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お茶のコトマガジン

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石川県白山市(旧松任)で茶の湯体験、茶の湯ゼミ、茶書研究をしている和雪庵の記録やメモなどです。
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記事一覧

水無月(和菓子)

今日、6月30日は今年の半分が過ぎる日なので、半年分のいろんな穢れを払う行事である夏越の祓が全国の社で行われたと思います。そして、そんな日には和菓子の「水無月」を食べたくなるのです。そう、三角形の外郎の上に小豆が散っているお菓子です。 「水無月」の由来については様々なWebサイトで説明されていますのでここでは割愛しますが、資料として、京都の和菓子屋「三条若狭屋」の主人だった藤本如泉の書いた書物にこのような記載があります。 "こじつけて"という言葉はなかなか厳しいですが、「

相伝の茶会

昨日、茶道教室に通う方への相伝の茶会を開催しました。稽古の一環でしたので道具は手持ちのもので設え、濃茶と薄茶、そして点心(弁当)を楽しみました。 寄付:白湯のかわりにブドウのシロップを冷水で溶いたものをいただきながら、茶会の次第を説明しました。濃茶・薄茶・点心の流れです。 濃茶:席入のあと、お菓子を出して濃茶。お一人分を点てるのは難しいですね。 薄茶:青磁の平茶碗を使いました。お客様が、手に持ったときにいつもの茶碗とは異なる感じを「たよりない」と表現されたことが印象に残

六月は甘味の月

毎年、六月という月はなんとなく「地味」に感じます。連休はないし、今年の半分を消費してしまうのが見えてくるし。でも実は六月は甘味に関連する行事が多い月なんです。 6月1日:氷室開 6月16日:嘉祥(嘉定) 6月30日:夏越の祓 6月1日:氷室開 正しくは旧暦なので今月1日ではないのですが…。江戸時代以降、この日に氷餅を食べる風習がありました。氷餅は餅を水に浸したあと冷たい空気(寒風)にさらして乾燥させます。そのため、東北地方や信州など冬の寒さが厳しく寒暖差のあるところ

立夏に風炉を準備する

今年の立夏は5月5日。連休はあと少しで終了というタイミング。この時期の茶室は忙しいのです。昨年の立冬に合わせて開いた炉を片付け、夏の風炉に替えます。 炉から灰をあげて、一先ず容器にまとめておきます。灰は夏になったら洗って干すのですが、それはまだ先の話。 風炉は灰型に押すので、ちょっと大変。まだまだの出来具合…。 炉から風炉に替わると、他の道具も替わります。菓子器は漆器から陶器へ、そして香合、柄杓、炭まで。茶碗は真夏になれば平茶碗ですが、今はまだ季節にあった絵柄にする程度です。

短冊用のたとう紙を交換

恩師からいただいた短冊のたとう紙が、ちょっと年季の入った状態になっているので交換しました。 和紙は長く保管可能ですが、湿気によるカビや変色は免れません。たとう紙を交換して大切に保管します。

「袴」で始まる仮説(想像)の行方

井伊直弼著『茶湯一會集』には”袴ばかりは草なり”という箇所があります。そこで思い出したのが遠藤元閑著『茶湯三傳集』(以下、『三伝集』)の”草袴 草足袋はく事なし”でした。茶書研究会で『三伝集』を輪読したときにナゾだった箇所について『茶湯一會集』から広げた仮説(想像)と事実(オチ)のお話です。 はじめに私は古文書が読めません。さらに、茶の湯を含めて文化・歴史などの研究者でもないし、その類いの専門教育も受けていません。だから調べられる範囲も知識も、広さと深さがありません。ここで

平成30(2018)年1月から2月の大雪記録

平成30年2月、北陸を襲った未曾有の大雪。和雪庵を開庵して初の冬に経験した雪の記録です。 1月10日、積雪の開始 この日低気圧が発達しながら日本海側を通過しました。大陸から冷たい空気が流れ込み、白山市松任地区近郊も雪模様に。このときこの程度の積雪は前年の12月にも数回あり、大事になるとは思っていませんでした。 引用元:気象庁過去の天気図(1日表示) ※以下天気図の引用元として表記省略 1月11日、積雪約10㎝ 午前中は前日の雪が残って、玄関前も雪化粧という言葉が似合う

茶の湯暮らしのための古町家(明治築)修繕(DIY)レポートその5(後半)

2017年からはじまった和雪庵リフォーム作戦続きです。(その1はこちら、その2はこちら、その3はこちら、その4はこちら、その5前半はこちら)物件選びの記録はTumblrにまとめてあります。 襖類の張替え欄間障子が欠損していたので、新規に作りました。それらに障子紙を貼り付けていきます。 枠の清掃をして、古い障子紙を取り除いていきます。 枠に合わせて障子紙を貼り、余白を切り取ります。 シワが見えますが、完全に乾燥すると消えます。 この調子ですべての襖と障子を張り替えてい

茶の湯暮らしのための古町家(明治築)修繕(DIY)レポートその5(前半)

2017年からはじまった和雪庵リフォーム作戦続きです。(その1はこちら、その2はこちら、その3はこちら、その4はこちら)物件選びの記録はTumblrにまとめてあります。 明治からの空間、四畳半と茶室のビフォーこの空間は明治から変わっていません。和雪庵を近所の方に公開したとき、曾祖父がこの家を建てたという近所の方から聞きました。そのときに明治40年築だということもわかりました。 掘りごたつが作ってあった四畳半。 壁には謎の呪文が貼ってありました。 こちらが茶室です。全体

茶の湯暮らしのための古町家(明治築)修繕(DIY)レポートその4

2017年からはじまった和雪庵リフォーム作戦続きです。(その1はこちら、その2はこちら、その3はこちら)物件選びの記録はTumblrにまとめてあります。 キッチンビフォーキッチン収納は雨漏りをしていて大変でした。 収納上部は木が剥がれてきています。 下部は穴が空いており、外が見えていました。 キッチン全体図。右下の床は抜けていました。 キッチンは床も含めて大リフォームを行いました。床・壁は大工さんにお願いをして、シンクはIKEAで入手。キッチン収納はDIYで対応しま

茶の湯暮らしのための古町家(明治築)修繕(DIY)レポートその3

2017年からはじまった和雪庵リフォーム作戦続きです。(その1はこちら、その2はこちら)物件選びの記録はTumblrにまとめてあります。 浴室のリフォーム/ビフォー和雪庵の浴室はいわゆる檜風呂(能登檜葉らしい)が備わっていました。状態はよく、浴槽は掃除+表面研磨以外何もしなくても大丈夫でした。 ただ灯油タイプの湯沸かし器を使っていたので、オール電化に合わせてエコキュートに交換しました。 浴室に直接注ぐタイプのカランは危険です。(背中が) 照明は昭和を感じる器具が備えら

茶の湯暮らしのための古町家(明治築)修繕(DIY)レポートその2

ビフォー2017年からはじまった和雪庵リフォーム作戦続きです。(その1はこちら) 物件選びの記録はTumblrにまとめてあります。 建物の中で最も痛んでいたのは二階でした。とくに壁表面はかなり痛んでいて、塗り直すとかなりの予算を割く必要があります。二階は主に事務部屋として利用するので、そんなに予算をかけられません。というわけでDIY壁塗を頑張りました。まずはビフォーから。 窓枠と壁に隙間があり、外が見えてました。また窓自体も木製なのですが相当傷んでおり、そのままでは使えな

茶の湯暮らしのための古町家(明治築)修繕(DIY)レポートその1

茶の湯が体験できる家を復活させる 2012年表千家の『講師』資格取得。その年から『教授』資格を頂くべく、教授者講習へ通いながら、茶の湯の歴史や道具のことなど資料を読みあさり、知識も溜めて、いつかは茶室を作ることを目標に、2017年石川県白山市(旧松任市)の古町家(茶室あり)を購入して茶室を作ったときのお話です。 2012年に住んでいたのはミサワホームのプレハブ住宅『GENIUS二人の家小屋裏二階』というモデルです。長野県の某所で、土地の広さは100坪あったため、茶室・水屋・