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閑話休題:最近の世界の動きとメタバース界隈の動きをみて思ったこと。

WSJやBloombergをウォッチしていると、ヤフーニュースなどに載らないサプライチェーンの動きや半導体業界の動き、今世界で何が起こっているのかをつぶさに観察できます。

少し前から半導体系サプライヤーなどが中国での生産から手を引いているような記事が出ていましたが、10月に入って大きな動きが目立ち始めました。

経済評論家の渡邉哲也氏のツイートに、この先の中国を予見するものがチラホラ。このことはAI開発にもBlockchain開発にも数年先を見たら大きな影響が出て来ることが考えられます。

広告デザイナーの終わりの始まり

こうした中国とのデカップリングが進む中、MicrosoftがAdobe潰しになりそうなサービスを発表しました。
安価な中国にオフシェアすればいいや…は通用しなくなりますので、AIサービスは注目です。

AIイラスト作成が昨今話題になってきた中でのテキストからの画像生成、ウェブデザイン、チラシのデザインをAIで作ってしまうもの。
Office365のいち機能として提供されるそうなので、小規模な案件は最速無くなりそうです。

この他にもテキストから写真を作るAIサービスも始まり、すでにスマホのカメラ機能向上によってカメラマンのしごと領域はかなり狭まった中で、こうした生成機能は別のスキルを要求されるかのよう。

第3次AIブーム(2015年頃)のとき、「どのような仕事がAIに仕事が奪われるのか」議論が白熱しました。
そのときにウェブデザイナーは無くなるかもね…と言われていたのですが、2022年、ついに終わりの始まりがやってきました。
まさかの広告デザインまで範疇に巻き込みながら…。

【10.15:追記】
直接的な仕事が少なくなるのはもちろんですが、小規模な案件をこなしていた副業的デザイナーさんのAdobeサブスクリプションが解約され、サブスクリプション料金の値上げ改定に繋がる可能性も考えられます。
その結果、小さな案件で回していた小規模なデザイン会社は、キャッシュフローを絞ることを考えなければならなくなる可能性もあり、デザイナーのパートタイム化や転業なども出てくるかもしれません。
さらにスクールでの授業案件が減ることも考えられるので、そこで発生していたAdobeのサブスクライセンス収入が減りだしたら…
と考えると、Adobeはウェブマーケティング方面と動画編集の方向にますます力を入れるんじゃないでしょうか。
それはそれでぜんぜん違うスキルが必要になるので、新しいことを覚えるのが辛い年代には厳しい世の中になりそうです。
いずれにしても、変革期に突入していることは間違いありません。

メタバースに注目が集まるものの…

最近はメタバース(VR空間)に注目が集まっていますが、大きく分類すると「ビジネス用途」と「エンターテイメント用途」に分けられます。
ビジネス用途はMicrosoftが進めているMR。エンターテイメント用途はVRChatやVket、Clusterなどが進めているVR SNS。
この両者、まったく性質が異なるため関連機器類も似て非なるものとなっています。
そしてMeta社のHorizonWorldに暗雲が立ち込めている中、衝撃のニュースがこちら。

オフィスワーク用途としてHorizonWorldを活用しようという動きが出てきました。
先のMicrosoft Designerと相まって、Microsoftの動きが活発になってきたような気がします。
(このままMicrosoftにMetaが買収されるのではないか疑惑)

とはいえ、やはり重たいヘッドマウントディスプレイを使わなくてはいけなかったり、メガネオンでは使いにくかったりしますので、このスタイルでのビジネス利用はもう少し時間がかかるような気もします。
それでもヘッドマウントディスプレイでの作業も視野に入れたシステム開発が必要になってくるなど、主にUI/UXデザイン部分で生き残りをかけた開発合戦が見えてくる気がしてなりません。

3DソフトBlender使いの人口はまだまだ少ない

Blender by the Numbers – 2020より

近年爆発的に増加したBlenderサイトへのアクセス。
アプリをダウンロードしている人はかなり多いと思われるものの、アプリを使って実際にモデリングができる人の数は日本ではおそらく6〜7万人程度ではないかと思われます。
この数の根拠は2018年のVRoid Studioダウンロード申込みが約45,000人。そこにBlenderサイトのトラフィック数3.2Mビジター人/年(日本)を4年分加算してゴニョゴニョ…(ノ゚д゚(; ̄Д ̄)した数字です。
実際はもっと少ないかもしれません。

MicrosoftのOffice製品のように、使い方を学んだら即モデリングができるようになるわけではありませんし、アプリの使い方に加えて造形力や照明工学そして画力(塗り)、デッサン力(観察力)が必要になるため、挫折する人も多いのが現状です。

この先メタバースが流行ってきたからと3Dモデルが作れる人を探すのは至難の業になると考えられます。
少なくとも下図の「今世紀生まれ」前後の年代層がBlenderアクティブユーザーのコアだと思いますので、そもそも全体数が少ない上に特殊技能になるため、希少な高額スキルの持ち主であると認識したほうが良いでしょう。

ツタグラより

しかし世界はデジタル3Dへ

Meta×Microsoftが実現してしまったため、オフィスワークにMRヘッドセットが導入される可能性が高くなってきました。
10年くらいかけてジワジワと導入されるのでしょうが、OfficeシリーズのメニューなどUIが3D対応になっていくと思われます。
そして普及状態と売れ行きを見て、いつもどおりAppleもあとから参入する可能性も大いに考えられます。
下の映像は3DUIの開発について説明しています。早送りなどで見てもらうと今までのウェブデザインとは全く違うアプローチだと気が付きます。

こうなってくると、ウェブでカタログ的に使われている写真での製品訴求では物足りなくなるというか、作れる企業から3Dモデルデータを閲覧できるように準備してくることが考えられます。

平面のイメージ写真より、バーチャルとはいえ大きさや質感などを「体感」できるMRは、マーケティングでの売上に大きな影響を与えることが考えられます。
そうなったときに、我社の製品も3Dで…と話は簡単ではありません。
Blenderエンジニアが不足している上に、PCの処理能力から高精細な3DCGデータでは、現状のMRデバイスで再生できない可能性が高いと思われます。

この解決にはハードの改良などを踏まえると、あとさらに10年ほどかかると思われます。そのため、現時点ではいかに軽量な3Dデータを作成できるかのスキルが必要になり、これはアプリの使い方ではないノウハウの部分。

メタバースにアンテナを張っている企業の採用担当者さん、このことをしっかり頭に入れておかないと、3D作れる人なんてすぐに見つかるよ…と高をくくっていては大変なことになります。
(実際に制作してわかる難しさから言えること…)

CGの専門学校でも、3DCGだけを学んでいるわけではなく、動画編集上のエフェクトやモーショングラフィックといった映像を学んでいるケースが多いと学生から直接聞きましたので、余計に3Dモデリングとなると…
(あとUnityも扱えないと駄目ですしね)

メタバースワールドとYouTube

エンターテイメント系のメタバースは、YouTube動画の撮影ロケとして使われることで、プロモーションが成立するようになると思っています。
エンゲツさんが作成した「ENGETSU IN VRCHAT」はすべてVRChatのワールドで撮影された素材でできており、荒削りながらワールドで仲間と集う楽しさが演出されています。

ちなみに何がすごいのかってことを説明しておくと…
まず全編フルCGです。メタバースなので当たり前ですが、10年前(2012年頃)に同じことをしようと思ったら、まずこれだけたくさんのアバターを一度に動かすことはできませんから、一人ずつアニメート撮影をして合成する手間がかかります。
背景も同様で、アバターと同時に動かすことなどできませんから、カメラワークを記憶させてアバターと別撮影をし、あとからアフターエフェクトなどで合成処理をします。
その後にレンダリングをするのですが、その時間たるや数日単位になる場合もあり、手間と暇がかかってしまいます。
そもそもアバターに動きをつける作業だけでも大変で、モーショントラッカーなど数百万円の投資をしないと使えませんでした。

それから10年経った現在では…
モーショントラッカーはヘッドマウントディスプレイに組み込まれており、大掛かりな装置はいりません。
ワールドは誰かが作ってくれていて、そこに集まって一度に撮影するだけで終わります。もちろんNGもあるでしょうが、その行為自体がエンターテイメントであり体験でもありますから、「楽しい」わけです。
本格的な専用機材を持っていなくても、普段遊んでいる機材だけでこのような映像が作れてしまい、YouTubeというメディアを使って公開することができてしまう環境が揃ってしまったこと。
かなりいろいろなことが考えられるではないでしょうか?

可能性のひとつに「2021 テレビどまつり」(よさこい)でエンゲツさんが参戦しているのを見ると、住んでいる物理的な場所は関係なく、ひとつの映像作品を作れる可能性が見て取れます。
またロケをしたワールドに実際に訪れることができるのも大きな強みです。

この可能性を利用した詳細な理論は、長いですが下記リンクを一読してもらうと幸せになれるかも…

またすでにVRChat内で撮影された映画もあります。

ガッツリプロが作ったPROMOTIONはこちら

Virtual Marketのプロモーションです。リアルトの接点以外はすべてバーチャル世界で撮影されています。(歌詞もよくできています)

ことほむ 合同会社もこうした手法を使って、この先プロモーションを組み立てていこうかなと考えています。
チョット前までなんだかメタバースが違う方向で期待されていたことを考えると、少し軌道修正されてきたのかなぁと感じる今日このごろです。


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