも言える東西分断がビジネスレベルに影響を及ぼしている兆候の一つと考えています。地政学的な緊張や貿易政策の不確実性が企業の投資や経済活動に影響を与えていることも関係していると思われます。(2022年から言われていましたが…
また今回は全体の動きから目立ったものとして、先端技術グローバル企業の株式が売られていることがあります。背景にはグローバルな変化による収益の一時的な減少を見越した売りが集中している可能性が考えられ、米中間の技術競争や貿易制限が、半導体やAI関連企業に対する投資リスクを高めていることも原因かもしれません。

また日本製鉄が中国からの事実上の撤退を決め、実質的には西側陣営につくメッセージを発したことや、リベラル思想を極めたオリンピック開会式が終わったこのタイミングでこういうことが起こっているということは、今までは比較的リベラルに向かったほうが企業収益が上向くと考えられていたことの反転期に入ったと考えて良さそうです。

反転後の世界のITへの影響を予想

1990年代との比較してみる

この大きな変化は冷戦終結の1989年ベルリンの壁崩壊と1991年ソビエト連邦解体の頃と似ていると感じます。
当時はPCが普及し始めたころで、冷戦集結後初、イスラエルに東西のIT系エンジニアが集まったことは画期的な出来事でした。この時に現在のグラフィック処理コンピューティングにつながる礎が作られた現場を経験したことは今では良い思い出です。

2025年から始まるであろう新冷戦による変化は、1990年代と比較しても、インターネットの普及によって、思っているよりも早く一般社会生活まで影響を与えると考えています。(その一つが今回の出来事だと)
そして1990年代にもアンチPCの傾向はありました。現代のアンチAIの傾向と似ていますが、相似点と相違点を少しまとめてみます。

相似点

どちらの時代にも新技術に対する不安や懸念が存在しました。
1990年代にはPCが仕事を奪うのではないかという懸念があり、現代では、AIが多くの職業を自動化し、人間の仕事を奪うのではないかという懸念が存在します。
倫理的な問題も共通しています。PC普及時には、プライバシーやデータセキュリティの問題が取り沙汰されました。AIに関してもデータのプライバシーや倫理的な使用についての議論が続いています。

相違点

もっとも違うのは技術の進化速度です。
1990年代のPC進化はハード設計が主体だったため、比較的ゆっくりとしたものでした。しかし現代のAI技術進化の速度は当時の何百倍、何千倍と言っても過言ではありません。AI技術は2024年初頭からわずか半年間で非常に大きな進歩を遂げています。
またPCは主にオフィスや家庭での使用に限られていましたが、AIは医療、教育、交通など多岐にわたる分野でも活用されはじめており、当時と比較してもこの分野への用途は非常に大きな相違点です。
そして1990年代にはPCに対する明確な規制やガイドラインが少なかったのに対し、現代のAIには多くの国際的な規制やガイドラインが存在します。
つまり、混乱はかなり早く収束すると考えられます。

比較を踏まえて分断後のIT・AI活用の予想

おそらく数年単位ではなく、1年内に一気に動く予感がしています。2025年はそういう意味では激動の年になりそうです。

医療分野は隣接業界も含めて新サービスがいろいろ考えられそう

AI技術は一つの単独プロダクツではなく、IT技術を拡張する基礎技術と捉えたほうがしっくりきます。
その前提で考えると、日常生活の多くの面で変化をもたらします。おそらく最も早く応用導入されるのは医療分野で、AIによる初期診断や家庭に居ながらにしての診断、また治療の精度が向上することも考えられます。
これにより過疎地での健康管理や遠隔治療などが効果的になることが考えられます。
この動きは分断とは関係なく予想できることですが、分断により現在主に規制のゆるい国で作られている原薬の開発は遅れる可能性供給の安定性が低下し、価格の変動が激しくなる可能性があります。
そのため保険制度との兼ね合いからも、日常健康維持は今よりも重要になる可能性があり、AIを活用したサービスは今以上に増加すると考えられます。
Apple Watchなどのウェアラブル端末普及からも、参入しやすく使う理由がはっきりすればスケールしやすいモデルだと考えられます。

健康維持関連の業種には観光業界も含まれると思う

上記に伴う健康食品、飲食サービスに加え、生涯学習などの生きがい創出サービスは、観光サービス業、コンテンツ業などとコラボして新たなプレイヤーが登場する可能性が考えられます。
域内ツアーなどは活性化しそうな予感ですが、AIアシスタントなどを使ったデジタルコンテンツ系ガイドのサービス・アプリが多く出現しそうです。
しかし従来と同じ感覚でマーケティングを行うと、新しいプレーヤーにユーザーを取られてしまうことが予想されるため、観光業界のマーケティングにおいてもAI活用がますます活性化すると考えられそうです。
ただ観光業界はすごくマーケティングが苦手な気がします。(中間業種がマネタイズしやすいモデルではないので)

セキュリティ系はわりと大変なことになりそう

兆候は見えつつありますが、分断後は異なる技術標準やインフラが発展する可能性があります。特に悪意のある攻撃ツールやクラッキングツール、ダークウェブによるデジタルデータの取引が活発になることが予想でき、それにともなってセキュリティ分野は大きな変化がありそうです。
クラッカーたちは現在でもAIを活用しているため、防御側も使っていかなければ対策できません。そうした背景から、新しいセキュリティサービスが生まれる可能性が十分考えられます。
また一般生活者においても、セキュリティ意識を高めなければ生きづらくなる可能性があります。

デジタルコンテンツがさらに主流になる

デジタルコンテンツはインターネットを通じて世界中に配信できるため、地理的な制約を受けず、企業はより広範な市場にリーチすることが可能です。
ダークウェブでのデータマーケットがそれを裏付けており、物理的な製品と比べても制作と配信のコストが低く、在庫管理の必要もないメリットがあります。
デジタルコンテンツは物理的な製品と比べても、容易に更新や修正が可能で、ユーザーのフィードバックに迅速に対応できるため、臨機応変でコンテンツを提供できます。
特に教育、エンターテインメント、マーケティングビジネスツールなどの分野でその需要が増加すると考えられます。
コンテンツ表現方法はアニメ・ゲーム・漫画といったサブカルが中心になると考えられるため、独自IPの開発と育成を早めに始めたところが優位に立つと考えられます。
とどのつまり、時間価値が向上し、タイムマネーと呼ぶにふさわしい方向へ変化していると考えるのが妥当です。

これらは一部でかつ一方面からの見え方に過ぎません。
もっと多方面からの見え方も含めて、どう対応していくかが問われる時代になってきたと感じます。(大変だぁ)


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