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統合失調症 症状と治療

本日は「統合失調症」というテーマでお話しします。


統合失調症のメカニズム、症状、治療などをあっさり、ざっくり解説します。

特に近年は教科書に出てくる被害妄想、幻聴などではなくて、最近よくある妄想、このトレンド、2020年代のよく聞く妄想を中心に取り上げてみます。

そういうものを聞くと「あ、もしかしてうちのお母さんが…」とか「うちの子どもが…」とか「うちの旦那が…」と気づくかもしれないので、特に妄想の部分を聞いてもらえたらなと思います。

◾️統合失調症とは

統合失調症というのはどういう病気かというと、脳の病気です。

主に幻覚妄想が出現する病気だという風に考えてもらうのがわかりやすいかなと思います。

ゲンカクというのは「幻覚」と書くんですけど、五感のことです。

目、耳、鼻、舌、触覚、その「覚」、感覚の「覚」なんですが、統合失調症でよく見られる幻覚というのは、だいたい「幻聴」が多いです。

目に入ってくるものが多い「幻視」はレビー小体型認知症に多い、と教科書的にはそうですが、基本的には幻聴が多いです。

時々幻聴以外にも幻視、幻臭、そういうタイプの統合失調症の人もいますけど、基本は幻聴です。

他の感覚から幻覚が始まっても幻聴が出ることが多いなと思います。

あとはちゃんと問診していないから幻聴がわかってないこともあります。

だいたい幻聴および被害妄想です。

幻聴が聞こえてるけど「これ、おかしいな」と思うのではなくて、その幻聴を肯定するような妄想というかストーリーが組み込まれます。

例えば、子どもの声が聞こえるときには、子どもがどこかで虐待されているんだ、子どもがうるさい、子どもを使って自分たちに意地悪しようとしてる、そういう風に被害妄想になることもあるし。

昔はヤクザに監視されてる、道行く人に殺すぞと言われる、男の人に強姦されるという妄想、激しい、犯罪めいた妄想が多かったんです。

最近はそういう妄想を聞くことが減って、例えば、マンショントラブルみたいな形が多いんですけど、ゴミを漁っている人がいる、ゴミを通じて私の家を特定したんだ、ご近所さんが嫉妬してるんだ、そういう、忘れてもらっていいですが敏感関係妄想的なものが多かったり。

あとは移民です。移民を通じて日本が潰される、そして自分たちが殺される。

政治ですよね。

カルト政治が…、自民党が…、そういう本当か嘘か陰謀論かわからない、妙にリアリティのある妄想があったり。

そういう政治団体に自分の個人情報を抜かれてる、ハッキングされてる、銀行口座の残高が抜かれてるなどがあったり。

スマホを通じて監視されている、SNSを通じて監視されてるなど、そういうインターネットや電波によって自分の脳が破壊されてるというような妄想が多かったりします。

その音が聞こえたり、幻聴も伴うことがある。

ハッキングされてるんだけれども、自分が注意していたら相手が声を漏らした、「ヤベ」と言ってた、と。

「ヤベー」と言ってたから、やはりハッキングしたらバレたんだとか。

そういう幻聴なんだろうなとか。

こういうのが多いです。

あとはネットで個人情報がばらまかれてると言ったりして、例えば益田が個人情報をばらまいているんじゃないか、この動画は私に向けたメッセージでしょう、益田先生がこの動画の中で個人情報を漏らしてるじゃないか、そういう妄想も結構あります。

「どこが?」と言っても、いや、先生に言いたくないです、どこがじゃあ実際僕のやったことなのと言ったら、いや先生言わなくてもわかるでしょう、ということを言ったりしています。

反省するんだったらいいですよ、と言ったりしますから。

幻覚・妄想、こういうのが多かったりします。

これが陽性症状と呼ばれるやつです。

幻聴があって、常に苦しめられている感じで落ち着かないんですよね。

焦ってしまって苦しい。

すごく苦しくて、攻撃をされてるわけだから、窮鼠猫を噛むみたいな形で暴力的な行動に発展してしまうことも珍しくないということです。

陽性症状と、もう一個は陰性症状というものがあって、激しい妄想の後にうつっぽくなるんです。

やる気が出ない、意欲が出ない、食欲が落ちてしまう、眠れない、うつ病のようなうつ症状になることがあります。

アップダウンが激しいんです。

激しい妄想と落ち込み、栄養が摂れない、こういう激しいストレスというか、脳内変化によってやはりダメージを受けていくんです。

中長期的に見ると、人格水準の低下と言って人格水準が低下していく。

人間が持っている思考力、判断力、決断力、考える力、記憶力が全体的に下がっていってしまうというのがあります。

だからしっかり薬で治療しましょうとか、抑えていかなければいけないんです。
これが統合失調症の症状です。

️◾️脳内で何が起こっているのか

脳内でどんなことが起きてるのかというと、まだよくわかっていないんです。

おそらく炎症やストレスが関係してるというのはわかってるんです。

何かしら脳の炎症やストレスがきっかけでそういう病態になっていく。

そしてそれが繰り返されてしまう。

再発してしまう。

自分で自分を炎症させてしまう、傷つけてしまう、みたいなことが起きてるんじゃないかと言われています。

ストレスにはどんなものがあるのかというと、いじめ、家庭内暴力、虐待、貧困など、色々なものがあるし、そういうものは関係ないときもあります。

成長それ自体がストレスだったりしますから。

発達障害がベースにあって生きづらさを感じているなど、何かしらのハンディキャップがあって、生きづらさを感じていて、その中で対人関係の摩擦からストレスになってというのもあったりするということです。

元々遺伝子的な脆弱性というものもあるんじゃないかとも言われていて、いくつかの遺伝子が特定されています。

統合失調症になりやすい遺伝子が特定されているということです。

あともう一個はシナプスの刈り込み、いわゆるプルーニングと呼ばれているものと関係するんじゃないかという風にも考えられているんです。

それはなぜかというと、14歳以前の発症が稀なんです。

人間の脳みそは思春期以降、脳のいらない部分を切ってしまうんです。

いらない部分を切って最適化しようと思って、いらないところ、いらない経路を切るんです。

いらないシナプスの連合を切ることによって、もともとあったシナプスとシナプスの連合が強化されてスムーズになるんです。

川と一緒で、細かい川がいっぱいあるんじゃなくて、一本の川にまとめると、そこに水流が集まってスピードがアップしますよね。

道路もそうじゃないですか。

細い道路がいっぱいあるんじゃなくて、大きい一つの道路を作っちゃった方がいいとか。

そういうのと似ているんです。

脳の中でもある程度の時期が来たら、そういう風な形で余分なところを剥いで主要なところだけ残す。

そしてそれをすることによって人間の脳機能全体が向上する。

抽象的なことが考えられるように、頭が良くなるんですよね、簡単に言えば。

だけど、そこの刈り込み、いらないところを切っていこうというところが、うまくいかないときに統合失調症を発症するんじゃないかというモデルがあったりします。

うまくいかない理由として、このストレス、炎症、それが関与してるんじゃないかというのがあるんですが、やはり複雑なメカニズムなので、よくわかってないこともたくさんあります。

主要な説としてドパミン仮説、ドパミンというものが多く出ることによって、そういう幻覚妄想が出るんじゃないかとか、グルタミン酸仮説と言って、そういうものが出ることで脳のNMDA受容体を介して炎症が起きる、破壊されてしまう、色々あるんですけど、ここら辺は僕もよくわかってない。

よくわかってないというか、覚えても忘れてしまいます、臨床と関係ないので。

はい、ということです。

◾️治療

こういうドパミン仮説やグルタミン酸仮説、色々な仮説に基づいて薬はできています。

昔はドパミン仮説だったんです。

ドパミンが多く出ることで、そういう幻覚・妄想が出るんじゃないか。

覚醒剤をたくさん打つとドパミンが多くなってしまうので、幻覚・妄想が出る。

覚醒剤の依存や中毒もそうなので言っていたんですけど。

一応ドパミン仮説は部分的にはもう否定されてるんですけど、そのモデルに基づいて薬とか開発されていて、昔はいわゆる統合失調症の治療薬というと抗精神病薬で、D2ブロッカーといって、ドパミンの受容体をブロックする薬がメインだったんです。

ドパミンが多く出て幻覚・妄想が出るので、ドパミンが減るように、出てきたドパミンを全部受容してしまうと神経がバーッとなってしまうのでブロックする、信号が来ないようにする、そういう形でD2ブロッカーというものを作っていたんです。

だけど時代を経るごとにドパミン受容体をブロックするだけじゃなくて、セロトニンなど、そこら辺もブロックしていった方がいいよということで、時代はだんだんそこだけじゃなくて、色々なところをブロックしよう、抗うつ薬的な効果もあるようにしていこうという風に変わってきてます。

何か難しいね。もう一回説明しますけど、神経細胞はこうあって、糸電話みたいになっているんです。

こうシナプスから行って、次のところに神経伝達物質が出て、こっち側に情報がまた流れる。

こういう糸電話がたくさんあるのが脳のイメージなんですけど、そういう細い線が。

ここからこっちに行くときの神経伝達物質の一つがドパミンです。

他にも色々ありますよ、ノルアドレナリン、セロトニン、色々あるんですけど、その一つのドパミンというのが統合失調症の幻覚妄想に関与してるんじゃないかと。

こっちがたくさん出てくるので、この蛇口がバカになってしまってるんです。

この蛇口からバーって出ちゃうから、こっちに全部行くとパンクしてしまうので、ここをブロックしちゃう、入ってこないようにブロックするのでブロッカーと言うんですね。

そういうことがあったりしますけど、それだけじゃないよねというのが最近わかってきて、出る方にも治療しなければいけないよとかね。

出るということは、こっち側に何かの情報が来てるわけです。

もしかしたらこっちはドパミンじゃなくてセロトニンがあったりするので、じゃあセロトニンの方も何かうまくやるとかあったりする、ということです。

じゃあこっちの方にも薬を効かせた方がいいんじゃないか、とそういうことなんですけど。

MARTAになっている、様々なチャネルにくっつくような薬になってるということです。

幻覚・妄想が出るのはこういう風な経過をたどっていくんです。

陽性症状が出て、うつ期が来て、また陽性が来て、とこう繰り返すので、薬を飲むことで波を抑えようというイメージです。

ということなんです。

これは何かに似てるなと思うと思うんです。

いわゆる双極性障害に似てるなと思う人もいると思います。

双極性障害と統合失調症とは関連性があるんじゃないかみたいな形で研究も色々されてるし、類似点も色々見つかってるんですけど、まだよくわかってないことがあります。

◾️️減少傾向、軽症化している

大きなトレンドとしては、統合失調症自体は実は減少傾向にあって、かつ、軽症化してることが多いという風に言われてます。

なぜかというと、その一つの仮説としてどうして減少してるかというと、社会治安が良くなっていたり、感染症が減ってるからです。

母体の感染症、子どものときの感染症が減ってるので、衛生環境が良くなっているので炎症が減ってる、と。

あとは社会全体が知識を得て早期発見、早期治療することによって、激しい被害妄想を持つ前に治療ができてる、治療に繋がってるから軽症化してるんじゃないか、そういうことがわかります。

あとはいわゆる発達障害の知識が増えてることです。

発達障害の人のこだわりやコミュニケーションの難しさが、昔は統合失調症の症状じゃないか、統合失調症との鑑別がうまくできてなかったんです。

何か変わってるな、と。

変わっているから統合失調症なんじゃないかという風に治療されてきたみたいな歴史があり、それは誤診だったんですが、最近はそうじゃなくて、これは発達障害なんだということで正しく診断できることが増えてるので、減ってるということになります。

今後も精神医学は色々なことを発見して、色々な診断が出てくるんだとは思いますけど、そういう中で、また変わっていくんだと思いますけど、そういうのが大きなトレンドという感じです。

いわゆるオーソドックスな統合失調症、昔の教科書に載ってるようなものだけじゃなくて、最近はやはり中高年発症、子どものときや若いときに見つからなかった統合失調症、軽症化した統合失調症というのがとても多くなっていて、でも意外とその受診につながってなかったりというのも多いんです。

認知症なのかなと思ったら、実は統合失調症だったというケースもあったりするので、もしこの動画をきっかけに家族の人が「あれ?」と思ったら、もうちょっと調べてみて、受診につなげたり、保健所に相談したりしてみるのがいいんじゃないかなと思います。

ということです。

◾️本日の宿題

こういう病気があるんだな、そういう色々な感想、あとこういう治療を僕もしてます、そういうことをコメント欄に書いてもらうといいかなと思います。

https://youtu.be/EQee8q9qWdU?si=Wtdj5kJ_ixAzzO_V


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