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小学校受験・中学校受験と母親の鬱

本日は「小学校・中学受験と母のうつ」というテーマでお話ししようと思います。小学校受験、中学校受験で翻弄されてうつになってしまうお母さんたちがたくさんいます。

受診に来たりすることは多いです。
今回はこのテーマで雑談的に僕が考えていることや思ったことを述べてみようと思います。文献を調べて網羅的に話すということではなくて、あくまで雑談ベースでちょっと話させてください。


僕は児童精神科医ではなくて、大人を対象にした精神科医で町医者なので、そんなに詳しいテーマというわけじゃないんですけど、恐らく受験業界の人たちの方が詳しいとは思うんですよね。だけど、僕もちょっと診ているので、僕なりの感想を述べさせていただきたいなと思います

■何に傷ついているのか

この人達は何に傷ついているのかと僕らは考えます。
何に傷ついているんですか。

恐らく一般的な精神科の患者さんのように、突然うつを発症したとか、双極性障害を発症した、統合失調症を発症したとか、実は何かがあったとか、性的虐待を受けたとか、突然DVにあってうつになったとか、そういうケースではないんじゃないかなと。

そういう脳の病気というよりは、何かしらのもうちょっと日常にかかわるようなこととか、そういうことの積み重ねなんじゃないかなという気がします。
うまく言えてない気がしますけど、何に傷ついているのか。

とにかくストレスがあるわけですよね。不安、たぶん子供が自分の想像ないし理想ほどはうまくいっていないということでしょうね。中心にあるのは恐らく。

その結果ストレスで子供に怒り過ぎる、無気力になってしまう。うつ症状ですよね、これらは。

あと逆に子供の調子が悪くなるとか、夫婦げんかが増えるとか、その結果夫が浮気をする、お酒を飲む、ギャンブル、仕事から帰ってこなくなるとか、よくあるやつですよね。

それでますます悪化しちゃう。
こういうことが起きているのかなとは思います。

■なぜうまくいっていないのか

こういうのが色々ありますけど、じゃあ何でこれがうまくいっていないか。
想像や理想ほどうまくいってないというのはどれぐらいかというと、周りの子たちに比べてとか、自分の子供の頃、夫の子供の頃、他の兄弟姉妹とかあと親戚。親戚に比べてとかあったりしますよね。

誰かに比べてできてないから、「普通だったらいいんです。私は別に優秀になってほしいとか、絶対医学部行ってほしいとかでないんです。ただ、普通だったらいいんですよ」と言って、じゃあ普通ってどれぐらいなんですかと言うと、全然普通じゃないですね。

「せめて早稲田ぐらいは」とか言ったりして、「いや、普通じゃないでしょう。早稲田は超一流校ですよ」と言ったりするとキョトンとしたような顔をしたりとか、よくありますね。

これが何かと言うと、元々不安な人、不安障害があるからということだったりとか、自分の劣等感が強かったりとか、劣等感が強いからこそ、子供に対しては成長してほしいという思いが強いとか、あとASDやADHDなど発達障害の傾向があってよくわかってないとかね。

あとは虐待、PTSDとか虐待の問題があったりとか、自分の親からされてきたことを繰り返してしまう。自分の親からやられてきた教育的虐待を再現してしまうとか、そこでのトラウマがあるからとか。

あとは夫からの逃避ですよね。
夫とうまくいってないから母子密着が進んでしまって、母子密着の中で自己実現をしようとしていることとか、色々なパターンがあったりするなと思います。

■治療の中で重要なこと

結局、治療の中で重要なことは何かと言うと、薬物療法で治すわけじゃないんですよね。

何に傷ついているかという時に、最初に言った通り、いわゆる脳病としてのうつ病とか双極性障害とか、そういうものではなくて、やはり神経症的な傷つきということになるんですよね。

だから薬じゃないんですよね。
薬ではない治療をしなきゃいけない。

精神療法と言うか、カウンセリングの目的は何かと言うと、優しいとか満たされるというのもあるんだけれども、それは最初のファーストステップだけであって、精神療法やカウンセリングの目的というのは人格の成長なんですよね。

人格が成長することによって、今の不安や困難を乗り越えるという治療なんですよ。なんかすごいですよね、こうやって言われると。

でも薬で治さない、薬で脳に刺激を与えて治すものでもなければ、環境を変えてあげてストレスを減らすことで治す治療ではなく、本人を変えてあげることによって治っていくのが精神療法の本質なので、人格的な成長を目指す。

そして人格的な成長を目指す前段階として、自己肯定感を高めるとか安心するとか、思いやりの中に包まれるとか、感情的な満たされ方と、人間の本質を理解する。人生の本質を理解するというこの2段重ねによって人格が成長していく。

だから、人格の成長というものが必要で、やっぱり受験期のお母さんは30代、40代が中心ですから、まだまだ若いというか、本質を知るにはまだ若いということですけども、こういうトラブル、事件をきっかけに本質を知ることで妥協を覚えたり、母子分離を覚えたり、色々していきます。

それが自分の力で乗り越えられず、精神科の力を借りなきゃいけないとか、借りなきゃいけないほどのプレッシャーを感じている。そういう不幸な環境にいる場合は、そういう手助けが必要だったりしますね。

究極的に言ったら受験というのは煽ったりするので、お金が飛び交うので不安にさせたりとか、悪い業者とかもたくさんいますから。

ここで受からないと一生損ですよとか。

子供のやりたいようにさせようと言うんだけど、親を騙すのと同時に子供も騙しに行きますから、そういう受験業界というのは。騙されているとわかっても、ついつい教育にお金を払ってしまうのが人間というか。

そこに支配されてしまうのが人間らしいし、周りも熱中しているので、自分だけ冷静でいることはなかなか難しいですよね。

そういう人はあんまりいないですよ。
熱中する方が普通ですよねと思います。
それは僕もよく思いますね。

防衛医大にいた時に、みんな勲章とかもらいたがっていましたもんね。
自衛隊の勲章とか何か色々。学生時代の人たちもそうだし、そこにいるとそうなっちゃうんだよね。

僕はいらないし、何言ってるんだろうなと思ってましたけど、その僕でさえ欲しかったので、なんかこういう受験が過熱している中に飛び込んで、女性で子供のことをすごく真剣に思えば思うほど、やっぱりそこの熱から離れるのは難しいだろうな、冷静にはなれないだろうなと思いました。

逆に冷静だとちょっと変わってるというか、ちょっと発達傾向があるということで、共感性が薄いとかになっちゃいますけど。

ということで、小学校・中学校受験と母のうつというテーマで母の思うことを述べてみました。

大事なのは、ゆっくり休んで冷静になって、人格的な成長を自分の中にもたらすということです。それが結果的に子供の成長にも繋がりますね。

だから成績がいいとか、年収がちょっと高いとか、休みが多いとか、働きやすいところで働くとか、そういうところに右往左往するのではなく。

人間の本質、社会の本質、人生の本質がそこにはないことは明らかなので、一回冷静になって、何のために生きているのかとか、何が人生なのかとか、そういう本質を考えながら一回冷静になり、この困難をうまく乗り切って、楽しんでいただけたらいいんじゃないかなと思います。

今回は小学校受験・中学受験と母のうつ、というテーマでお話ししました。
あと、宿題です。

もし余裕があったらyoutubeコメント欄に、今回の動画に関することを書いてみてください。僕からの宿題は、体験談を述べるもしくは受験とは何かということ、自分の体験を語ってみる。親の立場を経験して自分たちの経験を書いてみる。

その立場ではないけど自分が受験を体験してきた人であれば、自分の受験期をコメント欄に書いてみてください。

もちろん、匿名性を維持するためにあまり学校名とか個人が特定できるような情報は避けてくださいね。こういうこと書いてお互いの意見を見ながら、自分の人格成長に役立ててください。

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