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古い町並みを再現するだけでは、観光資源にならない理由

イベントのときくらいは賑わいがあっても、普段は人通りが少ない景観を整えた観光地のお話です。

文化体験とはなにか?

残念なことに、「文化」についてきちんと定義されずに、アトラクションを考える傾向にあります。
その前にマーケティングという話になるのですが、それを語っている本でも「文化」については再定義されていないケースが殆どで、そこがたまたま成功しているケース、うまくマッチしたケース、ハマらなかったケースに分かれているのかなと感じます。

文化を定義する

正解がどうとかではなく、こう捉えるとわかりやすい図を作ってみました。

「文化」を定義する図

以前に「その土地らしさ」を説明するときにも使った図をもう少し整理したものです。
内面とはその土地で営みを続けている「人」に関すること。
外面は第三者からでもわかる「人の行動」とそれを元に改良されてきた土地の姿を現しています。

文化財と文化が一部交差している部分は「無形文化財」と呼ばれるもの。
こうして図を見たときに、「外観整備」というのは本来その土地で営みを続ける人の「行動」が伴って、はじめて成立することがわかります。

ただし、「文化」とは人の内面に作用しているものですが、所作や室礼、祭礼などの方法を記した書画・文書などは第三者が目にすることができることから、そうした物は「文化財」の領域に入ります。

文化体験で寺院が人気な理由

図の一番下、「深層」部分は普段の営みでは意識しません。
たとえば、家に上がるときに靴を脱ぐことや、箸を使ってご飯を食べることなど、意識的に行ってはいません。

インバウンドの方などはこうした部分では自分たちの営みと「差異」が大きいため、興味が湧く部分ではあるのですが、「なぜ?」と問われると日本人の殆どはうまく答えられないでしょう。

なぜうまく答えられないのかといえば、「深層意識」だからです。
寺院ではこの「深層意識を意識する」体験を提供してくれています。
そのためインバウンドのみならず、日本人でも人気が出る体験(普段と違う経験値を得られる)だと考えると都合が良いでしょう。

外観だけ力を入れてもだめな理由

図を見て、ここまでの事例から何となく分かると思います。
つまり、自分たちとの「差異」を感じられなければ「魅力」が薄いということで、その差異が深層意識から行動に移ったことによって現れる、人の行動と設備(祠や神棚などはわかりやすい)が見えなければいけません。

ものすごく極端な例になりますが、民俗学視点で旅をする人なら、そうした細かな差異をはっきり見つけられるので、そうした人にインフルエンサーになってもらうのがこれからのプロモーションに必要です。


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