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海外からのお手紙 from タヒチ

海外からのお手紙from タヒチということで、今日は視聴者さんからのメールを読みます。


前回、フランスの方からのお手紙を読んだときにも、いろいろコメント欄で、うちの国はこうですよ、ということを教えていただけて、大変僕も興味深く読んで勉強になったんですけど、またメールが来たので取り上げてみます。

引き続き、先に動画の冒頭で言うのはアレですけど、海外の人の話を聞きたいなと思っていて、海外ではこうですよ、みたいなことを教えてくれると助かります。
具体的にどんなことを聞けばいいのかというのはちょっとアレですけど、皆さんの思うことをメールでくれたら大変勉強になりますし、YouTubeでも取り上げやすいのでご協力お願いします。

突然失礼します。
○○と申します。
先生のYouTubeの視聴者です。
(略)
トラウマがあって先生のチャンネルにたどり着きました。

ということでした。

先日紹介されていた海外で生活されている方のメールに同じような状況で暮らしてる方もいるのだと勇気をいただきました。
その方へと動画にアップして共有してくださった先生へのお礼のメールです。

私も海外在住です。
フランス人と結婚し、タヒチで20年近く暮らしています。
フランスでも2年暮らしていましたが、縁あってこちらのタヒチに来て居心地が良く、住み着いてしまいました。

私たちは子どもがいないので、家では完全に純日本人と純フランス人の生活です。
フランス人と20年以上夫婦をしてきて、察してくれない夫にイライラすることがなんと多かったことかと、改めて思います。
「言ってくれればやるよ」その返事一辺倒です。
こんなことまで言わないといけないの?と、そのまま喧嘩に発展するのがお決まりのコースでした。

ただ言えば最後までやってくれるのです。
「出来ない」と言われたことは、今まで一度もありませんでした。
これは見方を変えれば私の領域にずかずかと入ってこないリスペクトなのかとも最近ようやく思えるようになりました。

日本で美化されるおもてなしの心などは、おそらくこの察する文化から来ていると思います。
私のそういうところを、仕事や友人関係で評価されることもこちらでは多いです。
ただ「お節介しないで!」と痛烈に批判されることも多々あり、どこまで線引きしていいのか難しいところです。
プレゼントなども、色々考えて選んできたものを渡すよりも、コレコレが欲しいと注文を受けたものを買っていった方が喜ばれます。

何年暮らしても私はやはり日本人です。
ただ現地の文化慣習には多少自分を殺して合わせていかないとやっていけません。
海外で暮らす葛藤は、その点に尽きると思います。
こちらに遊びに来た両親には、言い方がキツい、自分の娘じゃなくなった寂しさがある、と言われました。
そうしなければ海外でここまで生きてこれなかったんだろうと、最近やっと理解を示してくれましたが、両親には両親なりの辛さがあったのだろうと思います。

必死に海外生活に馴染もうと思っていた30代は、アイデンティティがグラグラになって、出口のないトンネルを彷徨っているようでした。
色々吹っ切れて自分らしくいられるようになったのはつい最近です。

コロナ禍以降、動画から情報が手に入りやすくなりました。
仏教の教えが好きなのですが、探せばいくらでもありますし、先生の動画にも大いに救われています。
海外にいて、日本語で聴けることがどんなにありがたいことでしょう。
改めて感謝いたします。

そうなんですよね。
わかると言うとアレですけど、海外にいると日本語とか、やはり母国語で何かをやるというのは楽ですよね。

森の外で生きていく

特に好きな動画は森の外で生きていくというテーマのものです。
時々見返しては支えにしています。
これからもためになる動画をよろしくお願いします。

森の外の話というのを先にします。
メールはまだ続きがあるんですけど。

「森の外」というのは何かというと、僕がよく言う患者さんへの喩えというか、モデルなんです。
社会とはどういうものなのか、というモデルで、世の中の多くの人は森の中に住んでいて、森の中心には美味しい木の実がなってるんです。
外側に行くほどあまり大きくない木の実がなっていて、真ん中に行けばいくほど大きい木の実がなっている。
だから全員で真ん中を目指す。
ちょっとでも真ん中に行きたいという圧がかかってるんです。

精神科の患者さんは、だいたいがこの競争に負けて外側にいる、ないしは森からはじかれてしまっているんです。
森からはじかれてしまっている。
不幸、不運、生まれつき持った体力の違い、IQ、EQなど色々なものが重なって外側に出てきてしまってるという状態です。

色々な原因があって外に出ているんです。
この原因を解決しないと森の中に戻っていけないし、かといって全ての人が原因を解決できるわけじゃないので、原因が解決できない場合は外側で、森の外というのは砂漠で何もなくて寂しいんですけど、栄養も少ないというか、美味しい木の実はなってないんですけど、そこはそこで楽しく生きてくやり方もあるので、森の外なんだなと思って楽しく生きるのも大事だよという話です。
森の中にいる人は内側ばかり見ているので、外側のことを知らないんです。

これが森の中と森の外という社会モデルのたとえで、どちらかというと僕もこの森の外で生きてる人間なんです。
医師会や医局、医者の権力というか学会など諸々はここの中にあって、みんな内側を目指すんだけど、僕みたいに開業医でポーンと飛び出ている人は、実は森の外で生きていて、保険診療で食わしてやるよみたいな感じです。

そんな感じですけど、わかりますか?
最近は少しパワーアップしていて、この理論に模倣や妬みという概念を追加しました。
フランスのジラールという人の理論を借りてきたんですけど。

模倣・妬み

僕らは、定型の人は模倣するんです。
自分の欲望というものがなくて、人が欲しがっているから私も欲しがるんです。
自分発信の欲望というのは実はなくて、他人の欲望を模倣することによって欲望するということをジラールさん、ラカンとかもそうですけど、言いました。

これはよくわかるんです。
うちの子どもが小さいとき、今もそうだと言えばそうなんですけど、クリスマスのとき、クリスマスでサンタさんからプレゼントをもらった日に、プレゼントよりもペットボトルの蓋をめぐって喧嘩するんです、ズルいとか言って。
飲み終わったペットボトルの「Qoo」というオレンジジュースの可愛いキャラクターがついたものがあるじゃないですか。
あれをめぐって、髪を引っ張って、女の子同士が喧嘩するんですよ。

いらないんだよね。
でもどっちかが最初欲しいと言って、いると言って、僕か奥さんかわからないけど「いいよ」と適当に言っちゃったんだよね。
そしたら喧嘩が始まるということですね。

たぶん僕ですね。
奥さんはわかって聞いているから。
僕が「ああ、いいよいいよ」と適当に言ってたら喧嘩が始まってしまうんだよね。

プレゼントが目の前にあるにもかかわらず、ゴミをめぐって争う。
これなんですよね、人間の本質は。
だから彼女たちは自分が悪いと思わないですよ。
反省しろと怒れと言われても、当時は、奥さんに言われて怒っても別に反省してないんですよ。
反省するような素振りは見せますけど。

人間は自己否定より先に模倣から始まる、ズルいという妬みから始まるんだということなんです。
これは根源的というか、よくわかるんですけど。

人というのはすごくその妬みの感情というのが根源的にあって、本当に欲しいものがない、ないとは言わないけど、ジラールたちはないと言うけど、一応ありますよ、医学的には。
食べ物とか、生理的欲求とか色々あるんだけど、ある程度満たされるとやはり妬みの方が優先されてしまうというのがあります。

妬みは破壊力が強くて、自分が食べられなくても相手が食べれないんだったらよしとするというか、自分よりも相手が美味しいものを食べているときは、自分が食べられなくなっても相手が食べられなくなるんだったら、それがいい、みたいな形にまでやってしまうということです。

妬みというのは発達系の人には少ないんですけど、定型の人たちはよく妬みあってます。
境界性パーソナリティ症の人は特に妬みます。

妬みの中で争いが激しくなるので、だんだん集団の圧がかかってくるんです。
集団が妬むと圧がかかるわけです。
戦いになる。

終わらない戦いが始まるので、誰か一人を標的にすることで、この怒りというか暴力性を発散させようとするんです。
それがスケープゴートと呼ばれるもので、誰かを犠牲にすることで、一人敵を作ることで集団の和を保とうとするということになります。
発達障害の人や精神科の患者さんはスケープゴートの対象になりやすくて、いじめられたりするということがよくあります。

森の外でも中途半端にいるとスケープゴートの対象になってしまうので、ある程度離れるんだったらしっかり離れた方が良いよ、というのはあります。

現代の最大の模倣とは何かというと、お金なんです。
「お金教」と僕は呼んでいますけど、お金、とにかくお金。
なぜお金が欲しいかわからないけど、みんなが欲しがってるからお金が欲しい。

そしてそれは、僕もそうですけど、信じ切ってしまってるんです。
お金がないと不安だし、お金がある人を羨ましいと思うし、これは強力なんです。
お金教を疑おうと思っても、なかなか疑えないんです。
本当はいらないんだよ、と理性的にはわかっても、本能的には全然抗えないというか、もうかなり深い深層心理まで食い込んでしまっているのが今の資本主義社会だし、お金教の話です。

やはり周りが信じているものを自分だけ信じないというのは難しいんです。
これが模倣の原理だったりもします。

「私? 妬んでませんよ」と言う人がいますけど、妬みというのはあまりにも強力なので加工されるんです。
妬んでるとは思わないようになってる。
つまり妬むんじゃなくて自分が悪いんだと思うことで、妬みの感情を押し殺してるんです。

自分が悪い、自分はダメなやつなんだ、と思うことで妬みを抑え込んでいるんですけど、実際は妬んでるんです。
自分が悪いんじゃなくて、誰々よりダメだから自分はダメなんだ、となっていて、本質は妬みなんですけど、これに気付くのがなかなか難しいし、気付いたときの暴力性、破壊力に圧倒されるというのがあります。

たぶん日本人は妬みが強いんだと思うんです。
単一民族だったり、アジア圏は。
でも海外は妬みもあるんだけど。もちろんあるんだけど、やはり質が違うし自分は自分という発想があるので、妬みというのが日本ほどは強力じゃないなという風には思います、特にアメリカとか。
ヨーロッパとか歴史のある国となってくると妬みが強くなっていくなと思うんですけど。
そんな風に思います。
そもそもこの模倣と妬みの話をしたのはジラールというフランス人ですからね。

では余談にいきます。

タヒチの制度

余談になりますが、せっかくですので現地の制度を紹介したいと思います。

ありがとうございます。
これが知りたいのよね。
医療制度は国によって違うし、福祉の制度も違って、調べたりするんですけど、何となく肌感覚として僕にはわからなくて動画にしにくかったんですけど、こういうメールでくれると助かります。
といいつつ、もちろん個人の主観も入るので違うよということもありますけど、その場合はコメント欄で訂正してください。

フランスは福祉の充実した国で、その元植民地であるタヒチ(現在はフランスの海外領土)も恩恵を受けていますが、医療制度に関しては本土以上に寛大です。
びっくりされるかと思います。

私は去年から心療内科に通ってるんですが、診察は毎回1時間です。
再診も1時間です。
加えてタヒチ人は良くも悪くもいい加減なので、雨が降ったり、友人とおしゃべりをやめられなかったりすると診察に来ません。
それで診察枠に空きが出ることも多く、その場合はドクターにあと1時間話していいよ、と勧められ、合計2時間の診察になることが何度かあります。

診療費は精神科の場合は日本円で2,000円ほどですが、慢性疾患の認定を受けると患者負担額は5%です。
医療費が通院の負担にならないように、精神科ではほぼ100%慢性疾患の申請をしてくれるため、いわゆる富裕層でカウンセリング感覚で受診する人以外は500円ほどで1時間の診察が受けられます。
またタヒチ人はお財布を忘れることが多く、その500円さえもドクターは別に請求しません。

逆にお金がないから「これですいません」と庭のマンゴーや釣ってきた魚を持ってくる人もいます。

もう一つありがたいことは、精神科に限らず多くのドクターが電話番号を公表していることです。
薬が合わない、調子が悪い、と直接連絡することが可能です。
これは心強いです。
心配な患者さんにはドクターの方から積極的に連絡をしてくれます。

長いメールにお付き合いいただきありがとうございました。

と言うことですね。すごいね。
タヒチもまた変わっていくんでしょうけど、現時点ではこういう感じだよということのようでした。
所変われば、歴史が変われば社会の在り方も変わるし、福祉、社会、人々の心の在り方、価値観なども違うよということです。
ということでした。

でもなんかそういうことも色々考えながら、日本、韓国、アジアとはどういう国なのか、海外と比べてこうなんだな、というのはやはり学びになるし、メタ認知のいい理解になるんですよね。
昔は海外旅行や留学をしないとわからなかったことが、こうやってYouTubeでわかるようになってきているので、皆さんにもいい機会なのかなと思ってシェアしました。

それぞれ良い点、悪い点もあるなと思います。

本日の宿題

今回の宿題は、日本の良い点、悪い点、もしくは今住んでいる海外の人は、その良い点、悪い点を書いてくれると皆さんの良い勉強になります。

どんなボランティアがいいのか、日本版はどんなボランティアがいいのか、どんな生き方をすると日本人は幸せを感じやすいのか、等々を皆さんが思うように書いてください。
逆に他の国ではこういう生き方が幸せを感じるようですよ、ということも書いてもらうと学びかなと思います。

もちろんその国によっても人それぞれ考え方、価値観が違いますけど、色々な生き方があるんだなということの一つのきっかけとなりますので、コメント欄を利用して書いていただいたり、シェアしてもらうといい学びかなと思います。

引き続き、メールやお手紙お待ちしてますので、いいなと思ったものは動画でも少し取り上げさせていただこうと思いますので、よろしくお願いします。
もしかしたら僕の動画の再生数の伸びによっては突然この企画が終わってしまうかもしれないですけど、その場合はご了承ください。



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