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ヨーロッパと日本のボランティアに対する考え方の違い

本日は「ヨーロッパと日本のボランティアに対する考え方の違い」というテーマで、視聴者さんからメールをいただいたので、そのメールを皆さんに紹介して、一緒に考えたいなと思います。

5月11日にYouTubeライブで、自助会のカルチャーの育成や今作ってる最中のところをやってたんですけど、自助会メンバーの人と質疑応答しながら、こういう風にやっていこうみたいなね、質疑応答及び作戦会議みたいなことをライブでやっていたんです。

今後も月2回ぐらいはやりたいなと思っているんですけど、それを見て「こんなことなんだ」ということで興味を持っていただいて、メールいただいたんですよね。すごくいい内容だったので、皆さんと共有したいなと思います。


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オンライン自助会とはどういうものなのか、想像がつかなかったので、5月11日のオンラインライブを拝見させていただきました。

そこで、益田先生はとんでもないところに切り込んでいかれることを知りました。

見方によっては、言い方は悪いですが、社会性のない人、子供っぽい人、自己中心的な人、事実が捻じ曲がって見える人、悪く受け取る人など、明らかにトラブルを起こしそうな人を集めて、あえて自助会をなさるということが容易に想像できました。

(まあ患者さんてそういう人だからね。そういうもんなんです。調子悪い時は退行しちゃいますからね)

孤立している人に居場所を作るというのは素晴らしいことだと思います。

誰かがやらなければいけないことを進んで引き受けてくれる方がいるのもありがたいことです。

そこに「見捨てない人」がいるということは、つらい思いをしている人にとって大きな希望となるでしょう。けれど、私には異次元過ぎて、そこをあえてやろうとする先生たちのバイタリティーにただただ圧倒されました。

私は国際結婚でヨーロッパに15年以上住んでいます。その中で、「親切」「社会奉仕」についての考え方にこの国と日本でいくつか異なる点があることに気が付きました。

一つ目は、人に親切にするときの、線引きのラインが違います。

日本人は、困っているように見える人がいたら、頼まれなくてもこちらから手を差し伸べるように見えます。

それに対してこの国では、(よっぽど親しい人でない限り)周りにつらそうに見える人がいても、見守るだけです。

そして、助けを求められてはじめて動き出します。ただし、いったん関わると決めると、問題解決まで上手に導いてくれます。

二つ目は、人に親切にするときの動機の違いです。

日本人は「世のため人のために尽くすことは良いことだ」という倫理観、使命感のようなものに突き動かされているように見えます。

それは崇高で感動的です。そういう日本人の気高い精神を見聞きするたびに、私は胸が熱くなります。

一方で、この国の人が人のために動く理由は徹底して「自分がしたいから」というものです。私は5年くらい前から少しですがボランティア活動をしています。

グループの中で問題を起こす人がいると、容赦なく放り出すか、別のもっと厳しいグループに送ります。

私の感覚では、その人たちにも悪気があるわけではないのだから、こちらで何とかもう少しだけ、うまくやれるように工夫や努力を尽くしたいと思ってしまいます。

ですが、こちらの人の言い分は「ボランティアでやっているのだから、私たちが楽しんでできることが大前提。

私たちとって負担なら、そういう人は追い出すのが当たり前。」というものです。

ボランティアではなく仕事となるとまた話は少し変わってきますが、「自分がもう楽しめなくなったから」という理由で仕事を辞める人も珍しくありません。

この国の人も、責任をしっかり果たす人たちですので、後任が決まるまでは役目を放り出すようなことはしませんが、それでも日本人のように「責任があるから、苦しくても最後まで続ける」というようなことはありません。

三つめは、ボランティアにもそれなりの報酬があることです。例えば私がやっているボランティアも、資格を持っていれば、国で決まっている最低賃金程度の時給をもらえます。

また、年に1度、お礼の食事会にも招待されますし、クリスマスには小さなプレセントとお礼の言葉が書かれたカードなどがもらえます。

総会で皆の前で拍手をもらえることもあります。資格を取るためのコースの費用や、研修費用も会から出ますし、コースを受けるために仕事を休む場合は、その分の給与程度のお金も支払われます。

報酬のためにやる人はいませんが、こういうことはボランティアのモチベーションを上げるためには意味のあることなのかもしれません。

以上が、私が感じた、日本とこの国の社会貢献についての考え方の違いです。両国ではいろいろな前提が違うので、お役に立つかはわかりませんが、何かのヒントとなればと思い、送らせていただきます。

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あとちょっとメッセージをいただいてますけど、大変ありがたいお言葉をいただいたということですで、ぜひ皆さんとこういうこともシェアしたいと思って今回ちょっと読み上げさせてもらいました。

■ヨーロッパの背景

僕は留学経験がないんですよ。
留学をちょっと考えたことがあったんだけど、お金がなかったんですよね。

お金がないとよく言いますけど、大学進学もお金がないなと思って防衛医大を選んだというのもありますしで、その後もやっぱりお金がないなと思って、研究者の道も実は諦めたというのが背景に実はありますというか。

そんなこと言ったらみんなそうじゃないか、益田先生、そんなのは博士課程に行こうとしている人はみんなそうですよと言われそうですけど、まあまあそうなんですよね。

留学経験もなくて。だからちょっと負い目というのがあって。特に精神療法の世界はヨーロッパのカルチャーを一回学ぶというか、歴史や空気も含めて学ぶことが大事なんですよね。

フランス料理の料理人やピアニストなどと同じで、その国のカルチャーを踏まえて、その文脈で出来上がった文化を学ばないと本質はわからないと言われています。

だから精神分析もそうですけど、留学は結構大事な要素だったりしてですね。さすがにちょっと難しいし、半年とか1年じゃないからね。

色々あって、それだったらまず日本でちょっとやりたいなって思って。 ります。

と言いつつ、ヨーロッパのカルチャーはできるだけ勉強したいと思っているので、うーんとか考えますけど。

でもこういう背景を知らないと、やはり精神科の治療とか精神療法の意味、ボランティアの意味はよくわかんないんじゃないかなと思います。

僕も見よう見まねでやっていますけど、本当のカルチャーを知らないですし、皆さんはもっとよくわからないまま、そういうカルチャーから始まっているんだよってことを知らずに、日本で欧米の上澄みだけのものを見ると、やっぱりなんで日本はこうなんだとか思っちゃうんじゃないかなと思います。

今回のお手紙は、すごく皆さんの認知を広げるというか、今まで何かもやもやしてたのが少し晴れるような内容なのかなという風に思いました。

■親切の線引きのライン

オンライン自助会でやっていることを、もう少しだけ話をしようかなと思います。「親切の線引きのライン」ということで、メールの中で「問題がある人がいるとわりと簡単に追い出します」ということを言っておられました。

確かに自助会も最初は何とかしなきゃと躍起になってたんですけど、そうするとやっぱり全体が困るし、チームというか自助会全体がうまくいかないので、やはり弁護士さんを入れて利用規約を最初に作ったんですよ。

弁護士さんを入れて作ってたんですけども、利用規約に違反した人たちも何とかならないかなと言って、中川さんと頭を抱えながらやっていたんですけれども、最近は顧問の弁護士さんも入ってもらって、利用規約に応じて規約違反した人たちがいた時に、規約違反した時点で、規約に同意してもらって入っていますので、通常であれば退会してもらっていいんですけれども、2、3回口頭注意をしたり説明した上で、それでも改善が見られない場合や余計反論してしまう、感情的になってしまう場合は退会案内ということにさせてもらっています。

口頭注意で「ああ、そういうことでしたか」とわかってくれるのであれば別にいいのかなと。本当はダメなのかもしれないですけどね。ルールでやってたら。

でもそういう感じでやっていますね。

転移解釈についてもそうなんですよね。

例えば今自分が無意識に支配されている、感情に支配されていて、医師に対して怒りを持ってしまう、感情的になってしまうんだけど、その時にこういうことが考えられませんかとか。

転移解釈をする、あなたは無意識に支配されていませんかとか、あなたは今こういう風に感情的になっていますけど、一回クールダウンできませんかとか言ったときに、はっと気づいてああそうでしたねとなるのが治療ですし、そのラインなんですよね。

それは全然僕らはいいんですよ。

だけど、その先にさらに起こっちゃうとか、何度も何度も説明した上でうまくいかない場合は、転移解釈だけではダメだとか。

口頭注意だけではうまくいかない場合は、自助会の手に負えないんだなと思います。

それは規約をまず破るという時点でダメといえばダメなんですけど、それでも口頭注意だけじゃ難しい場合は、やはりもうちょっとカウンセリングや外来、場合によっては入院が必要な人もいるということですよね。

ある程度、一定期間を経て、もう一回戻ってきてもらう分には、治療が進んで良くなってきた人には戻ってきてもらってもいいのかなと考えているということです。

2、3回の口頭注意で改善できない人とか反省できないというか、自分に問題があるなと思えない人たちはどういう人が多いのかというと、例えば発達障害の傾向が重い人ですね。

発達傾向があって、自分はよかれと思うんだけど人に言い過ぎちゃうとか、自分のこだわりがあってやりすぎちゃうとか。

ルール、マニュアル人間になりすぎちゃうとか、そういうパターンもあるんですけど、これは今はあなたの特徴が強く出すぎてますよねということを注意した時に、「ああ、そうでしたね、すいません」というパターンだったらいいけども、「いやいや、そんなことないでしょう」と全然訂正できない場合は退会案内をさせていただくとか。

境界性パーソナリティ障害やトラウマがある人ですよね。

そういう場合、何か自分にとって不都合なことがあったりとか、ちょっと問題がある人がいた時に過去の記憶が刺激されたり。

無意識に投影や転移が起きてしまって、こいつは悪いやつなんだから絶対やっつけなきゃいけないという思いに支配されちゃうとかね。許せなくなっちゃうとか。

理想化とこき下ろしが起きちゃって、相手を操作しようとなるとうまくいかないので、そういう人達に「こういうことが起きてませんか?」と口頭注意があった時に訂正できないとか、冷静になれないのであれば退会していただくとか。

あと不安が強すぎる人ですよね。

不安が強すぎて、自分の不安に相手を巻き込む。自分の強迫性に相手を巻き込んでしまうパターン。

「不安だからこういうのをやめてほしい」「私は不安だし、他の人も傷つくかもしれないからやめてほしい」「やめてほしい」が続きすぎる場合、その人の不安に巻き込んじゃうんです。

その人が不安に巻き込むので、その場合、あなたは誰か巻き込んでいませんかと注意して、それに何回も「いやいや、そんなことないでしょう」ということになるのであれば、やっぱり退会案内するということになるのかなとも思いますね。

あと報酬の件は結構ややこしくて、皆さんから運営費としていただいているお金を再分配する形になるので、これはできたらあまりやりたくないんですよ。

それはなぜかというと、ねずみ講みたいになっちゃうんですよね。単純に言えば。

ちょっとした物だったらいいのかもしれない。

手紙とか賞状とかトロフィーとかね。ある種のグッズをお渡しするのだったらいいのかなとは思うんですけど、そうじゃなくてお金を渡すことになると、ねずみ講になっちゃうんですよね。

ポンジ・スキームというか、皆で集めたお金から小出しに出していくっていう形にしちゃうとなんかね、ねずみ講みたいだからやりたくないし、違法なことにもなりかねない。

ちょっと難しすぎるので。

ねずみ講と指摘された時に会が破綻することもあるのでできないです。ここら辺も、ボランティアカルチャーがある国とそうじゃない日本の違いとも言えるのかなと思います。

今回は、ヨーロッパと日本の違いということで、文化的な背景の話をしました。

今後もそういうヨーロッパカルチャーとか、そういうところに住んでいる人たち、住んでた人たちからはいろいろご意見、ご指導いただきたいなと思っています。

ご指導をいただいて紹介したり、それを元にまた動画の撮り方とか事情会のあり方とか家族会のあり方を変えていきたいと思っていますので、どんなものでもいいのでメールをいただけるとすごくありがたいです。

全ての質問やメールにお返事できるわけではないんですけども、できるだけ目を通していますので、もし良かったらご協力いただけたらなと思います。

■本日の宿題

ヨーロッパで感じたこととか、ヨーロッパで学んできたこと、ヨーロッパじゃなくても、自分の分野ではこういうことやっているよということがあったら、ボランティアにまつわる何か、これ言いたいよとか教えてあげたいよということがあれば、コメント欄に入れてくれると良い学びになるかなと思います。

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